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2003年05月19日(月)
『ロレンス1918』

『アラビアのロレンス』後日談。砂漠で名を馳せた“無冠の帝王”T.E.ロレンスが、帰国後アラブ独立の為に孤軍奮闘するが叶わず、政治的失脚ののち回想録を書き上げる迄の物語。

『アラビア〜』を観たのはTVで、小学生の頃。歴史的背景は勿論、ロレンスの人物像もよく判らないまま、「砂漠が綺麗だな〜」「ラクダってすごいな〜」くらいの印象だったんですよ…。そんなノリで観てしまったもんだから、うっ、む、難しい。この台詞、このシーン、きっと『アラビア〜』の知識があれば理解出来る筈!って箇所がたーくさんありまして…。

ロレンスの性癖とかも、当時の小学生には判りませんし(苦笑)えーと確かロレンスには同性愛の傾向があったんだよね?それも何て言うか、私生児故の母親への不信感から来るものじゃなかったっけ?なのでどちらかと言うと男が好きだから〜と言うより、女のひとが苦手で…とかじゃなかったっけ。『アラビア〜』ってそんな描写があったっけ?憶えてない!

今観ると「石油の為にひとは争って…」ってくだりがやけに心に留まります。

と言う訳で、独立したものとしても面白いけど、ロレンスの知識があればもっと楽しめるものだと思われます。ちょっと調べてみたらこの作品、ロレンスマニアからも結構評価が高いらしい。憶測の部分もはっきり描いてしまってたりするし。先述のゲイ説についても、はっきり「(女性とは)出来ないんだ」って言っちゃってるし。

とは言いつつ不安だったので、日曜日に歌舞伎を観に行った際(團菊祭楽しかったですー)周防さんに「それでいいんだっけ?」と訊いてみたら「そうですよ、モテモテですよロレンス。友情以上のものを王子やその部下から云々」と御墨付きが(笑)そう考えるとファインズさんにしては珍しい役かも。女性が絡んできませんよ!まあね、あんだけ美しければ男に襲われても(以下自粛)

と言う訳でファインズさんは良かったです(笑)政府・母国への絶望、ファイサル王子(この役者さんかわいかった)との複雑な思いの信頼関係等、どっちに転ぶか読めない感じが面白かった。このひとの無表情って、微笑も入ってるんだよね。誰が味方か敵かをあの笑顔の裏で選択してるような感じ。その表情が崩れるシーンもある。失脚後、「威風堂々」をBGMに上映されている自分の伝記映画を、くまくっきりの顔、ぼさぼさ髪な姿で観ているロレンスは痛々しかったな。こういうとこは流石です。

台詞の魔術師としての彼の魅力は、英語とフランス語を通訳スピーチするシーンで堪能出来ます。聞き惚れるわ〜。スピーチのシーンでやけに得意そうだったり、マスコミ嫌いな風でいて記者団に囲まれたらちょっと嬉しそうだったり、ロレンスの矛盾したナルシスト振りがよく出ていました。

そうそう、ナルシストと言えば!鏡やガラスに映った自分を見て「うふふ うふふ(意訳)」と笑ったりしてるんですよ!それこそほら、ナルシストの語源の神話で〜水面に映る自分を見て「うふふ うふふ」ってなってるうちに水仙になっちゃったって言うのあるじゃないですか〜。危ないファインズさん、あんまり自分にうっとりしてると花になっちゃうよ!

やたらアップのシーンが多いのもそれが狙いなんでしょうか。…寄るわ寄るわ。画面の切り返しもアップ対アップで何度も、とかあってね…。随分ファインズさんの美貌を堪能出来ました、ニヤニヤ。アラブ正装のファインズさんが観られるってのもオイシイね!もう大変よ!バイクや自転車に乗るシーンもあり(ロレンスはバイク事故で死んじゃうからね…)これも貴重だわー。

そしてまた入浴シーンがあるよ!(大笑)しかもそのシーンが長い。ここ結構重要なところなんだけど「またか!」って狼狽しちゃって上の空になっちゃったよ!(巻き戻して観直しました…)傷だらけの背中が痛々しいよー。話の流れが出生の秘密や、「君は男か女かわからなかった」って方向へ向かっていったので、このままロレンス襲われちゃうのかとドキドキしました(笑)

はあはあはあ、と言う訳で現在『アラビアのロレンス 完全版』レンタルしてきてます、出直してきまっす!