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2015年07月25日(土)
『FUJI ROCK FESTIVAL '15』1日目 その2

いよいよヘッドライナー、FOO FIGHTERS! 単独は初来日から欠かさず行っていたけど、フェスで観るのは確か第一回のフジ以来です…シェー! 当時のライヴ映像見付けたんでおいとく。ようこんなとこにいたなあ自分(流石に怖くて前方には行かなかったよ)。


・Foo Fighters - Everlong|Fuji Rock Festival 1997

備忘録として書いておく。スウェーデンでのライヴ中、デイヴがステージから転落し右脚を脱臼+骨折する事故が起こったのが6月12日。YouTubeで「Dave Grohl Breaks Leg」とか「Dave broken leg」とかのワードで検索するとそのときの様子がザクザク出てきます…う〜んモバイル時代。その後グラストンベリーフェスと欧州ツアーのキャンセルが発表されました。そうそう、グラスト代役のフローレンス・ザ・マシーンへFFが送ったメッセージと、それを受けたフローレンスのこれにはシビれたなー。キャンセルについて、デイヴは声明文を出しました。

・operation | message from Dave | FOO FIGHTERS
・全文訳|中村明美の「ニューヨーク通信」RO69

フジは一ヶ月半後だしなんとかなるかな…でも無理はしないでほしい……と心配な日々が過ぎました。七月に入りツアーは『Break A Leg Tour』と題され再開、デイヴは特製椅子で登場との報が伝わって来たときにはもう腹がよじれましたよね…転んでもただでは起きない面目躍如です。イメージとしてはこの椅子、これだよね……。

そうすると今度は「これ日本に持ってきてくれんのかな、極東ツアーなんて遠いし簡易セットとかにされちゃったりしてなー」なんて卑屈になってくる。三年前のうやむやキャンセルの件も思い出されてな……。しかしデイヴはそんなちっちゃい人間ではなかった、kaollyさんも言ってたけど上司にしたいナンバー1ミュージシャン。阿羅漢だわーッ益荒男だわーッ!!!

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■FOO FIGHTERS(GREEN STAGE)

グリーンへ着くと巨大なバックドロップでステージが覆われている。幕の形状からしてあの椅子があると判る。中央には花道、あれ可動式だったんかい! デイヴの体調は、どんなセットで来るのかと言う不安もあれど、あの椅子が観られる〜てのが楽しみでニヤニヤしてしまいますよ…やがてギターのノイズが起こり、デイヴのスクリームが聴こえてきた。どよめきが地響きのように起こる、ひとの圧がぐっと上がる。ぎゃー、来てる、ホントに来てるよ、七年振りだよ。そして聴こえてきたのは「Everlong」のリフ。大歓声とともに幕が上がる。

そーなのよ、幕。落ちるんじゃなくて文字通り上がったのよ。考えてみれば落としたら後片付けが大変だもんね……それにしてもこのバックドロップが舞い上がる瞬間の光景、忘れられない。しかもなんて言うか、普通に考えるような上がり方じゃなかったんだよね…私の文章力では説明出来ないので、ここぞとばかりにじゃんじゃん動画を張ってみよ〜。ああ何度観ても涙ぐむ。


・Fuji Rock Festival 2015@Foo fighters Everlong
私がいた位置といちばん近い。と言うか自分の声が入っているような気がする(笑)「待ってたよ〜」って言ったひと近くにいたしなあ


・Foo Fighters - Everlong (Live at Fuji Rock Festival Japan 24 July 2015)
これはもうちょっと前から


・Foo Fighters Everlong @ Fuji Rock Festival 2015
遠いけど安定してる


・Foo Fighters - Everlong FUJIROCK2015
これは近い! が、手ブレが酷い。が、終盤花道に出てくる様子がよく見える。ロボっぽい(笑)

デイヴがホントにここにいるってことに笑い、あの椅子の本物が見られたってことに笑い、そこにデイヴが座ってる図がおかしくて笑い。そしてモニターにテイラーが大映しになった瞬間また笑う。法被を! 着ている! しかもその法被、「ソニーは、ハイレゾ」とか書いてある。そんでめっちゃ扇風機で風送ってるから(暑さ対策のためドラマーに扇風機を当てるのはよくあることだが)髪がぶわー〜と四方八方に舞っている(参照画像)…なんだこれ……私は今何を見ているんだ。カオスもいいとこです。あ〜FFにテイラーがいてくれてホントによかった〜と思える一瞬でしたわ。

