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2011年10月14日(金)
『“ALTER WAR IN TOKYO” DCPRG』

『“ALTER WAR IN TOKYO” DCPRG 2010/10/09〜2011/06/06 ライブドキュメント』@シネマ ジャック&ベティ シネマ・ベティ

『ALTER WAR IN TOKYO』リリース記念で一度きり、とのふれこみだった豊洲での上映を見はぐって(『ウエアハウス』初日と被った)しょんぼりしていたところ、ジャック&ベティで一週間限定上映されると言うのでわーいと黄金町へ。もともとシネマ・ベティでは冨永昌敬監督の『アトムの足音が聞こえる』がかかっていて(これも逃している…)、関連上映としてレイトのスケジュールには「冨永昌敬 撮りおろし新作上映」と記載されてたのね。で、何だろーと思っていたらこれだったと言う。

やっぱりさあ、一度きりってのはあまりにも勿体ないじゃない…行けなかったひとも多いと思うしー。ソフト化も予定されてないとか言うしー。助かりました。と言えば、以前はペペやNKDSの映像は冨永監督、DCPRGは夏目現監督が撮ってたけど、今は全部冨永さんが請け負ってるのかな。

DCPRGが再始動してからのライヴ三本(昨年10月の野音今年2月の新宿文化今年6月のリキッド)の映像と菊地さんのインタヴューで構成。淡々とした流れで、新譜のリリースに合わせてと言っても『ALTER WAR IN TOKYO』を音盤にすることになった経緯や、再始動に到ったきっかけと言ったことは然程語られません。演奏の映像を見せ、間のインタヴュー映像で菊地さんが曲構成について、プレイヤーについて等の解説をする。『ALTER WAR IN TOKYO』がライヴレコーディングされたリキッドの映像はあるけれどアート・リンゼイがどうこう、とはならず、「『New York Girl』の構成を暗記しているのは俺と田中ちゃんとアリガスだけ」ってインタヴューで言ってるけどそこで「New York Girl」の映像は使わない(笑)。もともとがいつ公開する、と言ったことを目指して撮っていたものではないのでしょうね(冨永さんは菊地さんの上記プロジェクトのライヴ映像を普段から全部撮ってる筈)。経過報告と言った態なので、ソフトにする予定はないと言うのも頷けます。ライヴアルバムをリリースと言うのもアートがゲストと言うのも後付けだったそうだし、そこに触れないのは必要がないから、と言うことなのでしょう。

しかしDCPRGを新編成にするに辺り、菊地さんが何を考えてメンバーを集めたかや、リズムに対しての感覚の鋭さを語っていたことが聞けたのは大きな収穫。解説聞いてから曲聴くといろいろ腑に落ちて面白い。普段ライヴ観て「あああ、ここ崩壊する!」「わああ、ここすげえバッチリハマッた!」と言うのは素人聴きでも判りはするけど、何故そうなったか迄は理解出来ていないことが多いので、その原因はここから探ればいいんだと沢山ヒントを貰った感じでした。

そして映像がステージ側から撮られているので、プレイヤーがどんなふうに乗っかっていくのかの流れや、誰が誰をガイドにしているかがよく判った。前述の「暗記」の話で、「千住くんも憶えてないんだから!」なんて言われていましたが、千住くんむっちゃ田中ちゃんのこと見てますわ。で、田中ちゃんは暗記を忘れないようにするためか、と言うか没頭しないとこんがらがっちゃうよね、基本叩いているときは楽器と指揮以外見ていない感じです。いやホント大変ですね…野音の最後なんて、魂が抜けたような背中が映っていたよ(笑)。そんな田中ちゃんが、「CATCH22」アウトロでの千住くんのソロ(このときは休める)をノリノリで見ている一瞬があって微笑ましかった。

しかし、憶えてなくてあんだけ叩ける千住くんもおそろしいわ……。

客席側からだと普段は見えないところが見える!譜面台や機材で隠れている部分も見え、自分もステージにいるような覗き見感もあってワクワク。メンバーの表情をしっかり見られるのも楽しかったー。特に菊地さんは基本客席に背中を向けているので、このサイン出してるときはこんな顔してるんだー、メンバーのソロ聴いてるときこんなにニヤニヤしてるんだー(笑)と言うのも見られて面白かった。「PLAYMATE AT HANOI」での坪口さん、丈青のKeyに菊地さんがKeyフレーズを噛ませて行くやりとりもよかったな!三人ともいい顔してました。丈青はDCPRGでの演奏だとにこやかだね。高井くんもいい笑顔が多かったです。

それにしても「MIRROR BALLS」が流れたときはうえーんてなりそうでしたよ、先日のリキッドで聴けなかったのが余程ショックだったらしい。「MIRROR BALLS」も「HARDCORE PEACE」も、すっごい久し振りに旧友に再会した気分だったよ!新録して次のアルバムに入れる予定だと言う「CIRCLE/LINE」、この間のリキッドのヴァージョンはなんつうか地獄のような重さだったんだよね…「HARDCORE PEACE」に繋げないとこんなに不穏になるかと。それにゾクゾクもしたんだけど。もともとの菊地雅章さんのヴァージョンが15分近く演奏してそのままフェイドアウトってものだけど、新しいヴァージョンのアウトロがどんなふうになるのかは気になるところです。

再始動から一年。新しいフェイズに入り、ハードコアなピースを封じた(と感じた。9日に観たときは)DCPRGはこれからどんなところへ行くのかな、と思いました。

インタヴューに応える菊地さんが被っていたキャップにタグがつきっぱなしだったのがとても気になりました。このひと言うこともやることもキレッキレなのに、いきなり抜けてるとこがあるのが面白いよね…と言うか、いつも目まぐるしくいろんなこと考えてるからお留守になる部分があるのかね……って、撮影の前に誰か教えてあげればいいのに(笑)。ええと、心身元気であるといい……いやホント。