雲間の朝日に想うこと


< 花丸をもらえますか >


掴めば逃げる。

掴もうとすると、
真綿の様に風に流されて、
逃げてしまう。



触れれば消える。

触れようとすると、
白砂の様に柔らかく崩れて、
消えてしまう。














貴女がこの雪の様に、
俺の目の前に降って来たら。

手のひらを差し出すべきなのだろうか。


はらりとこぼれ、
すっと溶けてしまわない様に。

手のひらを引っ込めるべきなのだろうか。
















時々真綿の様に、
ふわふわと流されて行ってしまうから。

時々砂山の様に、
さらさらと崩れて行ってしまうから。






 「人に揺らされない強い気持ちを持つこと!!」

 「今年の目標です。」
 「目標達成できたらハナマル♪ください。」





貴女が据えた心の柱。

貴女が見据えた、
未来へ伸びる大黒柱。









貴女を包み込んで、
その柱を護る事。


俺の目標を達成出来たら、
ハナマルを下さい。


2003年01月30日(木)


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< 何を言えれば良かったですか >


どれだけ上手に言おうと、
どれだけさらりと口にしようと。


愛しい人にあの一言を伝えた時。

言い様の無い重みと、
言い様の無い大きさを持った核が、
奴の心に産まれて居たんだ。




奴は一人前の雄。
そして不器用な雄。

一度口を開けば、
鉛の様に重く、
針の様に鋭い、
そんな言葉しか吐けない奴だから。




 「おまえのおむつも替えてやるから。」













奴の想いの結晶は、
見劣りする物なのだろうか。

奴の想いの結晶には、
まだ足りない光があるのだろうか。








 「ごめんね。」
 「あなたと結婚する気はございませんの。」



自分の想いに返る言葉を、
ぶつけた想いに返る答えを、
友は人伝てに耳にした。



 「俺に何が足りない?」

 「年齢か?俺が年下だからか?」
 「地位か?信用度が無いからか?」
 「旦那か?まだ籍を抜けないからか?」
 「経済力か?彼女の子を養えないからか?」



 「それとも愛情なのか?」



奴の尽きる事無く並ぶ疑問符達。

何故俺に出来る事は、
其処に居続ける事だけなんだ。


意図は何だ?
真の意味は何だ?


お互いに、
あなたの子供が欲しいと言い合っても、
一緒には居ないと言う理由は、
いったい何だ?











もし貴女が俺に、
この言葉を伝えて来た時。

この言葉の意味を、
この言葉の意図を、
俺は正確に捉えられるのだろうか。




 「俺、わかんねぇんだよ。」



一匹の雄が、
また隣でのたうち回る。


2003年01月29日(水)


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< 独善の想いでしたか >


人が人に何かを与える時、
人が人に奉仕する時。

決して見返りを望む訳では無く、
決して感謝の心を期待する訳でも無い。




好意の押し売りなど、
善意の押し付けなど、
有ってはならない。

それだけこの思いは、
崇高な物だから。







俺が貴女に何かを与える時、
俺が貴女に奉仕する時。

決して見返りを望む訳では無く、
決して感謝の心を期待する訳でも無い。




愛情の押し売りなど、
愛情の想い込みなど、
有ってはならない。


それだけこの想いは、
高貴な物だから。










 「六月も九月もそっちに行くから!」
 「十二月も絶対そっちに行くから!」



俺の誕生日と貴女の誕生日。
俺の住む地域と貴女の居る地域。

二つ偶然から、
二人の逢える機会を増やす事が出来る。


この事実を伝えると、
貴女は嬉しそうに弾んでいた。



 「十二月じゃ、俺がここに居るかわからないでしょう。」
 「仕事次第でしょう。」

 「そっか・・・」



余りに先の事。
未確定な要素が多過ぎる月日。

そして、
開けた未来への期待感。
見えかけた未来への期待感。



それだけを伝えたかったのに。













この事実を伝えると、
貴女は突然泣き出した。



 「環境が変わると・・・」
 「良くある話だよね・・・」
 「小坊主は離れて行かないよね・・・」



いきなり半泣きになる貴女を扱い切れずに、
戸惑いを隠せない。





何が不満?
そんなに不安?
今を変えるなと言う事?
来られなくて良いと言う事?


