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2012年09月29日(土)
『ボーン・レガシー』『るろうに剣心』『具象の時代』

何故かトリプルヘッダーに。急遽『ボーン・レガシー』朝イチの回をぶっ込んでしまったので、ぎゅうぎゅうになってしまいましたよ……。PTAの前にホットケーキがおいしいと評判の錦糸町のお店に行く予定だったんだけど、移動に手間取り道に迷い、辿り着いたらラストオーダージャストの時間で入れてもらえなかった(泣)。錦糸町て、次いつ行くやら……。

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『ボーン・レガシー』@新宿ピカデリー スクリーン5

一ヶ月程前からCMの本数がすごく増えるやら、二週間程前からジェレミー・レナーの雑誌露出がすごく増えるやら、公開週に入ってからは八月来日時に取材していたのであろうジェレミーのインタヴューがwebに大量にアップされるやら、宣伝の規模の大きさに正直びびりまして(笑)いてもたってもいられず出掛けていきました。

いやその、こういうの慣れてないんですよ…今年はただでさえジェレミーバブルのところ(しかも出演作三作全部シネコンで観られる規模)、今回は主演!バリバリ大作の初主演!しかもあのボーンシリーズの続編みたいな扱い!過去作と比べられるの必至!ジェレミー本人にとってもこれは正念場と言うか、今後の仕事に影響あるでしょうし…これがバブルで終わるかそうでないかは今作にかかってくる!も〜いい作品であってくれ〜!と、もう完全にファン心理です。いやバブルかどうかってのはもはやどうでもいいんだホントのところは…いい作品を選ぶことが出来て、いいコンディションでいい仕事をやれる環境にジェレミーがいられればいいんですよ……。

で、結果はと言うと。ジェレミー素晴らしい!レイチェル・ワイズ素敵!エドワード・ノートン貫禄!でした。脚本と演出は…その……。そしてボーンシリーズを観ていれば「ああ、ここは!このひとは!」と思える楽しさは確かにありますが(パメラが窮地に!どうなるの〜!)、絶対観ておかなければならない、と言うことはないと思います。以下多少ネタバレあります。

ボーンシリーズとして続編作る気満々と言うか、それ前提で作っている感じもし、なおかつ『ボーン・アルティメイタム』と同じ時系列で進んでいた物語、と言うのを後付けで作った弊害と言うか綻びが感じられました。説明シーンが多い。もはや多過ぎてごちゃごちゃしている。あっ、ここも説明しとかなくちゃ、ここも前提があるよって示しておかなきゃ、ってこまごま付け足していくうちに、どこに焦点を合わせればいいか作ってる側も解らなくなっちゃったんじゃないかと邪推してしまう程。木を見て森を見てない感じがすごくする……。

説明シーンを主人公アーロン・クロス側、CIA側交互に見せていくテンポもどうにもモタモタしている。アーロンとマルタが会う迄一時間くらいあるしなあ。この辺り個人的にはバッサリ切ってもよかったのではないかと思いました。参加するプロジェクトが抹消され、それに伴って命を狙われることになったアーロン、マルタ医師と、CIAの攻防に的を絞ってよかったのではないかと……。

しかしそうするとボーンシリーズとの関連性が…となるんでしょうねえ。極端な話、これわざわざボーンシリーズて銘打たなくてもよかったんじゃないのと思いました。興行的なことを考えるとそうもいかないのか!いいとこもいっぱいあるんですよー、ボーンシリーズがと思わなければ…いやでもなんかモタモタしてるのは否めない。ひとつひとつのシーンはいいのに!構成と編集って大事だなあと痛感。

アーロンとマルタが会ってからの展開にはスピード感があっていいです。ふたりが出国してフィリピンに向かうところを着々と追跡していくCIAの情報収集の描写はスリリングで、ここはテンポもすごくよかった!話逸れるがこの辺りの街頭カメラの多さとか、その解析の早さとか、オウムの高橋容疑者が捕まった経緯を思い出した…あらゆるところにカメラって設置されてるのね、誰も見てないと思ってても知らないうちに撮られてるよ!怖い!

そして役者!エドワード・ノートンやっぱいいー、力のある声が堪能出来ます。ちょっとした声の調子で威圧感をぐっと出したり引っ込めたりと自在です。ジェレミーとノートンの面と向かった演技合戦がワンシーンだったのは残念だったなー。この辺りは続編に期待しろと言うこと?レイチェル・ワイズはただでさえ美形で眼福なのに、アクションをバリッとこなします。ちょー格好いい!強くて賢くて美形、敵なし!

