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2004年07月16日(金)
『ハロー・アンド・グッドバイ』

『ハロー・アンド・グッドバイ』@俳優座劇場

WIREの前にこれ、2日続けてのふたり芝居。

何故弟は家から離れられないのか。何故姉は家を捨てたのか。姉はハローとやってきて、グッドバイと去っていく。二度と戻らないってことは、ないんじゃないかな。

弟の言葉を借りて、随分と宗教観が語られた。舞台の中央にも、まるで朽ちかけた十字架のような柱も立っている。そこをよりどころにするかどうかってのもかなり問題として大きい感じがした。これが書かれた時代背景もあるだろうが、弟が随分姉の中絶についてショックを受けていたのも、まだ生まれてこない子供の命を奪ったと言う事実だけではなく、宗教的な意味あいも大きかった気もした。

この宗教観や、“プア・ホワイト”の重みは正直日本人には伝わりづらい。そこで姉と弟と言うきょうだい、そして今は不在の父と母に視点をしぼりやすく見せたのかなとも思った。勿論戯曲にはその全てが詰まっているんだと思う。

久世姐にどつかれて転がった北村くんのシャツがめくれて背中が見えた時、腰のあたりにでっかい青タンがあってひえ〜。振付は勿論ついているんだろうけど、かなり激しいアクションなので、怪我もしちゃうよなあ。お、おだいじに〜。ガタイはでかいのに姉ちゃんに手あげられたらびくーとかなりそうな、大きな犬のようなかわいらしさの弟くんでした。だからこそ家から解放されてほしいとも思った。でも、彼は自分の意志でそうしているんだ。誰かにつれだしてほしいとも思った。でも、きっと無理だ。

久世姐は格好よかったよ。パンツ見えてドキドキした(またか)父親が永遠の不在になっているとは知らず、いろんなことを口にする。聞こえてないわよと言いつつ、実は父に聞いてもらいたかったのかも知れない。母親の思い出は衣類の残り香でも甦る。そういうものってやっぱり残しておくといいもんかも知れないな。今度実家行ったら探してみるか。