俺が進めば、
貴女を側に呼べるのに。

俺が進めば、
貴女ともっと近付けるのに。
















愛情は一方的であって、
相手を想う心のみで構成されている。

愛情は一方的であって、
相手から想われる心は何処にも無くて良い。



俺が只、
至極当然である事を忘れていただけ。


2003年01月27日(月)


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< あなたは好きを消せますか >


アイツは俺を攻めたのか。

攻め立てる事でしか、
自分を保てなかったのか。


 「なんで小坊主の事を教えてくるの?」
 「元彼女に近況報告するのはそんなに変な事?」






問いかけるアイツに贈った答えは、
俺の気持ちを素直に書いた文字は、
アイツには納得出来ない物。


 「好きだから知りたいと思うよ。」
 「そう取られるなら迷惑。」






俺は偽善者か。

俺を偽善と決めつける事で、
自分を護ったのか。



けれども。

俺が悪者を演じて事が解決するなら、
それで充分じゃないか。




 「今の彼女が気分良く思わないだろ。」
 「彼女がいるならするべき事じゃないんじゃないの?」



この言葉を偽善と思ってアイツが進めるのなら、
俺には上出来だ。















読み慣れた日記に綴られた想いは、
何処か見慣れた光景に見えた。



作家の心模様を、
書き殴ったかの様な文字。

作家の気持ちを、
乱暴に投げ付けたか様な文字。


言葉の匂いが攻撃的と感じるのは、
俺の防衛本能が、
少しだけ活動的になっているからだろう。






 「彼の為に良かれと思って吐いた言葉」
 「やっぱり彼には届かなかった」
 「彼はあたしを攻めたてた」

 「1度でも好きになった男の幸せを願う」
 「普通のことなんじゃないんですか?」



例え性が入れ替わったとしても、
感じる想いに差は無いのだろうか。

性の違いは、
体内物質の違いは、
感情の支配に違いをもたらさないのだろうか。









別れた男は、
まだ「好き」が消えずに彷徨う人なんだ。




あの作家も、
まだ「好き」を消せずに戸惑う人なんだね。







     >> This letter is supported by MARICO. of 22 Jan. 2003.
     >> Thank you very much for your collaboration.


2003年01月26日(日)


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< 少しだけ安心をくれませんか >


貴女の言葉が、
不安そうに聞こえるのは、
どうしてだったのか。

俺の言葉が、
不安そうに聞こえたのは、
どうしてだったのか。



貴女の側に居る限り。
貴女と付き合い続ける限り。

この不安感が消える事は、
きっと無い。






 「私って猪突猛進?」
 「私って突っ走り過ぎ?」





貴女の良い所も、
貴女の苦手な所も。

少しずつ分かって来たから。


俺の振る舞いも、
俺の思考も。

貴女に伝わり始めているから。




だから貴女は、
何も変わる事無く居れば良い。

貴女の魅力まで削り取る必要は、
何処にも無いのだから。

















 「だから氏名が必要って言ったじゃない。」
 「だってぇ・・・」

 「だから予約出来んのか聞いたじゃない。」
 「だってぇ・・・」

 「だから来いって言えないんでしょ?」
 「だってぇ・・・」












なぁ?



少し変われと願っても、
貴女の魅力は無くならないだろうか。

少し変われと想っても、
貴女の魅力を失ってしまわないだろうか。




















宿泊先から、
問い合わせのメールが届く。


 「小坊主様の下のお名前もお教え願えますか?」







お詫びと、
必要事項を、
慌てて送り返した。


2003年01月24日(金)


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2002年01月24日(木) 二人の形が中身より大切ですか



< どちらを選べば正解ですか >


貴女への想いが確固たる物だと、
自信を持っていても。

俺の想いとは裏腹に、
迷い、
戸惑い、
悩み、
結論を出せない時がある。




 「どうする?」
 「どうしようか?」



俺への想いが確固たる物だと、
自信を持っていても。

貴女もまた、
迷い、
戸惑い、
悩み、
二者択一の解答を出せずにいる。















重さを取るか、
長さを選ぶか。

深さを取るのか、
回数を選択するのか。





逢瀬の深さを大きくすれば、
逢瀬の数は減る。

逢う回数が減る事を避ければ、
逢うだけの週末。


どちらかを選べば、
どちらかを捨てざるを得ない。






俺も貴女も、
経済的な弱さが最大の障害なのだから。

俺の不安は、
経済的な弱さにしか無いのだから。














 「大丈夫?」
 「大丈夫!」

 「本当?」
 「予約しちゃうからね!」

 「お金用意しなきゃ。」
 「温泉楽しみだね!」




貴女の最終選択。






違うよね。
そうだよね。


迷い、
戸惑い、
悩み。

原因は只一つ。












逢う回数が多いのも、
逢瀬の想い出が強い物になるのも。

二人にとって、
どちらを選んでも正解だから。


2003年01月23日(木)