と言う訳でジェレミーですが、いいよー!ホークアイは目がよかったけどアーロン・クロスは耳がいいよ!アクション格好よかった…身が軽い、壁とかするするのぼってねこみたいです。顔は犬顔だが。必要以上にマッチョじゃないので身のこなしが俊敏で美しい。バイクチェイスも派手!ノーヘルで顔が見えるので殆どスタント使えなかったそうですが、もともとバイク乗りだそうですね。いやーすごかった。アクション以外でも、繊細な表情で心情を表現。目がいい、目が。ケネス・キットソンからアーロン・クロスに生まれ変わることとなる面接?シーンの瞳がすごく印象的でした。綺麗に撮ってくれたカメラさんありがとー!あと検査で何度も会ってるのにマルタ先生俺の名前も知らないの?俺のこと番号でしか認識してなかったの?てガーンとなってるとこの顔もよかった(眉毛がハの字になってた・笑)。しょっちゅうリュックしょってる姿もなんか愛嬌がありましたわ。IQ低いことにコンプレックス持ってるっぽい役柄なので、薬が必要なくなってからの活躍も観たいものです。しかしこのひと(役)「でもこの身体も頭脳も改造の産物!」とかって延々悩みそうだわー。あ、でもそういうとこも観たいわ(鬼)。

『ヘンゼル&グレーテル』『Nightingale』(これ日本にも来るよね?来てー!)が撮了しているジェレミー。『ボーン・レガシー』も続編が撮られることがアナウンスされたし、『アベンジャーズ』『M:I』シリーズ続編の話もあるようなので、いい状態で進んでいくといいなあ。これからも楽しみですよ。

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『るろうに剣心』@新宿ピカデリー スクリーン6

大友監督ならではの、て風情があってよかったー。ねこが出てきて「やっぱり!」とニヤニヤしたり。キャスティングも大友組!と言う感じで楽しかった!
青木崇高さんがちょーいい役!しかも最後迄いい役!爽やかタフガイ!なんかこのひと、自分が観るドラマ観るドラマ可哀相な役ばっかりだったので、よかったねえとか的外れな嬉しさがあったり(笑)。大河ドラマでは弁慶役、これから見せ場が増えるだろうからこちらも楽しみ。
須藤元気に似てるひとがいるなあ…と思っていたら本人だった。見せ場迄随分時間があったので、違うひとなのか…?と不安になったりしてた。そして手合わせの相手が青木くんだったので、ひぃある意味本職相手のバトル!がんばれ青木くん!とハラハラしました(笑)。
佐藤健くんは大友監督の『龍馬伝』で人斬り以蔵で認知度がぐわっとあがった印象があるのですが、これのイメージから剣心の役がきたのかなあと思ったり。アクションも、ユーモアの裏に陰を滲ませる芝居もよかったです。
あ、あと窪田正孝くんが印象的な役で出てました。『十三人の刺客』を観てると二重の意味でじんわりきます。

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菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール『具象の時代』@すみだトリフォニーホール 大ホール

トリプルヘッダーとなると流石に疲労困憊で、しかもまートリフォニーホールの音響の素晴らしいこと!情報量含め怒濤のように押し寄せる音の膨大さに具合が悪くなるほどでした…と言う訳で以下おぼえがき。

・思えばジェレミー〜菊地さんと本日ぎっちょ祭り。個人的にはウハウハでした。ぎっちょの意味や由来は判って使ってますよ。個人的にはもはや愛着がある言葉なのだ

・opの微弱音の通りのいいこと!この時点でこちらの耳もキレッキレになる。もー咳とか絶対出来ない!と言う心地よい緊張感
・林さん(pf)のトレモロも粒だって聴こえる!鳥越さんのフィンガーピッキングで出す和音も一音一音バリッと聴こえる!

・席の都合上鳥越さんの手元をどーしても菊地さんの股間越しに見ることになりなんだか申し訳ないやらおかしいやら
・ときどき「菊地さん身長伸びて!」「脚長くなって!」と思ったのは内緒です。しかし180cmの菊地さんとか、あまり想像したくない。あのサイズだからいいんですヨー
・席と言えば、演奏始まってしばらくしてから視界の右端に人影が入ってきた。遅刻かー、早く席に着いて!と思ってたんだけどいつ迄経っても着席する様子がない。なんだよもおーと曲間視線を移したら菊地さんの影だった(笑)照明効果で両袖に影が映ってたんですね
・影と気付けばもう安心、風情あるものとして楽しめました(笑)あのシルエットよかったなー

