雲間の朝日に想うこと


< 想像妊娠ですか >


貴女の声を聞いただけで、
俺は欲情して脈打ち始めた。


俺の周りには誰も居ない。
貴女の傍にも小さな彼は居ない。

その現実を知った瞬間から、
貴女が欲しかった。




 「ねぇ・・・」



俺の一言が合図。

俺との行為を想い出しながら、
貴女は真珠に手を伸ばす。


言葉で貴女を十二分に弄んだ後、
貴女の奉仕を想い出しながら、
俺は果てた。














 「こういう時はエッチの回数に入るの?」



最後の最後に、
貴女から撃たれた反撃。


例え離れていても、
例え言葉だけの契りでも、
俺と貴女の気持ちは一つになる。

確かに受話器越しなのに、
確かに現実には触れ合っていないのに、
俺と貴女の身体は一つになれる。

二人の間では、
自明の事だけれども。









貴女が手に入れた婦人体温計には、
二人の行為を記録する機能が付いているらしい。


真顔の質問に耐え切れず、
俺は瞼の裏で貴女を抱き締めながら、
鼻水を啜った。





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今年の更新は終わりです。

ちょっとした手違いから
皆さんのお目に留まるようになった形のこの日記ですが、
色々な所で話題にして頂けて感謝をしております。
今度も精進を重ねて行きますので、
来年もご愛顧下さいますようお願いいたします。

では。
良いお年をお迎えください。


小坊主


2002年12月30日(月)


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< もう一度笑っても良いですか >


次々に言葉を並べる時。
何か言い訳めいた言葉が並ぶ時。


貴女は必死かも知れないけれど、
俺は一段と楽しい気分になる。

貴女は懸命かも知れないけれど、
俺は笑いが止まらない。








貴女は俺の在宅を確認して来た。


 「荷物送っても大丈夫?」

 「不在でも再配達で受け取るから平気だよ。」
 「まだ実家には帰らないよ。」


俺は数日なら家に居る事を、
貴女に教えた。








貴女から贈られて来た荷物を、
三日遅れで受け取る。


 「飲み食いしながら開けない方が良いよ。」
 「もう見ないで捨てちゃって良いから。」
 「笑わないでよ!」


受話器の向こうの貴女にそう伝えると、
ますます貴女は言葉を増やし、
俺は不信感と同時に、
やっと貴女の真意に辿り着けた。



 「もしかして丁度で届くように贈ってくれたの?」















遅れて届いた聖夜。

俺を驚かそうとして、
俺を喜ばそうとして、
貴女は何も言わないから。


遅れて届いたツリー。

貴女の家と同じ飾りと、
一晩だけしか過ごせないんじゃ、
少し寂しいから。













暫くの間、
枕元に置いておきます。




年明けに此処に戻って来て、
もう一度枕元のツリーを見て。

もう一度笑っても良いでしょう?


2002年12月27日(金)


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2001年12月27日(木) 去年と同じ想いでしたか



< 不思議な御縁と言えるでしょうか >


教え子から届くメール。




 「今出先なんだよね」




彼は只、
これから住むかも知れない街を、
見に来ただけ。


彼は只、
これからの進路を思い浮かべて、
街を歩いただけ。




 「良い街だね」




そう言い残すと、
彼は再び、
自分の世界に帰って行った。











良い街だよ。



これから住むかも知れない街だよ。

これからの進路を思い浮かべて、
俺もその街を歩いたよ。












貴女の住む街へ行きたいと、
彼が初めて言った時。

俺は彼に何も言わなかった。
俺は口を開けなかった。



驚いたのか。

怯んだのか。




俺の想いなど歯牙にもかけず、
彼はまた一歩、
自分の道を進んだ。


2002年12月25日(水)