「Monkey Wrench」「Learn to Fly」とたたみかけられ阿鼻叫喚。てかその脚で「Learn to Fly」を唄うか! ドラマティック過ぎるだろう!! 笑ったり泣いたり忙しいわ!!! この辺りでようやっと全体を把握、メンバー5人にサポート(key)のラミ・ジャフィを加えた6人編成ですね。椅子が可動式なのは花道へ進んで盛り上げるって演出もあるけど、演奏のタイミングを合わせるためクリスへ近付くことにも役立っているようでした。しかしこのロボ感…帰宅後twitter見てたら「タイムショックを彷彿とさせる」と書いてるひとが結構いて笑った笑った。

「信じられるか? 七年振りだーーー!!!」デイヴが叫び、唄い、そして喋る。そらもうよく喋る。いつものことだが、意識的にゆっくりわかりやすく喋ってくれてると思う。ひととのコミュニケーションをとてもだいじにしてる、その分ひとに、その何倍も自分に厳しいのだと思う。この日も客を甘やかさない(笑)アゲっぷりが素晴らしい、「FUJI!」「Are You Ready?」と叫び乍ら腕を伸ばす。デイヴ先生こんだけがんばってはるんだからわたしらが盛り上げな! と言う気になります、やっぱ理想の上司…「The Pretender」(スクリーンにあのMVも流れてもー格好いいのなんの)では「I Wanna Dance!」と立ち上がってしまう。「クララが立ったーーー!!!」ばりに盛り上がる観客、もうホント笑ったり泣いたり忙しい。

そして骨折、手術、椅子が作られる迄の弾き語り漫談が始まります。いやマジで漫談の趣よ…こんな感じで映像解説付き。落ちた瞬間の映像とか三回もリピートすんの。その直後に心配そうなネイトの表情を映すんだけど、この流れなので「何やってんだアイツ」と思ってるように見えるって言う……これちゃんと構成練ってるな〜、もう尊敬する。レントゲン写真や手術後鼻に酸素チューブが入った状態でニッコリ笑うデイヴの写真には流石に胸を衝かれる思いでしたが、直後「入院中玉座のアイディアを思いついて描いたんだ〜」と言うラフスケッチが映し出され爆笑。これ、これがよくこうなったな……! と言うくらいの絵でしたよ。照明スタッフさんとここに照明付けられる? とか相談し乍ら仕上げていったそうです。デイヴが感謝を述べる。ツアーをキャンセルしたくなかった、続けられるのはクルーのおかげ。そしてそのクルーへのラヴソング、と「Big Me」。バックステージで仕事をしているスタッフたちがスクリーンに映し出される。

クリス、パットと三人で演奏したアコースティックの「My Hero」は美しかった。シンガロングになっているけど静寂を感じる涼やかさ。続いて「Times Like These」の前に「フジは世界一静かなフェスだよね」だって(苦笑)。でもなんて言うのかなあ、そこを「日本人は静かでつまんね」ってんじゃなくて「騒ぐばかりじゃなくてちゃんと演奏を聴いてくれる」と言うふうに捉えてくれているようで嬉しい。「日本でしか出来ないことをやるぜ、ちいさーな声で唄うよ、合唱は禁止! クリスのギターも最小限の音量でね」。合唱になったら「静かにー!」と怒られた(笑)。くすくす笑い乍ら聴き入る。デイヴのスウィート、メロウな側面が感じられる二曲だった。ちょうポジティヴで、逆境を笑いに転じようとする。それでも迷う、悩む、揺れる。楽曲としてぽろりと零れるその思い、その正直さに感銘を受ける。

骨折直後ライヴを続行すると決めたとき、「怯んでいたのは(応急処置をしたヨハンではなく)自分だったのかも知れない」と、声明文に書いたデイヴ。彼がひたすらスクリームするのは、自分を奮い立たせるためなのかも知れない。でも、その姿にこちらも勇気付けられるのだ。そんな彼こそがマイ・ヒーローだと思うひとは多い。

再びアッパーセット、ギブスでフィードバックノイズを出したり椅子の上で暴れたり。本当は走りたいんだろうなあ、もどかしいんだろうなあと思いつつ、その姿すらも晒してエンタメにするデイヴには頭が下がる。観ているときはこちらもひたすら楽しんでいたが、本当にすごいことだと言う実感が日に日に強くなる。ここ迄やる? ここ迄やるのだ。バンドは二十周年だ。このメンバーに固まる迄紆余曲折あった。そもそもバンドが誕生した状況も特殊だった。ネイトとクリスは縁の下の力持ち、パットはバンドの守り神で、そしてデイヴと一緒にはっちゃけられるテイラー。この五人のFOO FIGHTERSだから、ここ迄やれるのだ。胸がいっぱいになる。ジャフィにも感謝。

