よるの読書日記
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2001年08月09日(木) 甘い痛み

柳原望の描く話は何故かどれも優しい。
そしてちょっと痛い。
登場人物は皆欠点を持っている。
わがままだったり、向こう見ずだったり、
策略家もいるし頑固者や悪党もいる。
でも誰かを苦しめたり傷つける行為が、
加害者にとっては時にその人なりの愛や
正義のためであったりするのだと強く感じさせる。

「さんさんさん」2巻〈花とゆめコミックス〉
でも、それは随所にちりばめられている。
例えばパン屋が子供にあげたパンを
地面に投げ捨てた母親には
我が子の健康を守る義務があり、
それが何であれ断りもなく与えられては
困るという考え方だってあるのだ。
(しかもまずいと言うものならナオサラ(^_^;)

人間て弱くて愚かで仕方ないなぁ、
と彼女の作品を読むといつも思う。
自分も含めて皆情けなくてみっともなくて
失敗だらけで、でもそれがひとなのだ。
じんわり優しくて、ちょっと痛い実感である。

ついでに最近特に良かったのは
「ひまわりの記憶⇔録」(「くだんからの伝言」所収)。



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