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2006年11月18日(土)
阿佐ヶ谷スパイダース『イヌの日』

阿佐ヶ谷スパイダース『イヌの日』@本多劇場

悶々としつつ劇場に入ったらポンチさんに遭って(偶然)ちょっとホッとしてみたり。しかし終演後は悶々としつつ劇場を出たので挨拶もしなかったわーぎゃーすみませんー!最近こんなんばっかり!

そして井の頭線で吉祥寺に行って買い物する筈だったのに小田急線で新宿に出ちゃったじゃないかー!ああ何やってんだー!

そんな気分にさせる?内容でした。いやーよかった(あれ?)。160分くらいなんだけど、時間の経過は肌で感じるんだけど、それを長いとは感じなかったな…すごいよく出来てる…後味悪い…けどちょっと希望もある……最後の正行の態度、あれは希望ととるぞ……そうでなきゃやってられんぞ……。

でも取り返しはつかないんだよね。

それにしても長塚くんは登場人物にすごい愛情を注いで書くなあと思いました。なんっつうの、「この人物のことは理解出来ん」ってのはひとりもいなかったぞ…それってどうなの……理解出来たからって何の解決にもなりませんし、むしろやりきれないばかりです。

あとギリッギリで「これ以上言ったら甘い!」「これ以上言っちゃったらヌルい!」って“その先”を言わせないところがすごいな。ほんっとにギリギリ。ここらへんすっごい用心深く書いてる感じがする。その反面「思ったよりは地獄じゃないよ」とか「だって、お母さんだよ!」とか、グッとくること言わせるじゃないの。ああ憎らしいね!

その反面、語らないままのしぐさでガーンと来たり。あれは中山さんのアイディアなんでしょうか…写真撮影の時、洋介の頭を孝之がぐっと抱き寄せるとこ。

ちょっと前に『せりふの時代』で、鴻上さんが『LAST SHOW』の戯曲を読んだ時と舞台にのっている時の違いを的確に書いていて、それが長塚くんの強みでもあり弱みでもあるなあと思ったばかりだった。でも、劇作家、そして同時に演出家、でもあれば、これはかなりの強みではないだろうか。とも思った。

初演は観ていないのですが、今回の改訂にあたって母親が出て来たとのこと。この母親がかなりのキーになっていたので、彼女が不在の初演を観ていたとして、共感出来たかは判らないな…。

役者陣は皆さん素晴らしいです…大堀“美脚”こういちさんは『恋の片道切符』以降鬼気迫る役が続いていますが、これ、かなり珍しいと言うか新境地ですよね。このひとがこんな役なんて、今迄想像つかなかった。もう最悪よー!伊達くん怖過ぎるハマり過ぎてる、中山さんやっぱちょっとおかしいでも度量が大きい何その愛情表現!内田くんダメっぷりがいい!美保さんの壊れっぷりはヤバいこれに共感してしまうとは!村岡さんいちばんマトモな役なので気の毒で気の毒で、八嶋さんの狂気は舞台でしか観れないこのひとは実は怖い、剱持さんミューズ!松浦さん孝之の思いに気付いてやってくれー(泣)玉置さん身体がユルい!(笑)でもあのシーンは泣けたよ…。長塚くんこういうダメ男ハマるねー(笑)いい座組です。

あと長塚くんは女から見てヤだなあと思う女の言動を演出するのがウマいですね…最後の水野さんと大久保さんのとこね。ああいうのホント苦手だーしかしそれを男が気付いてるってところにちょっとホッとしたりもしました。

楽日にもう一度観に行きます。