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2001年12月25日(火) 俺の匂いは残っていますか



< 劇薬でしたか >


例え目上の人であっても、
例え年上の人であっても。

言葉をぶつけ合う行為に理由があれば、
言葉の凶器は、
言葉のメスに早変わり出来るんだ。



何か手に入れたいから、
何かを求めているから。

言葉の凶器を放つ時には、
放つ方にも、
放たれた方にも、
前に進む力が足りないんだ。






 「昨日は厳しい言葉を言ってごめんなさい」





そっと文を寄越した後輩。


違う。

彼女が放った言葉は、
充分俺を奮い立たせる言葉だったよ。













彼女を応援したかった。

遠距離の彼を想って、
全く身動き取れない彼女に、
栄養補給をしたかった。



けれども、
俺の言葉は劇薬で、
強い副作用が、
彼女の心に残ってしまったのだろうか。








 「重いよ。」







彼女の結びの言葉が、
ズシリと重い。


2002年12月24日(火)


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2001年12月24日(月) 素敵なドキドキを忘れていませんか



< 少しは力が付きましたか >


唐突に始まる物語には、
やっと慣れて来た所なのに。


次々に繰り出される数々の技に、
満腹感から立ち直れない。

次々に飛び出す数々の言葉に、
白旗の用意で気が抜けない。





 「今日ね〜婦人体温計買ってきたの♪」

 「来年のスペシャルエッチ♪の役に立つかな?」





文面に並ぶ♪の多さに、
思わず吹き出した。








基礎体温だけでは判断出来ない事実を、
お互いに知っている。

貴女の体調次第で、
全く役立たない行為である事も、
お互いに知っている。


それでも、
俺を受け入れようとする貴女の猪武者振り。




俺と過ごせる時を想って、
既に貴女の心の中は満杯なのだろう。

俺と過ごせる時の想像で、
もう貴女の頭の中は一杯なのだろう。



貴女に感謝した。











貴女と出逢って、
少しだけ腹筋が強くなりました。


貴女と出逢って、
良く笑うようになりました。


2002年12月23日(月)


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2001年12月23日(日) まだ信じてもらえませんか



< 仕事の邪魔になりませんか >


久々に朝から声を聞いた。
貴女の声を朝から聞けた。

二日も続けて起こしてもらうと、
心なしか目覚めの良い自分に気が付いた。



 「今日の私はアヤシイ人になっていたでしょう。」
 「仕事中、小坊主が囁くんだもん。」



夕方に届く帰宅の合図。

早朝の言葉を想い出しては、
お互いにそっと顔を紅らめた。








朝から愛の語らいをすると、
その日一日中、
俺は貴女の背後に居られた。

朝から愛の語らいをすると、
その日一日中、
貴女を俺の目の前に置いておけた。


顔と顔が触れ合う位近付いて、
お互いの瞳を見ながら会話した。



お互いの頭の中で。












囁きの聞こえない日は、
囁きの聞こえない朝は、
少しだけ寂しかったから。


携帯の伝言に、
今朝は少しだけ言葉を残してみました。


2002年12月21日(土)


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2001年12月21日(金) 望みを持っていても良いですか



< 何時か天罰が下りますか >


あの日貴女に犯した行為は、
結果的には罪にはならなかったけれど。

あの日貴女に犯した行為は、
精神的には、
大罪に値する出来事だったに違いない。






お互い解っていて、
貴女は止められなかった。

それが罪だと言う神が、
もし居るならば。



お互い解っていて、
俺は敢えて止めなかった。


これを神は何と言うのだろう。










危険な日を承知で、
貴女の中に俺をぶちまけた。



 「子供が欲しかった」

 「子供が出来れば状況が変わる」



俺の丸出しの欲情では無くて、
俺の丸出しの欲望。









無事未遂で終わった事を、
ふと感謝した。


貴女の声より、
隣に居る小さな彼の声が、
どうしても大きく聞こえたから。


2002年12月19日(木)