・「Killing Time」マイクスタンドトラブルは残念だった!アルトとテナー、演奏する毎にマイクの高さを菊地さんが自分で変えるんだけど、この曲のときスタンドが固定出来なくなっちゃったのね。それで前半の演奏まるっと飛ばした。普段クールに弾いてるストリングスの面々もちらちらと心配そうに様子見てた
・そのうち梶谷さんのソロに入り、その頃になってようやくスタッフのひとがヘルプにやってきた。位置的にスタッフが梶谷さんの前に立ちはだかる形(屈んではいたけど)になってしまってこれも残念…梶谷さん今回だけの参加なのにー(泣)
・梶谷さん、音のひとつひとつがハッキリクッキリしてて格好よかったなあ。トリフォニーで聴けてよかったなあと思った
・今回録音とかしてたのかなあ。せっかくこのホールだし、何らかの形でリリースないかしら。でもそうなるとこの曲、ハプニングで済ますには勿体ないなあと思いました。ライヴとしてはその後の挽回っぷり含め楽しめましたが

・そうそう、復旧後の菊地さんの演奏はちょー格好よかったんですよー。借りは返す!みたいな。ああいう、一度きりの現場だから挽回もその現場で!てな意気が感じられるとこ、好きだなあ。こちらの思い込みかも知れないけど。パーン!と猟犬が野に放たれたときのような疾走っぷりでした
・で、そうなるともう楽しくなっちゃって、中盤の大儀見さんと田中さんのかけあいすんごく引っ張ってニヤニヤしてた。大儀見さんと田中さん、菊地さんをちらちら見乍ら「いつ迄やんのよ」みたくニヤニヤしていた。梶谷さんももはやニヤニヤしてた(笑)
・リハやってるとは言えあの編成、あの曲構成(現場でもどんどん変化する筈)にすんなり入るのって難しいだろうな。梶谷さん、各セクションに注意を払ってる感じがすごくしました。それでいて笑顔がよく出る。素敵!
・ああそれなのにアンコール時「吉田翔平くんが性転換しまして」と紹介されていた。次の公演で、吉田くんは再性転換して戻ってくるそうです(…)

・猟犬と言えば、「行列」の林さん(sop)の歌の後のsxソロもそんな感じだった。パッと引き綱を離したらピューって走っていったみたいな爽快感と解放感。オラオラ林さんちょー格好いいだろ?俺んとこのバンドメンバーちょー自慢だぜ?そんなメンバーと演奏出来る俺ちょー幸せ、いいソロ吹くぜー!みたいな(キャラ違ってきた)
・いやー久々の「行列」ちょーシビれたー。前回ってリキッドのときだったと思うんだけど、林さんも会場に合わせてか比較的カジュアルな衣裳だったのね。しかし今回は真紅のドレス、菊地さん曰く「林さんからするとホーム」のトリフォニーホール、あの音響!ゴーーージャス!それでいて野蛮!
・林さんの唄ってるときの顔ちょー好きなんだ…物語る表情。歌い手であり乍ら女優
・ハンドクラップの響きも堪能。あと菊地さんの絶品指パッチンをトリフォニーで聴けたと言う嬉しさもあり

・キップ・ハンラハン(半裸版て変換するのやめてウチのMac)「カラヴァッジオ」の歌詞についてのMC、下ネタを優雅に聴かせる話術と言うか…うーん、術じゃないな、品性のに依るところが大きいかな。これ、よかったなあ
・菊地さんのハスキーな声とOMSBeatの低音の響きが心地よかった。これ継続して聴いていきたい!レパートリーになるかな。OMSBくん緊張しまくってて「死にそうです」と言っててかわいかった

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セットリスト

01. 微音による即興〜はなればなれに
02. 微音による即興〜映画「アルファビル」〜悲しきワルツ
03. 映画「バターフィールド8」〜バターフィールド8のテーマ
04. 即興〜京マチ子の夜
05. パリのエリザベス・テイラー(存在しない)
06. アリア 私が土の下に横たわる時〜オペラ「ディドとエネアス」より
07. 行列
MC
08. カラヴァッジオ〜南米にエリザベス・テイラー
09. 嵐が丘
10. キリング・タイム
11. 儀式〜組曲「キャバレー・タンガフリーク」より
12. バンドネオンソロ〜ルペ・ベレスの葬儀
13. 映画「8 1/2」〜それから……(ワルツ)
encore
14.クレイジー・ヒー・コールズ・ミー

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