初日 最新 目次 MAIL HOME


I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
kai
MAIL
HOME

2010年06月06日(日)
『甘え』

劇団、本谷有希子『甘え』@青山円形劇場

食わずぎらいを克服してみようと(…)水橋くんが出演するのを機に観に行ってみました。ああー、確かに面白かった…で、やっぱりこういうものを書くんだなーと言うのもわかった。食わずぎらいの勘と言うのはやっぱり信用出来るな(笑)。面白いんですけどね。

ダメ人間の面倒くささと滑稽さを徹底して描く。共依存のうざったさを『甘え』と言うタイトルに集約させ、それを徹底して突き詰めることで「価値観が変わったって言ってやる」ことが出来るか?

松尾スズキさんに師事、女優から劇作家へと活動をシフトした経緯等もあって、松尾さんの影響について言われていることも多々ありますが、大人計画の場合、そのダメ人間の面倒臭さを愛し憎む存在に迄消化(昇華とは言い難い)し、「人生とは神が仕組んだ長大な罰ゲームである。リアクションしてなんぼなのである」てとこ迄行くんだけど…うーん。

ただ、本谷さん本人は松尾さんの影響を指摘されることが嫌で一時期距離を置いていたけれど、最近「ようやく違うぞ、と余裕が出てきた」そうなので、その違いをこちらが探して行く作業も必要かも知れないなあ。この一本で決めつけるのも強引ですしね。ぬぬう、またの公演を観るかどうしようか……。

あとあれだなー、これに暴力が介入してきたらどうなるかな、と言うのも気になったところ。精神的なDVはオンパレードって感じですが(笑)殴る蹴るの暴力はガタイの良さが反映されますからね。そういう場合、女たちはどうするかなと。凶器を持つその前にどうするか。そういうとこ迄書くひとなのか。うーん書きそう……。で、そこ迄書いてほしいと思いつつ、書かれたら観るのつらすぎそう、自分が(甘え)。

そしてこの手の話は演者がホント巧くないと身も蓋もないものになってしまうと感じました。で、実際役者さんたちの力量のデカさを目の当たりにしたのですが(特に広岡さん。マジでめんどくせー女の典型!なのに時々真実をズバッと言う時の潔さと言ったら。ここらへん巧いひとがやらないと「おめーに言われても説得力ないわい」ってなるし)、本谷さんって演者が介入しない小説でも評価が高いひとですよね。ここらへんのマジックってどうなってるんだろう。小説も食わずぎらいせずに読んでみるべきか……。

と、うだうだ書いてますが、これも痛いとこ突かれた!って自覚があるからなんだろうなー。あれ私だ!みたいな。ぎゃー、いやー!(泣)

いやそれにしても広岡さんを筆頭に凄腕の役者さんばかりだった。安藤さんもめんどくせー女の役を演じることが多いけどホントかわいいよね。頭わるいって言うけど実はいちばん深いところを知ってるし。それを説明するを方法を持たないだけで。小池さんも今迄舞台で観たなかでいちばん魅力的だった!あのしゃくれ、忘れません!(笑)大河内さんは前半のダメ親父と後半のさびしがりやさんの二面性が見事で、ありゃちょっとぐらっとなるわな。なっちゃうとまた大変な目に遭うんですけど。水橋くんはああいうフラットにネジがはずれてる頭の切れる役やらせるとほんっと輝きますね。いやあ、素晴らしかった。ほめればほめる程水橋くん本人の人間性を疑われそうですが(笑)そこがやっぱり天性の役者なんだろうなと思います。やっぱりこのひとはマヤ気質だよ…恐ろしい子!

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』?みたいな演出もあり(逃避としての脳内音楽と脳内映像)、入口と出口が曖昧な家の構造も面白かったです。どこから出てもどこから入っても元に戻ってきてしまう感じ。はー、面白かった。はー、ヘコんだ。