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2015年03月15日(日)
BOOM BOOM SATELLITES『SHINE LIKE A BILLION SUNS PREMIUM GIG』

BOOM BOOM SATELLITES『SHINE LIKE A BILLION SUNS PREMIUM GIG』@EX THEATER ROPPONGI

昨年のクアトロ以来のワンマンかな。先月リリースされた『SHINE LIKE A BILLION SUNS』のリリースパーティとも言えるスペシャルライヴ。

中野くんから事前にアナウンスされていた新加入のバンドメンバーはギターの山本幹宗さん(ex. The Cigavettes)だった。このツイートだと演奏をしないパフォーマーと言う可能性もあったので(昨年のCDJでのポールダンサー出演のこととか思い出してて)何だろう? 誰だろう? 何するんだろう? と思っていた。そして川島さんの歌を前面に出した新譜を如何にライヴで聴かせるか、今回いちばんの期待と興味はそこにあった。成程ギターか!

と言う訳で幕開けの「SHINE」、川島さんは歌に専念。丸腰(と言ってしまう)! えーここで昔話をしますと、『UMBRA』リリース時ライヴで「INGRAINED」に弦楽クインテット入れたことがあったんですよね(Smashing Magにレポートが残ってたぜ! 丸腰の画像がないのが残念!→『Boom Boom Satellites at 渋谷AX(2001年3月23日)』)。川島さんはヴォーカルのみで。で、そのときの川島さんが、ギター持たずに歌だけってのにものすごく慣れてない感じで、動きがぎこちなくてぎこちなくて。ギターないだけでこんなに落ち着かないか(客も)! 丸腰! と散々笑ったことがありまして(ごめん。いや格好よかったんだけど板についてない感じがおかしくて…が、がんばれ! って感じで……)それを思い出してしまい若干ブルブルしたんですが、いやはや時間はひとに貫禄を与える。目に映ったのは実に堂々としたヴォーカリストの姿。

茶化して書いてしまったが真面目なことを言うと、その貫禄は人生経験や覚悟から自然に身に付いたものだと思う。気迫を前面に出している訳ではないのに、その佇まいには気圧されるものがあった。ステージのセンターにすらりと立つ。自然体で、構えがない。

実際この編成は相当アタリだった。『SHINE LIKE A BILLION SUNS』に収められていたあの歌が、目の前(もはや耳だけで聴いているのではないのだ)に美しく拡がっていった。

しかしここで邪念が入ったのだった。このまま全部歌のみでいくのかな? 実は川島さんの手が動かなくなっていて、以前のようにギターを弾けなくなっているとしたら? それは程なく的外れな考えだったと判明するのだが、落ち着いてステージを見渡してみれば川島さん用のアンプもちゃんとあるじゃないか。やっぱり川島さんの体調を全く気にせずにライヴを観ると言うことはもう出来なくなっている。余計なことを考えてはいけないなと反省する。しかしそのことで、今回のサポート加入がシンプルにバンドサウンドの強化としてのものだったと言うことに確信が持てた。

二曲目迄はアルバムと同じ曲順。構成も見事な作品だったので(実際これだけ一枚のアルバムを何度も通しで聴いた(聴けた)のは久し振りだった)このまま再現と言う形になるのかな、と思っていると以降シャッフルになる。このフックが「A HUNDRED SUNS」の前奏が鳴らされたときのインパクトに繋がる。わっ、と言う驚きと待望の声があがる。ハイライトでもある曲なので、アンコールに持ってくるのかなと思った隙にブッ込まれたのでこれは盛り上がりましたね。川島さんの歌声がいい状態で伸びる。EX THEATERの音の良さも実感。

正直に言うと、ブンブン(と言うか中野くん)が、こんなに“歌”を心に響かせる作品をつくるとは思っていなかった。川島さんの声の資質をどう活かすかと言うところに、中野くんの興味はあるように感じていた。言い方が難しいが、素材としての声だ。だからエディットも多かった。しかし今回のアルバムでは、一曲を唄いきるその流れをもパッケージしようとしているように感じた。エフェクトは多いが、歌声そのものの純度をあげると言う狙いで施しているように思える。「時間」と言うものをひしと感じる楽曲の数々。一曲が終わる迄の時間、アルバムを一枚聴き通す時間、それらを作ったふたりが直面し、闘ってきた時間だ。シンプルだけど高性能、しかし耳を澄ますと、歌の背後には緻密で強靭、広大なサウンドスケープ。作り手は勿論、聴き手にとってもこのアルバムは人生のサウンドトラックに成り得る懐の深さがある。それをより確信させてくれるライヴだった。

