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2007年11月04日(日)
『白野』楽日とか

緒方拳ひとり舞台『白野』@青蛙堂(Bunkamuraザ・ミュージアム内特設小劇場)

今回はBunkamuraザ・ミュージアム内に作られたスペースでの上演。昨年は桟敷席で観たので、今回は椅子席を選んでみました。舞台の床面と、照明の当たらない部分を含めた舞台全体が見渡せていい感じです。

照明がいいんですよー、ふわっとしてて。所謂「色」があからさまに変化することはない。基本「明かり」の色です。セロファンとか通してない感じの。最後のシーンは、はらはらと降ってくる銀杏の葉とともに、晩秋のふわりとした空気に劇場が満たされました。ちょっと肌寒いんだけど、不思議と暖かくもある。白野の命がふうっと消えていく。

いやしかし、観ていくうちに千種のことをいろいろ考えちゃいますね…だって、ねえ……。今気付いてもさあ!とかー(泣)いや気付いてよかったな!とも思うけどな!気付くならもちっと早く気付け!とか。ああでもそうなると来栖が不憫だ。あああー(泣)

緒方さんの声も、「張る」ではなく「通る」。囁き声も綺麗に伝わる。チェロの生演奏とともに、とても心地よく響きます。

再演と言うこともあり(これから定期的に上演されていくんだろうな。いくといいな)観客のレスポンスも昨年よりよかったような。大向こうも飛んで賑やかな楽日でした。楽しかったです。あー大隈講堂での上演も観たかったな。

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■『よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり』よしながふみ
自分が未読のマンガの話題も沢山あったけどぐいぐい読めた。実はかなり深く重いことを話していたりもするんですが(フェミニストであることをどう表現するべきか、表現しなければならないのか等)おんなの夜通しおしゃべり@ファミレスみたいなノリで話されているので、すごく読みやすいです。
最近おんな脳の話をしていたのでやたらと納得する部分もあった(笑)やっぱりこういう話の飛び方、拡がり方は、その場では何の役にも立たないけど、後々振り返ると「なんていいこと言ってんだ!」ってこともある。ないことも多いけどな!ビバ無駄話。いやこの対談集が無駄話と言う訳では。
その飛びまくりな話を読みやすく仕上げた編集さんもすごいと思うー。細かい注釈を付けたのもグッジョブ!
よしながさんの言う「抑圧」は、よしながさん自身の作品にも反映されている訳で、そこを描くか描かないでおくかの判断はよしながさん自身が考え抜いた結果なんだなあと改めて思ったり。ゲイリブに参加したくないゲイもいるのは勿論で、そのひとたちを無理矢理ひっぱり出すってのも違うもんな。そこを考えつつ、価値観の違うひととどう接するか、すっごいひとを「見てる」ひとなんだなあと思った。こええ!好き!
三浦しをんさんとの対談がすんごい興味深かったなー。個人的にはこの対談集の肝ではないかと思った。
羽海野チカさんとの仕事の話は、タイプの全く違うふたりだけに興味深く、なおかつふたりの作品にあれだけの魅力がある理由が垣間見れるものになっていました

『犬身』を読み始めてるんだけど(リネさん買ったよー!)、この流れで読むとまた面白いですな。ジェンダーどころか種も超えますよ。