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2005年12月17日(土)
『12人の優しい日本人』+α

『12人の優しい日本人』@PARCO劇場

面白くない訳がない。と思って観に行って、実際面白い。これ以上に何を書けと〜!

と言うくらい面白かったです。再々演も映画も観ていて、展開も結末も知っているのに何でこんなに面白いかな!1幕劇で、1シチュエーションで、皆出ずっぱりで、派手な演出もない。三谷さんの作品はいつでもそうだ。でも何かが必ず残る。それは社会への疑問だったり、個人個人の中にある醜い部分であったり。そういうことも、全て笑いで書いてみせる、何が何でも笑いで表現してやると言う喜劇作家の誇りと意地が、三谷さんの書くものには必ずある。

三谷さんは「自分の主張のために芝居を利用するのは好きではない」と言っている。笑ってスッキリ帰って貰いたいのかも知れない。それでもやっぱり考えてしまう。あー面白かった!だけでは帰れない。最後にひとり残された2号の姿は、とても重かった。数年後に実際に導入される裁判員制度。付和雷同しがちな日本人に、この制度はうまく機能するんだろうか?とも考えさせられました。1号の話(以前有罪にしたひとのことが忘れられない)もズッシリきた。

TSBのメンバーがひとりもいない『12人〜』は初めて。相島さんではない2号も初めて。TSBは学生劇団から始まったので、劇団員の年齢が皆比較的近かった。『12人〜』はあらゆる年齢、あらゆる出自のひとが陪審員として集められ議論を繰り広げるストーリーなので、TSBのメンバーでやった場合、老け役を何人かが担当する。で、ここは老け役が巧いひとが多かった。演技力として観られる楽しさもあった。

プロデュース公演の場合、ある程度その役の年齢に合ったひとが出演する。その分「出来て当たり前」と思われる訳で、アドバンテージがありそうで実はない。しかも再演、面白くない訳がないと思って観客はやってくる。出演者には相当なプレッシャーがあったのではないかと思いました。

とは言っても流石実力派揃い!皆さん面白過ぎました。個人的には久々にひんやりした小日向さんを観られたのがよかったな。そうだよこのひと最近かわいいおっちゃんとかひとのいい役多かったけど、実はこういう頭の切れる役、ハマるんだよ…。江口さんは何の不安もなく観られたのがビックリ(失礼)これが初舞台とは凄いですねー。弁護士のふりをした役者、と言うややこしい役をゆったり演じていました。余裕余裕。でも手にびっしり汗かいてる設定なんだよ(笑)筒井くんのツッコミが大ウケでした。

そうだ、何度も観ているのに今回初めて思ったことが。11号って、何で4号と10号に加勢しようと思ったんだろう?…まあ11号が実は正義感に溢れる人物だった、とも言えるけど、それ迄は有罪を主張していた(執行猶予を付けると言う前提で、だったけど)のに。うーんやっぱりおいしい役だなあ、11号。

もうひとつ。伊藤(俊人)さんがこの作品に出演することはもうないんだなあ、とふと思った。でも伊藤さんのことを、そういうことであっても思い出せるのは、いいことなのかも知れない。忘れ去ってしまうことはないのだから。三谷さんの言う通り、伊藤さんのことを語り続けるひとが途切れることはない筈だ。

あ、おーもりくんから砂羽さんにお花が贈られてきてました。

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■『THE PERMANENT COLLECTION OF NEW DESIGN PARADISE』@日産本社ギャラリー、日産銀座ギャラリー
フジテレビ『ニューデザインパラダイス』の作品が実際に観られます。実用化してほしいものが沢山、そうでもないのも何割か(笑)コンセントは実用化してほしいなー!婚姻届は実際に採用されているそうです

■『life/art '05』@SHISEIDO GALLERY
今の展示は今村源さんのものですが、実は須田悦弘さんの作品が紛れ込ませてあります。3つ見付けたけど、見逃したのもあったかも…須田さんは他の4人全ての作品に介入するようです。これは全シリーズ観ないと!