ステージアートは2013年の武道館でも印象的な映像演出を見せてくれたflapper3 inc.。こちらも音同様にシンプル、しかし緻密な仕事ぶり。ステージ上は楽器と機材以外はスタンドライトのみで実にすっきりしており、光と映像に呑み込まれるかのような体感があった。アンコールではステージ両端にポールスタンドが設置される。これは……と思ったら来たよダンサー! こーれーかー! と興奮しますねやっぱね。CDJには行ってなかったものでキャーキャー言う。てか実際目がいく…メンバー見たいのにどうしてもダンサーに目がいく……違う意味で集中出来ない(笑)。いんや格好よかった。最後の挨拶をしてハケるとき、川島さんがそのポールを掴んでくるり(と言うかとことこ)一周したのはウケてたわー。ポールダンサーみちゆき誕生。笑顔。

「僕は今日ここに戻って来れて本当にうれしい」。忘れられない、忘れたくない言葉だった。「OVERCOME」の速度で、また歩いていくのだ。

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その他。

・「HELTER SKELTER」で中野くんにギターソロがあった(が音がちいさめ。ここは山本さんくらい音大きくしようよこういうとこは奥ゆかしいな! PAの問題かも知れんが)
・て言うか「BLIND BIRD」ではコーラスもしてたよね。ビックリした! 普段からマイクのないところで唄ってること多かったけどちゃんと聴かせるものとして唄ってた
・「DIVE FOR YOU」、音響の妙もあると思うけど短調が長調になったくらい曲の鳴りが変わってた。うわこれめっちゃ好き
・川島さんが「BLIND BIRD」のアウトロ(確か)でタンバリンシャカシャカ振り乍らステージを練り歩く(と言うかうろうろしてたと言った方が的確か? twitterで「ふんわり歩いていた」と書いてる方がいて膝を打つ)場面、ちゃんとタンバリンの音拾えてたけどマイクついてたのかな。ほのぼのしい見掛けとは裏腹にこれがとてもいい効果になってた

・今回もライヴ中撮影フリー。twitterで探すとざくざく出てきます(公式のRTや#ブンブンサテライツでどうぞ)
・肉眼に記憶に焼き付けたいが記録として残しておきたい! と苦しんでるひとが多い(苦笑)このポジションをとれたからこそ撮らねば! と使命感に駆られている方もいて、実際迫真のショットを載せてらっしゃいました。いろいろ観られて嬉しい、おすそわけ感謝
・これも昨年のsceneみたいにまとめられるといいのだがどうかな

・終演後トイレに並んでたら前のひとたちが「中野さんが丸腰で跳ねまわってる(「FOGBOUND」のあれだと思われる)のを見てホッとしたよね」と話してたのでまたブルブルした。今回は丸腰がキーワードでしたね☆
・これにはつづきがあって「武道館では心配事やプレッシャー、作業の多さにそんな余裕もない、楽しんでられないって感じがしてたから」「ああ今回は本人も楽しめてるな、と感じた」。すみません盗み聞きしちゃいましたそして脳内で強く頷いてました
・今回終始ふざけ気味に書いてますが、それだけこちらにも心の余裕が出来た+明るく書かないとやってられんところもありまして。ご容赦くだされ

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セットリスト

01. SHINE
02. ONLY BLOOD
03. BACK IN BLACK
04. VANISHING
05. A HUNDRED SUNS
06. BLIND BIRD
07. OVERCOME
08. EMBRACE
09. NINE
10. FOGBOUND
11. MOMENT I COUNT
12. KICK IT OUT
encore
13. HELTER SKELTER
14. DIVE FOR YOU
15. BACK ON MY FEET
16. DRESS LIKE AN ANGEL

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・【ライブレポート】ブンブンサテライツ「ここに戻ってこれて本当に嬉しい」| BOOM BOOM SATELLITES | BARKS音楽ニュース

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