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< 近付く形は理由ですか >


体力と、
金と、
精神力と。

多くの消耗を強いる関係。



距離上回る何かを、
お互いが感じ続ける事。
距離を上回る力を、
お互いが得られている事。

大前提に疑問が生じた時に、
お互いの制約へ恨み言を吐きたくなった時に、
強固だった筈の絆は簡単に千切れる。


そんな不安と背中合わせの関係。




初めて貴女に弱音を吐いた。

貴女が側に居ない事を、
貴女が遠く離れた地に住む事を、
初めて本気で辛く感じた。

あの時から、
もう二月も経っているのか。








離れる事への理由が、
離れて住む理由が、
お互いの上に存在する不幸だとしたら。


近付く為に理由が必要な時、
俺は何を想うのだろう。











 「もっと近くで支えてあげたい」
 「自分も自分の道を歩きたいと思った」

 「それを理解し共に手を取ってくれた人」
 「側にいて欲しかった」



知り合いの言葉は、
とても前向きな言葉だけれど。





 「これを実現させるために」
 「『結婚』という『理由』が必要だった。」

 「そうじゃなきゃ『結婚』なんてしない。」



知り合いの決意は、
本当に後向きの行為だろうか。


周囲から強いられた形に取り憑かれて、
形が存在すると言う幻想に取り憑かれて、
二人は押し潰されないだろうか。










近くに居たら、
一緒に居たら。

遠く離れた地に住んでいる貴女に、
初めてそう願ってから、
もう二月。


それでも俺は此処を動けない。
そして貴女もきっと動けない。





あの時の電話以来。
あの時のメール以来。

常に言い聞かせている。
常に想い返している。



 「近くにいたら温もりを感じる事が出来る。」
 「一緒にいたら安心する事が出来る。」
 「でも今それが出来ないから」

 「小坊主も自分も安心出来るよう頑張らなきゃな!」



例え返事を出来なくても、
例え返事を打てなくても、
貴女の言葉が俺の力。

離れてるから想える事が、
離れてるから持てる力が、
其処にあるじゃない。











二人も感じて来た気持ちだろうから。

真の気持ちを、
底の気持ちを、
忘れずに春を迎えて欲しい。


2003年01月22日(水)


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2002年01月22日(火) 俺を求めて泣いてませんか



< 必死に覚えたのですか >


未だ大丈夫だろう。
今度も切り抜けられるだろう。

ほんの僅かな希望的観測。


もう駄目かも知れない。
今度こそ終わりかも知れない。

ほぼ確信に近い推測。




あの時の俺は、
貴女を失う事実に戸惑い、
目の前の出来事を、
只傍観しているだけだった。

あの時の俺は、
貴女を失う事実を受け入れられず、
目の前の出来事から、
必死に逃げようとするだけだった。









強情に。
きっと強情に。

貴女の強情さには、
若干の呆れと、
若干の諦めと、
沢山の嬉しさを感じる。










 「教えたっけ?」
 「必死に覚えたの。」

 「何時の間に?」
 「あの時。」





俺が写真を見せた時。

俺が貴女へ花の香を届けようと、
封筒から写真を取り出していた時。




俺がホテルで抱いた時。

俺が貴女を貪り尽くそうと、
渾身の想いで壁を突いていた時。




俺が空港で嘆いた時。

俺が貴女を助けられずに、
只黙って貴女の携帯を睨んでいた時。











物覚えの悪い貴女が、
必死になって覚えようとしていたのは、
俺の実家の住所だった。



 「ストーカーとかアヤシい人じゃないよ!」
 「封筒を見たら小坊主の住所書いてあったから。」
 「写真見ながら、住所を必死に覚えたんだよぉ〜!」



物覚えの悪い貴女が、
一字一句間違えずに繰り返していたのは、
俺の実家の住所なんた。










強情に。


あの晩も、
あの男と話し合ったあの晩も、
きっと強情に。








貴女の強情さには、
敵わないな。




     >> 参照 2002年6月1日 「また逢えますか」 <<


2003年01月20日(月)


