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2010年07月31日(土)
『FUJI ROCK FESTIVAL '10』2日目

今年は土日参加。直前に悲しいことがあるわヘルペスも出てるわでフジ参加史上最低の体調と気分で行きましたがとても楽しかった。行ってよかった。

途中でダウンするのがいちばん面倒なので熟慮の結果諦めたアクトもありましたが仕方がない。と言う割に絶妙のタイミング連発で、遅刻したステージでもいちばん聴きたかった曲はバッチリ聴けると言う運のよさ。ラッキーだったなあ、運使いきった感じ。今年のこれからはもうなんもいいことがない気がするよ(笑)。

シャトルバスを降りるとうぐいすが鳴いている。しかもたどたどしいの(笑)苗場でこの季節にホケキョ聴いたの初めてだわ、どういう…環境が変わりつつあるんだろうな。しかし事前にかなり言われていた山ダニやブヨには遭遇せず、ハッカスプレーも使わずじまいでした。JOHN BUTLER TRIO(あーフジに来たーって音で嬉しくなる)、bloodthirsty butchers(吉村さん絶好調!ホワイトは轟音が似合う)、羊毛とおはな(スティングの「Englishman In New York」やってた)を横目で見乍らFOHに到着。

■OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND(FIELD OF HEAVEN)
最近気になっているJOHNSONS MOTORCARのマーティンが在籍するバンド。と言うので観に行ったのですが、ブラフマンのメンバーが中心の…と言った方が通りがいいのかな。初見。マーティンはヴァイオリンメインだと思っていたら、かなり唄うんですね!そして主にMCをするのもマーティン。トラッドな空気もありつつ激しい曲調もあり。初めてライヴを観たのがフジ、と言うシチュエーションもよかったです。

THEATRE BROOK(「ツァラトゥストラかく語りき」でスタート、アガる!)をちらっと観てオレンジへ。

■MORIARTY(ORANGE COART)
FOHとオレンジって距離が近いので、FOHで轟音系やっててオレンジでまったり系やってるとどうしても音が被ってしまうんだよね…と言う訳でシアターブルックに罪はないが佐藤さんのMC迄聴こえてしまう環境でまったりモリアーティ、うわん(泣)。しかし途中からはいい感じで聴けました。
プランクトンとこのバンドです。架空のファミリーバンドとは言え、何か皆顔が似て見える…ホントのきょうだいもいるんだっけか……?アルバムタイトル同様、不思議な国に迷い込んだようなシアトリカルかつコンセプチュアルなステージングでしたが仰々しい感じがせず楽しく聴けました。ミュゼットかな?やハーモニカ、ウッドベースとアコースティックな楽器を使い、その日その場所限りの演奏をふっとやってふっと消えてしまうような雰囲気。幻を見ているかのよう。
座って聴いていると、スタッフらしき女の子が単独公演のフライヤーを配りにやってきた。演奏中です、でもそういうとこもなんかよかったな。ほら、放浪バンドだから、その場でお知らせしないと会えなくなっちゃうかも知れないもんね。

さて下山するぞ。THIRD EYE BLIND(丁度「Semi-Charmed Life」やってた!)を聴きつつグリーンへ戻る。

■JAMIE CULLUM(GREEN STAGE)
フルで観ました。やはりセットリストは決めていないよう、その場でメンバーに声をかけ乍らグイグイ進みます。ちょっとコンディション悪かったのかな?序盤やりにくそうだったような…何度もスタッフにモニターの音あげてくれって指示出してたし。イヤーモニター使わないからね。しかしジェイミーにイヤーモニターは似合わないよね、と言うかホントはこのひとのライヴはPAを介さず生音で聴くのがいちばんなのだろうなあ。それくらいピアノと声が魅力的。最前で観たのでマイクを外して唄う生声もよく聴こえてよかったー。あーホントこのひとの声大好き。
初見のひとにも訴える緩急自在の演奏力と本人のキャラクターで、徐々にひとが増えて来た。オリジナルとカヴァーの配置も絶妙で、レディオヘッドの「High & Dry」では前奏が始まった途端わあっと歓声、続けて「Mixtape」でほろり。これライヴ映えするなあ。
やんちゃっぷりも炸裂しており、ピアノに飛び乗ってジャンプするのは勿論、ステージから降りてモッシュピット(フェンスはあるけど)迄走って行ってしまい、スタッフが慌ててました。
最後は即興で「Singing In The Rain」、リアーナの「Umbrella」を。途中MCで「フジって雨の印象がある」みたいなことを言っていた。ニクい!しかしこれで雨降り出したら困る!と思った(笑)。

