よるの読書日記
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柳原望の描く話は何故かどれも優しい。 そしてちょっと痛い。 登場人物は皆欠点を持っている。 わがままだったり、向こう見ずだったり、 策略家もいるし頑固者や悪党もいる。 でも誰かを苦しめたり傷つける行為が、 加害者にとっては時にその人なりの愛や 正義のためであったりするのだと強く感じさせる。
「さんさんさん」2巻〈花とゆめコミックス〉 でも、それは随所にちりばめられている。 例えばパン屋が子供にあげたパンを 地面に投げ捨てた母親には 我が子の健康を守る義務があり、 それが何であれ断りもなく与えられては 困るという考え方だってあるのだ。 (しかもまずいと言うものならナオサラ(^_^;)
人間て弱くて愚かで仕方ないなぁ、 と彼女の作品を読むといつも思う。 自分も含めて皆情けなくてみっともなくて 失敗だらけで、でもそれがひとなのだ。 じんわり優しくて、ちょっと痛い実感である。
ついでに最近特に良かったのは 「ひまわりの記憶⇔録」(「くだんからの伝言」所収)。
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