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< 拒絶ではないと言えますか >


貴女へ贈った言葉は、
決して拒絶の言葉では無かった。

貴女へ贈った言葉は、
貴女を避ける為の言葉では無かった。



 「来なくて良いから」








貴女の相手として、
あの男が存在していた時。

事実を覚られてはならなかった。


だから貴女は、
俺の街へ来る度に俺を隠し、
冬は大人しく姿を隠したんだ。




俺の相手として、
法の壁が存在していた時。

発覚は即ち別れを意味していた。


だから貴女は、
俺の街から戻れない事を恐れ、
飛行機の飛ばぬ日を恐れたんだ。




 「来なくて良いから」




貴女へ贈った言葉は、
決して拒絶の言葉では無かった。

貴女へ贈った言葉は、
貴女と俺を護る為の言葉だった。










今はもう、
貴女の身体は何者にも束縛されない、
自由な身体なのに。



 「何時がレースなの?」
 「小坊主の姿が見たい!」
 「小坊主の姿を見るだけで良い!!」



そう願う貴女を、
集中出来ないと言う理由だけで止めた。

言い張る貴女を、
相手出来ないと言う理由だけで止めた。









相手は出来ないけれど、
来い。

迎えに行けないけれど、
迷子になっても知らないけれど、
来い。


そう言ってやれない俺に、
貴女を束縛する資格があるのだろうか。






 「来なくて良いから」



貴女へ贈った言葉は、
やはり拒絶の言葉に違いない。


2003年01月18日(土)


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2002年01月18日(金) それでも許してもらえるでしょうか



< 湧水を一杯もらえますか >


庭に土足で踏み込んで。

敷き詰められた芝生も、
無造作に生えた雑草も、
一緒くたにして踏み荒らす。


部屋の壁を叩き壊して。

並べられた硝子細工も、
飾られた額縁も、
一緒くたにして引っ繰り返す。





他人の心を無理やり抉じ開ける事など、
例えどんなに近しい人ですら、
許されざる事なのに。





近付いて来る物体が、
貴女とわかると。

突進して来る物体が、
貴女とわかると。


其れが無謀で、
余りに心配で、
扉の螺子を少しだけ緩めてしまう。









殻を閉じて、
馬鹿みたいに一人で抱え込んで。

そんな行為など、
貴女の直滑降の前では無力だと、
早く俺も認識すれば良いのに。












 「何でも言ってよ。」
 「一人で悩んで考え込まないで私に話してよ。」

 「頼りないけど、私を頼って欲しい。」



貴女へ問えば、
問題が解決するとは想えないけれど。

貴女へ問えば、
答えが返って来るとは想えないけれど。



貴女の魅力は他に有って、
とても頼りになる。

















 「手羽先って怖いよね?」



貴女の不可思議な言葉を聞くだけで、
貴女の不可思議な思考に触れるだけで。

俺はまた、
闘う力が湧いて来る。






貴女は他に無くて、
とても頼りにしている。


2003年01月17日(金)


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< 箱を開いて良いですか >


仕立ての服に、
初めて袖を通す時。

自分を着飾る事に、
照れを覚えた。


果たして自分に、
この衣を身に纏う資格が有るのかと。

果たして自分は、
この衣を身に纏って良いのかと。





降り積もった新雪の上に、
初めて足跡を残す時。

自分の行為に、
罪悪感を覚えた。


果たして自分に、
この景色を壊す資格が有るのかと。

果たして自分は、
この風景を独り占めにして良いのかと。









使いたいからこそ、
欲しいとねだったのだけど。

新品のまま残したくて、
汚してしまうのが惜しくて、
なかなか使えなかった。


 「なんで?使ってよ。」
 「年明けてから使うから。」


口ではそう答えたのに、
年が明けても箱に入ったままだった。










貴女から贈られた財布。
聖夜の贈り物を手に取った。

今日がその時だと想ったから。







今の俺に、
力は無いかも知れないけれど。

今の俺に、
資格は無いかも知れないけれど。


贈り物の力を借りても良いよね?
貴女の力を借りても良いよね?