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< お詫びになりますか >


貴女が何を言おうとも、
俺は譲らない。

貴女が何をしようとも、
俺は逃げない。


決意して挑んで行かなければ、
貴女には向き合う権利すら無かっただろうから。





 「自分を理解してくれなくても」
 「相手を怒ったら駄目だよ」




友の贈ってくれた言葉を、
俺の胸には刻み込んである。

少しずつでも歩んで来た自信が、
俺の胸には収められている。


だから貴女は、
何時でも俺の天使で居られるんだ。










 「小坊主に酷い言葉を言ってるね。」
 「受け止めて許してくれてありがとう。」
 「ごめんなさい。」




貴女はいつも言うけれど、
そんな言葉は俺には必要無い。

貴女の親友の為に使って欲しい。
あの人の為に使って欲しい。



 「私も成長しなきゃね。」



貴女の口から生まれ出づる言葉を、
そっと胸にしまい込んだ。










怒ったりしてごめん。
俺も成長しなきゃね。



貴女に言えなかったお詫びに、
貴女を胸に焼き付けておくから。


2002年12月17日(火)


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< 失っても構わないですか >


必要の無い事かも知れない。



自分にとって大切な恋人が、
誰と交流しようと。

その相手が良い人だとか、
その相手は止めておけとか、
そんな言葉を放つ権利は、
恋人には許されていないのだろう。






必要の無い事かも知れない。



貴女にとって無二の親友が、
俺と絶縁しようと。

貴女との関係も壊れないだろうか、
貴女との距離が離れて行かないか、
そんな心配をする権利は、
俺には与えられていないのだろう。







 「あの人にまだ想いがあるの?」







一番大切な人から届いた言葉。




俺の悩みは、
貴女にとっては只の不安要素。


何時まで経っても俺は、
貴女からの信頼も勝ち取れない。





俺の悩みは、
貴女にとっては只の不安要素。


貴女の親友と俺が上手く付き合って行く事など、
貴女を想って俺が必死に悩む事など、
頭の片隅にも無い。











貴女とあの人の距離だって、
微妙に壊れかけているじゃないか。


2002年12月15日(日)


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< 接する距離は教われませんか >


いつかこの日が来ると、
そう想っていた。

いつか必ずこう言われると、
そう想っていた。



お互いの距離感が、
半年前から微妙に崩れていた事も、
わかっていた。

貴女と関係を持ってから、
この日の為に延々と考えて来た事に、
結論を出せなかった。









他人との境目。
他人との境界線。

一番大切で、
一番難解な、
時と場合で七色に変化を繰り返す、
薄いくせに硬い膜。




 「小坊主の接し方ってネットの友達を越えてる印象を受ける・・・」



貴女にとっては友達。
喜怒哀楽を分かち合える親友。



俺にとっても友達。

けれどもそれは、
喜怒哀楽を分かち合えない、
ただの友達未満。















あの人が言う事は正しいのに。

あの人の求める距離が、
俺には難しい。


2002年12月13日(金)


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2001年12月13日(木) ぜいたくな疑問ですか



< 想いが重なる事は無いのでしょうか >


同じ言葉を贈ったとしても、
響き方は人それぞれ。

同じ相手に贈ったとしても、
奏で方は時それぞれ。


貴女と俺もまた同じ。







心の奥底に響いて、
何時までも消えずに残る言葉。

頭の奥底に響いて、
何時でも蘇って来る言葉。


偶然の積み重ねが産み出した、
淡く儚く脆い奇跡。






 「欲しいよ・・・」





貴女を求める俺の吐息が、
貴女の奥底に響いた俺の姿。

貴女を欲する俺の欲情が、
貴女の奥底に残った俺との時間。





 「ずっとこうしてよう・・・」





果てた後の互いの余韻が、
俺の奥底に響いていた貴女の姿。

貴女の中で安らぐ感覚が、
俺の奥底に残っていた貴女との時間。











同じ時を過ごしたとしても、
同じ時は過ごせない。



もっともっと貴女に近づきたい。


2002年12月11日(水)


