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2012年07月05日(木)
『ウイルス』

大駱駝艦 天賦典式 創立四十周年公演『ウイルス』@世田谷パブリックシアター

年一回は観ているような気がしていたけど、天賦典式が二年連続で上演されるのってすごく久々だったんですね。アトリエ壺中天で若手が常に公演を打っているし、麿さんのソロもあるし、海外公演に出掛けているしで、大駱駝艦はずっと航海を続けている。港々に女あり?と言う訳で二年続けて世田谷に寄港してくれて有難うー、四十周年おめでとうございます。

以下ネタバレあります、未見の方はご注意を。

音楽が近年レギュラーだった千野秀一さんから土井啓輔(土井さん起用って昨年の『灰の人』からかな。麿さんのソロでは『Gは行く』から参加されているようです)、ジェフ・ミルズ両氏になって、それに伴いをどりも新鮮に感じたパートが多かったです。『灰の人』からダンサーの発声が増えてきたように感じていたのだけど、今回もそれが顕著でした。言葉もあった。音の飛ばし方も面白かった!劇伴とダンサーが発する音声を交互に出すとき、地声じゃない音が聴こえるんです。女性ダンサーたちが、はっきりとした歌詞がある「ふるさと」を唄う場面があるのですが、それにもエフェクトがかかっていたような……あれどうやって音拾ってるんだろう?キュー出しの発声も多かった。これは今回ビートを均等に刻む音楽があるので(結構ハッキリした四つ打ちもあった)、それとは違うビートを表現するためかな。

音楽が変わるとをどりも変化するのか、あるいはをどりが変化していっているから音楽を変えていくのか、どちらなんだろう。天を目指す西洋のダンス、大地に根差す東洋の舞踏。ここのところ跳躍が増えてきている印象があったのですが、今回はそれに加え、四股を踏むと言う型で跳躍を見せるところがありました。ウイルスの浮遊感がこういう形で表現されたのかなと思ったり。

オープニングに何故「カンブリアの思い出」と言う場面表題がついているのかは判らなかったけど、艦員たちが蠢いている最後尾にすっと立ち続ける麿さんの存在感がもんのすごくてしばし釘付け。このシーンで麿さんは何もせずただ立っているのだが、ここ迄くると、動かない存在そのものが「をどり」になるのだなと。反面きつねちゃん(FOXP2)とのオッスメッスな絡みのあとしょぼくれおじいちゃんになっちゃったりするところがかわいい。麿赤兒火の輪くぐり七連発も魅せたぜ!(嘘です鉄の輪です火はついてません)そして最後はジェンダーフリーダムな美輪さまカラーウィッグ(あの色のは初めて見た)で現れるときた…す、素敵過ぎる。

あかんおかしくなってきた。いや真面目な話、最初は雄的な強さを見せつけていたところ最後は性別を超越したかのような存在として現れるところにおお!となりましたよ。ウイルスと言うテーマをこう描くのかーと。さまざまな生き物にくっついてって、共生しつつ生き残る。交わったきつねちゃんはその後メッスたちに食べられちゃうんだけど、それも命を繋ぐことだなあと思ったり、ってこの解釈で合ってるのだろうか。そう見えました。

きつねちゃん役は『灰の人』でもとても印象に残った我妻恵美子さん。このひとのソロちょー格好いい!前の席だったので表情もよく見えたんだけど、オッスたちにとりついていくときの蠱惑的な顔、オッスがいなくなってつまんないな〜な退屈顔、麿さん見付けてわあオッスがいたあ! キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゜゚・* !!!!! てなった顔、いやーんかわいい美しいおっかない!おっうぉううぉ〜お〜、女ぎつね on the run!きつねだけに!(ベタ)

あ、でも舞台上に蜘蛛の巣状に拡がってた縄とかは上から見たかったー。SePTの二〜三階席って所謂「上に積む」つくりで、高さはあるけどステージからの距離は長くないからすごく綺麗に見えたんじゃないかなあ。しかしほぼ毎回千秋楽を選んで行ってたんだけど今回初日に行ってすごく楽しかったなー。作品初演の初日を迎える緊張感と高揚感、あれは他の日にはない空気だった。麿さんに大向こうもかかってました。

あとここんとこ毎回言ってるが衣裳(特に女性ダンサー)がむちゃ素敵!堂本教子さんが手掛けているとのことです(サイトはこちら)乳さえ出なければ着たい。

と言う訳でうわー面白かったよー麿さんかっけーと呑み屋で話してたら傘忘れてきた。とりに行かねば……。