2003年01月15日(水)


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< 夢も形に出来ますか >


心を形に出来たら。
想いを形に出来たら。

誰もが一度は願う事かも知れない。


自分の心を見る事が出来たら。
自分の想いを見る事が出来たら。

願いが現実になる事など、
多くは無い。








素直に。
只素直に。

強く願う事で、
貴女は形を創り出せるのか。










 「昨日温泉に行こうね〜って話してたから」
 「一緒に温泉に行く夢見ちゃいました」



貴女の力が欲しいと想った。


願えば形になる、
そんな事は信じていない。

自分の力が形を創ると、
今も信念に変わりは無いけれど。




貴女の力が欲しいと想った。


願えば形を見る事の出来る、
貴女の強さが欲しいと願った。










 「行こうね」



素直に。
只素直に。

貴女への想いを強く願う事で、
俺は立ち直ってやる。


2003年01月14日(火)


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< 殻を閉じても良いですか >


好きだった男の事だ。
好きだった相手の事だ。

目の前の男を観察すれば、
僅かな変化を捉える事など容易だったのだろう。


 「大丈夫かな?」
 「気になってたんだよ。」


一言も漏らさなくても、
見えてしまう本音。
一言も漏らさなくても、
感じてしまう本心。

君に悟られるのは、
きっと時間の問題だったのだろう。


 「呼んでくれれば良かったのに。」


私が話を聞けば、
小坊主は楽になれるだろう。
私が話を聞けば、
小坊主は楽になれるかも知れない。

彼女の手紙は、
そう語っていた。











逢えなかったんだ。

怖かったんだ。

弱っているんだ。

君だけには、
逢ってはいけない気がしたんだ。











今の俺は間違いなく選択する。

君が受け入れようと。
君が拒絶しようと。



今の俺は間違いなく選択する。

取り返しの付かない頼り方を。
衝動的な頼り方を。









何かを壊してしまうよりも、
殻の中に居れば良い。

外の世界に変化があっても、
中の世界は変わる事無く続くから。


2003年01月13日(月)


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< 文字が歳月を見せるのですか >


自分宛に届いた年賀状から、
一枚だけを引き抜き、
机の上に置く。

去年届いた年賀状。



葉書の裏には、
貴女が付けた大きな口紅の跡がある。


俺の唇を紅に重ねて、
初めて貴女の唇を奪った瞬間を、
想い起こした。










自分宛に届いた年賀状から、
一枚だけを引き抜き、
その隣に置く。

今年届いた年賀状。



葉書の裏の紅の跡は、
其処には無かったけれど。


俺の額に葉書を重ねて、
初めて貴女を奪った実感を、
想い起こす。















貴女の周りから、
あの男の物が一つ消えた。

たった其れだけの事なのに、
何故か大きな違いの様な気がしてならなかった。





貴女の書いた姓が、
元の姓に戻っていた。

たった其れだけの事なのに。



中に潜む一年の重みを感じて、
武者震いが止まらない。


2003年01月12日(日)


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2002年01月12日(土) 今日はどのくらい感じましたか



< また振り出しに戻るですか >


何度も。
何度も何度も。

永遠に終わりが来ないと、
錯覚する。


何度繰り返せば、
終わりが来るのか。

何度繰り返せば、
先へ進んだと実感出来るのか。








アイツから届く、
久々の手紙。

俺からの、
他人行儀な返信。



アイツから返る、
喧嘩腰の文面。

全く意に介さない、
俺の賺した言葉。



必ず翌日届く、
アイツから謝罪。

必ず前日と同じ時間に届く、
アイツから謝罪。




この1年間、
何も変わっていない関係。















 「読んでもらえるかな?」
 「何度もごめんね。」



そんな手紙なんて要らない。

もう一度など存在しない「他人」なのだと、
早く認識してくれよ。




 「どうしても謝っておきたくて。」



そんな謝罪なんて要らない。

自分を護る為の「自己満足」なのだと、
早く理解してくれよ。







アイツを嫌いになればなる程、
俺の過去が馬鹿な物に見えて来るんだよ。


2003年01月10日(金)