22-20sを外から聴きつつちょっと腹ごしらえ。さあ10年振りのFISHBONEだ!

■FISHBONE(RED MARQUEE)
えーと今何人いるんだっけ…アンジェロとフィッシャーしかわかんねえごめん。つーかアンジェロ太ったな!なんかキューピーみたいになってる!(笑)あのしなやかさが減ってはいたものの、身軽なところは変わらない。演奏もユルいところと切れ味鋭い(特にホーン!)ところの緩急自在っぷりが素晴らしい。考えてみれば元祖ミクスチャーで、この音楽をやっている中ではベテランもベテラン。破天荒の中にも風格が漂うと言う唯一無二の存在感。紆余曲折を背負っている歴史をこんなにも軽やかにポジティヴに見せてくれる。いろいろ思い出して、すごく楽しいのにやたら涙が出る(ここらへんから涙腺が異常に緩くなる)。やっぱりレピッシュのことも思い出しちゃったな。テレキャスのカッティングのとことか。そういえばタツが来ていたらしいけど、観てたかな。
またオーディエンスがいいんだ。フジは一度キャンセルがあったし、今回の出演もギリギリに決まった。待ってました!と言う明るい雰囲気がバンドの演奏とがっぷり四つに組んでる感じ。あー踊った、あー泣いた。
曲間ノイズのような音がする…と外を見るとドシャ降りになっていた。いつの間に!下を向くと足許がビショビショ。水が流れ込んで来てる。おいおい、これからロキシー行くんだよ、どうする……。フィッシュボーンを途中抜けしてロキシーを最初から観るつもりだったのが怯む(ヘタレ)。いや体調悪かったんでね…そしてフィッシュボーンがあまりにもよくてね……結局最後迄レッドに居座る。

