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2012年10月05日(金)
『遭難、』

劇団、本谷有希子『遭難、』@東京芸術劇場 シアターイースト

二度目の劇団、本谷有希子。『甘え』のときは水橋くんが出演したからと言う理由でしたが、今回は青年団周辺以外で初の外部出演!最初で最後かも!なんて一部で言われている松井周さん目当てで行きました。と言うように、なんだかんだ理由をつけないと行けない感じです。と言うのもこの手の作風がとても苦手だからです。しかし前回、苦手乍らも観るとやっぱ面白いわーと思ったのも事実でして。でも何かがひっかかる。自意識の膨れ上がった女性を身も蓋もなく描く、と言う作風自体が苦手、だけじゃないのだ。

そのひっかかりが今回自分のなかでは明快になった部分がありました。しかしこれが『甘え』でもそうだったかと言うとちょっと判断つきかねる。毎回そういう訳じゃないとなると…他の作品も気になってくる。スタッフワークもすごく良いし、やはりキャスト如何では今後も観に行くことになりそうです。ううううーん(何故そう迄して)。

今回明快になったところ、と言うのは、個人的にいちばん苦手な「作家の神の手が透けて見える」タイプの作品だったと言うところです。主人公と対等の立場に他の登場人物を置くために、彼にはこの罪を負わせよう、彼女には負い目を作ろう、と、均等に配置していく経緯が見えるような感じがしました。その手の作品に自分は嫌悪丸出しにする程拒否反応があるのですが、今作品はそうならなかった。と言うのも、登場人物を同じ土俵にあげないと、主人公を責め立てあざ笑うだけに終わってしまう。そうじゃない!そうじゃないでしょ!?と言う葛藤やもがき迄もが感じられたからです。んーしかしこれは私がそう思いたいだけなのかなー。絶対理解出来ないと理解したくないは違うからなあ。

役者陣はみな好演。五人と言う人数もよかった、ダイアログのガチンコが観られる。そして菅原さん効果は大きかった。ハイバイテイストと言うか、もーおんなのヤなとこ煮詰めたような女性を男性が演じることで一歩退いて観ることが出来た。どうなんだろ、この辺りコアな本谷さんファンからすると「ぬるい」と思ったりするのかしら。私はこのくらいがいい塩梅でした。それにしても別嬪だったよ菅原さん…新しい宣美アップされたときおののきましたわ、フォトショ…なんて一瞬思ったが舞台上でもお美しかったですよ。「BAILAとかSTORYとかにでてるひとみたいになってもらいます。」って言われた。無理。なんてtweetしてたけどいや全然無理じゃないです。松井さんは押されると弱い男を素敵に演じてらっしゃいました。書くものと違う!(笑)てか岩井秀人さんといい青年団ホームの作家さんはなんでこー役者としても巧いのだろうか。そして佐津川愛美さん確か初めて観ましたがよかったわー。罪悪感を感じてないことをそんなに悪いと思ってないですってな啖呵、ひでー!って台詞なのに爽快感あったもんな、よう言った!くらいの。そう持っていくようにハナシが出来てる訳ですが(ほらここが苦手なのだ)それを引き受ける役者の強さを見た。美波さんのウザさとどMのバランスもよかったし、片桐はいりさんが毎回抜群の安定感。ううむ、皆巧かった。

松井るみさんの美術によるガラス窓で隔てられる簡易職員室、渡邊琢磨さんの音楽もガッツリきました。よかった。これの初演て青山円形劇場なんですよね、どういうふうにセット組んだのかなあ、気になる。

黒沢あすかさんの降板は残念でした。また舞台やってくれるといいな…突発性なら治るかな、慢性にならなければいいけど。そして菅原さん、突然の代役しかも女性役と言う高いハードルをさらっとクリア(したように見えるとこがまたすごい。白鳥タイプやね…)お見事でした。発表になったときいろんな意味で二度見しました。え、女性役?いやでもまあこれはある意味慣れてるだろう…いや待て、その前に菅原さんて今舞台やってるよね?終わるのいつだ?いつ稽古すんの?そして間に『MYTH』のリーディングもあるじゃない…と……。無事千秋楽を迎えられますように。終わったらゆっくり休めるといいけど。