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2002年01月10日(木) 変われない原因は俺ですか



< 見守られていましたか >


場の雰囲気が一瞬で変わった事を、
俺は本当に理解出来ていたのだろうか。



友人の問いに、
俺は答えるべきで無かった。

俺の解答は、
自暴自棄以外の何者でも無かった。


友人達の問いは、
自然な問いなのに、
俺は不自然にしか答えられなかった。



けれども。

唯一の視線だけが、
柔らかで、
温かで、
少しだけ心強かった。









同期と開いた新年会。
昔馴染みと飲んだ新年会。


 「小坊主はどうなの?」


堰を切ったかの様に、
言葉が溢れて止まらなかった。

皆の驚きは、
徐々に笑いへ変わった。


 「小坊主もやるねぇ。」


機関銃の様に、
言葉が口から飛び出て行った。

皆の笑いが徐々に、
只の羨望へ変わって行った。








真剣味なんて何処にも無い。

自虐的に言葉を並べて、
道化の様に自分を魅せた。


 「節操無さ過ぎ。」


そんな言葉しか返って来ない事など、
分かり切って居たのに。

そんな言葉を返して欲しいから、
話した訳では無いのに。











君から届いたメール。


 「小坊主の発言に、みんなびっくりしていたねー。」
 「私は知ってたけどさー。」


全ての事実と、
俺の言葉の真の意味は、
きっと君には届いていたよね。


 「しもやけに注意してね。」


何時までも子供扱いだけど、
何時でも変わらぬ気持ちの様で、
それが嬉しかった。


2003年01月08日(水)


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< 予行演習になりますか >


炬燵で紅茶を飲みながら、
貴女を想い出した。

子供の帰りを待ちながら、
貴女を想い出していた。


初めて小さな彼を見る時に、
俺はどんな風に振る舞うのだろうか。




子供が食事をする様子を眺め、
二人で顔を合わせた。

子供が遊ぶ様子を見守りながら、
二人で顔を見合わせた。


初めて小さな彼と逢う時も、
こんな雰囲気の中に居るのだろうか。









友人の新居を訪問した。
母子家庭の新居を訪問した。
初めて子供と対面した。



息子が一人。
離婚をしたばかり。

友人と貴女の状況は、
ほとんど一緒。



友人に貴女の姿が投影される。
息子に小さな彼の姿が写し出て来る。

緊張感が顔に出ないよう、
必死に平静を装った。












 「忙しい?」
 「電話できるかなぁ?」


貴女から届いた言葉。
貴女が珍しく口にした言葉。


 「どうした?」
 「何かあった?」


ちょっと焦ったふりをしたけれど。
ちょっと心配なふりをしたけれど。







本当は待ち望んでいた。
本当は待ち遠しかった。

貴女の家の空間が欲しかった。


2003年01月06日(月)


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2002年01月06日(日) 今日は帰ってくれませんか



< 気持ちを薄めて行けますか >


アイツは何故、
この日を選んだのだろう。

年賀の便りを何故、
この日に届けたのだろう。



偶然か。
思い過ごしか。

それとも意図的か。




 「明けましておめでとう」




少なくともこの言葉で、
アイツの事を思い浮かべた。

少なくともアイツの言葉で、
俺は訳を探った。





アイツと最後に会ってから、
丁度一年。

俺がその事を認識した時に、
アイツの目的は、
充分達成されたのだろうか。
















何の躊躇も無く、
年始の挨拶を返信した。

何の躊躇も無く、
振り切った事を自覚出来た。




 「おめでとう」
 「忙しいながらも楽しく過ごせています」




元彼女としてアイツを扱い続ける事。
もう過去だと書き続ける事。

拒絶ではなく、
これが正解だと信じていたい。


2003年01月04日(土)


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2002年01月04日(金) 相手が違うと感じませんか



< 矛盾する想いは願えませんか >


晦日に届いた貴女の手紙を、
もう一度読み返した。

正月に読んだ貴女の手紙は、
少しだけ新鮮だった。



 「今年は色んな事があった1年だったね。」



身の回りの出来事だけで、
何度も飽和した貴女。

身の回りの出来事だけに、
何度も翻弄された貴女。





あの一年で貴女は何を得たんだろう。


愛情?
幸せ?
安らぎ?
想い出?

俺?




あの一年で貴女は何を掴めたんだろう。


俺は何一つ失っていないのに、
貴女には、
失った物が多過ぎるから。




 「別れ、友情、信頼、絆・・・」
 「来年は取り戻し深めていきたいと思う。」



そう願う貴女に。
そう決意した貴女に。













願わくば。


例え俺が、
得て来た物を失っても。

貴女が、
失った物を取り戻せるよう。








願わくば。


例え俺が、
貴女との絆を失っても。

貴女が、
俺との絆を深められるよう。




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明けましておめでとうございます。

今年は平穏なスタートが切れました。
どんな一年になるか、
今から非常に楽しみです。


小坊主


2003年01月01日(水)


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History
2002年01月01日(火) 始まりはいつも俺ですか





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