「Best Of You」は大合唱になった。ああ、もう終わってしまう。でも無理はさせられない。ホントにホントに待っていた。来てくれて有難う、FFを、デイヴを好きでよかった。

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セットリスト
01. Everlong
02. Monkey Wrench
03. Learn to Fly
04. Something From Nothing
05. The Pretender
06. Big Me
07. Congregation
08. Walk
09. Band Introduction(I’m the One – Van Halen cover 〜 Another One Bites the Dust – Queen cover 〜 School’s Out – Alice Cooper cover)
10. Cold Day in the Sun
11. My Hero(Acoustic)
12. Times Like These(Acoustic)
13. Under Pressure(Queen & David Bowie cover)
14. All My Life
15. Outside
16. Breakout
17. Best Of You
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サイトによって「『Walk』『These Days』『This Is a Call』はセットリストにはあったが時間の都合で演奏しなかった」とありますが「Walk」はやりました。あと「School's Out(Alice Cooper cover)」もやったよー(メンバー紹介のときだったとのこと。もう記憶が曖昧……)
20150805追記:Qetic掲載のセットリストをもとに追加修正しました(でもQeticさん「Best Of You」が抜けてるで……)
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その他。

・1997年のフジ話もしてた。雨男返上かな? よいコンディションで観られてホントよかったなー
・吸う呑むパットいつもの笑顔。デイヴに「パット時差ボケなんだよなー、パット起きろー! ステージで寝てんじゃねえ!」とツッコまれる
・「Breakout」でMWAMのおおかみさん(ジャンケンジョニー)が出てきて盛り上げる。ふいうちだったんで驚いた

・日曜日のヘッドライナー、ノエル・ギャラガーに「『Hi』ってデイヴが言ってたって伝えといて」だって。その後「Dave says Hi」と復唱させる(笑)。それを聞いたらしいノエル、ちゃんと自分のステージで「デイヴってやつが『Hi』って言ってたって? で、デイヴ・グロールって誰? 日本人?」と言ったそう。誰もグロール言うてないのに(笑)ノエル兄さん期待を裏切らない
・その後のノエルのコメント
「なんで骨折してるのにツアー続けてるんだ? ばかじゃねえの?」「カミさんはなんて言ってるんだ?」「安静にしててほしいよ、休めよ」ノエルいいやつ……

・フー・ファイターズのTシャツが当たるtwitterキャンペーンがスタート! | Sony Music
骨折Tシャツが当たるらしいです(笑)会場では即完だったそうで、自分は帰宅後通販で買いました(こっちな。レントゲンのは着るには…どうも……)。会場で買えたら日本と韓国の日付入りだったんだけどねー
・…って、今(7/31)ショップ見たらレントゲンTシャツ入荷待ちになってる。売れてるのね(笑)

・【ライブレポート】フー・ファイターズ@フジロック2015、2時間にも及ぶ大熱演 | Foo Fighters | BARKS音楽ニュース
・FOO FIGHTERS(1)|FUJIROCK EXPRESS '15
・FOO FIGHTERS(2)|FUJIROCK EXPRESS '15
具体的なことはこっちを読むとよいですよー。
expのフォトレポートすごくよいな! (2)の二枚目、件のバックドロップが舞い上がった瞬間なんてすごく綺麗。iPadの待受画面にしてしまった

・フーファイ、骨折デイブは椅子で熱唱 フジロック開幕:朝日新聞デジタル
朝日の記事に載った記念〜

(20150807追記)
・Ross Halfin - July 2015
ロックフォトグラファー、ロス・ハルフィンの写真日記。越後湯沢駅にいるデイヴとかレア〜(笑)
・FOO FIGHTERS @ FUJI ROCK FESTIVAL '15 PHOTO REPORT | A-FILES -alternative street culture web magazine-
これまたいい写真満載。どっから撮っても絵になるなあ、このオープニング!
・FUJI ROCK 2015 DAY 1 | NUMAG
これもよい〜


・Foo Fighters at Fuji Rock Festival '15
音のみですがフルレングスあったぜー。やー今回は久々にブート探そうと思っていたよ