■ROXY MUSIC(GREEN STAGE)
今年フジに来たのは「More Than This」を聴くためと言っても過言ではなかったのです。なんで「More Than This」に異常に拘るかはオンでもオフでも過去何度か書いているし、判るひとにはあああああ!と思うアレなんでそれはおいといて。アレが原因でこれが記憶に深く深く残っているひとは日本にどのくらいいるのかな。深く残り過ぎだよね……。そしてそれは来年再び聴くことが出来るのか。後ろ向きなので聴けなくても仕方がないと強がっているけどね、やっぱりね……。
で、まあ聴きたくて聴きたくて気が狂いそうだった訳ですが(笑)もしやらなかったらどうしようと思い、いややらなくてもロキシーを観たい気持ちが変わる訳でもないと思い、でも事前にやらないって知ったらちょっと落胆しちゃうかもしれない自分もイヤだし、とアホかと言うような自分内グルグルを経ておりまして、webで流れてくるロキシーが最近やったセットリストは敢えて見ないようにしていたんですね。やるならド頭かしら、と言う不安もあったのです。ところが。
フィッシュボーンが終わって即レッドを出て、グリーンエリアに踏み込んだ途端あのギターのイントロ。なんてタイミングだ!もう叫びましたよわあああああ!!!!!て。周囲のひと驚かせてすみません……あとは走った走った、泣き乍らぬかるみの中にもどんどん踏み込んで走った(それ頭おかしいひと)。こういう時長靴は助かる。
いやーもうアホかって程泣いた。脱水症状になるんじゃないかってくらい泣いた。おかげでステージがぼやけて見えません。バカですか。ああ本当に来てよかったな……。
しかしイントロが始まった途端あれ?と思ったのも事実で。なんか低くない?キー下げてたような……。でもここが記憶の恐ろしいところで、実際はこのキーだったかも知れないんだけど、こちらが散々聴いた“あの”「More Than This」はもうちょっとキー高かったんですよね。いかに“あの”「More Than This」が心身にたたっこまれているかと言うことも思い知りなんとなく赤面。いやもうこれは一生背負って行くよ……。
と言う訳で続いては「Ladytron」「Tara」と来て、ようやく落ち着きを取り戻しました。後日知りましたが序盤は雨の影響か、映像トラブルがあったそうですね。この頃には復旧しており、うわー80年代やーと言うイメージアートがステージ上の映像に被せられたりしていて、バンドメンバーも大所帯で皆さんスーツやドレスでビシッと決めてて、特にヴァイオリンとキーボード弾いていたサポートのお姉さんがちょーボンデージスーツでちょー格好よくてデカダンな雰囲気で、ああっ思い描いていたロキシーのイメージそのものだー!なんて感動したりして楽しかったです。
そしてフェリーはやはりダンディーでありました。立ち振る舞いといい洒落っ気加減といい。そしてやっぱり声がねー!ジョン・レノンのカヴァーとかもやったんだけど、最初わからなかったもん。色気ムンムンの声なので。
最後の3曲に布袋寅泰さんが飛び入りしてビックリ。経緯はこちら→『30年越しの夢  ROXY MUSIC』。衣裳替えにあたふた、のところが笑える。よかったねえ……。
で、そこで気付いたのが皆さんかなりの長身なんだー言うこと。布袋さんが混ざってもそんなに差がないのです。布袋さんのブログにも書いてありますが、フィルもブライアンも185cm↑なんだそうで。いやはやホント舞台映えします。
ROのブログで山崎さんが「深夜のテレビで名も知らない不思議な洋画をふと観てしまったような奇妙な感覚を与えるバンド」と書いてたけど、ホントそんな感じだったな。また会おうと思っても探し出せない、翌朝目が覚めて夢だったのかな、と言う印象。正に真夏の夜の夢。観ることが出来て本当によかった。
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セットリスト
01. Re-Make/Re-Model
02. Out of The Blue
03. If There Is Something
04. While My Heart Is Still Beating
05. More Than This
06. Ladytron
07. Tara
08. A Song For Europe
09. My Only Love
10. In Every Dream Home A Heartache
11. Jealous Guy (John Lennon Cover)
12. Virginia Plain
13. Love Is The Drug
[encore] with 布袋寅泰
14. Editions of You
15. Let's Stick Together
16. Do The Strand
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■CHRIS CUNNINGHAM(GREEN STAGE)
と言う訳で夢の中のまま帰ろうかと思ったものの、野外でグリーンでカニンガムって相当恐ろしいんじゃないの、と気になったのでそのまま居残る。しかしこれどういうブッキング…スマッシュ何考えてんの……(ほめてる)。夢は夢でしたが悪夢でした。いやー好きだなー。
エレグラや昨年のWarp20とライヴの進め方は同じでしたが、盛り上がり必至のスターウォーズネタとエイフェックスツインネタを封印、ナチスネタもなし。ええー?しかしあれやこれやのグロエロ映像は存分に流れ、ああ別に規制があった訳じゃないんだなと思う(笑)。既存ネタも多かったですがライヴですから同期の仕方は変えてきてるし、そして音が爆音!雨の中立ち尽くして最後迄観てしまった。
最後のアンビエント調の音と映像(このパートは初見)は情緒的でカニンガムとは思えない(失礼)清涼感。涸れ果てたと思っていた涙がまただーと出て来たりする程に美しい映像だった。意外ー、カニンガムなのに(無礼)。

RIVA STARRの格好いいトラックを聴き乍らごはん食べて宿へ。なんだかきつねにつままれたような一日でした。