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< まだ隣にいませんか >


欲情した貴女が居て。

欲情した俺が居て。









結局我慢出来ない俺が居て。

結局受け入れる貴女が居て。











貴女に感触が残っている様に、
俺にも残っている。

強く締め付けられた様な感触が、
じわりと残っている。





 「腹部に重みを感じています」

 「小坊主との時間を想い出しています」




貴女が無事に家に着いて、
貴女は日常へ戻った合図のメール。

貴女が遠く離れた家に着いて、
貴女は目の前の現実に向かい始めた合図のメール。










紅く染まったバスタオルに、
そっとキスをした。








俺はまだ、
目の前の現実に戻れない。

俺はまだ、
貴女が帰った事を受け入れられない。


2002年12月09日(月)


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< ちゃんと買えましたか >


逢った時から上の空で、
最初から落ち着きの無い貴女。

貴女の振る舞いに異常を感じた。


さっきから上の空で、
いつまでも落ち着きの無い貴女。

分かり易い貴女に微笑んだ。




そこまで挙動不審な行動をしなくても、
そこまで過剰に反応しなくても良いんじゃない?

そこまで謝らなくても、
そこまで必死に隠さなくても良いんじゃない?














月の女神が悪戯をして、
紅色の便りを少しだけ早く届けて来た。



貴女にとっても俺にとっても、
一番残念な事だけれど。

貴女にとっても俺にとっても、
一番大切な事では無い。


貴女とこうして逢える事が、
貴女にこうして触れる事が、
お互い待ち望んでいた事なのだから。















だからこそこそ俺を遠ざけないで、
早く買って下さい。

だからこそこそ俺から離れないで、
早く家に帰ろうよ。



紅を受け止める布なんて、
普段使い慣れている物でしょう?


2002年12月07日(土)


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< ちゃんと備わるでしょうか >


あの時の不安が、
再び鮮明に蘇って来た。


 「あなたの気持ちを利用した・・・」


あの時の台詞が、
再び鮮明に蘇って来た。


只の物語。
只のドラマ。

造り物の劇にあれだけ揺らされる事は、
最初で最後だと想っていた。
金輪際無い物だと想っていた。








俺が年下で、
貴女は年上で。

俺には経済力が無くて、
貴女にも経済力が無くて。

俺は未婚で、
貴女には命より大切な子供が居て。




気持ちではどうにも乗り越えられない現実が、
其処には存在する。

その現実を受け止めて押し返す力が、
今の俺には無い事も理解している。







 「離れていてもあなたは私たちのパパだから・・・」


画面の中から聞こえてくる台詞を、
いつの日か、
俺は得る事が出来るのか。


 「お前は俺のオヤジだろ・・・」


小さな彼の口から出てくる台詞を、
いつの日か、
俺は聞く事が出来るのか。







その時は来るだろうか。

俺にちゃんと、
その時を引き寄せる力は備わるのだろうか。


2002年12月06日(金)


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< 貴女の色まであと何日ですか >


画面に並ぶ、
色付けされた数字の列。

画面上のカレンダーには、
重要な予定を示す赤や黄色の数字が、
所狭しと並んでいる。



 「来年の手帳を買ったの!」
 「小坊主との出来事をいっぱい書きこめますように♪」



貴女から届いた無邪気なメール。


顔を上げて、
染められた日付の列に目を向けた。
顔を上げて、
間近に迫って来た色に目を向けた。











貴女が問うた俺の色。
貴女に伝えた俺の色。
貴女が身に纏った色。


貴女から衣を剥いだ時、
真っ先に目に飛び込んできた色。

俺が好む色。













淡い水色。





来年は今より、
水色に染められた貴女の日付が、
増えていて欲しい。

来年は今より、
貴女の色が増えていて欲しい。


2002年12月04日(水)


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2001年12月04日(火) そろそろ言いたい事は言い合えませんか



< 義務は果たせたで良いですか >


アイツの記した言葉は、
誰に宛てた気持ちだったのだろう。
アイツの残した文章は、
誰に宛てた想いだったのだろう。


そんな悩みを持つ必要は無いのか。




 「きっと勘違いなんかじゃない」




アイツは何故、
この言葉を記したのだろう。
アイツは何故、
この想いを残したのだろう。


そんな悩みを持つ必要も無いのか。




 「ただ自分の思う事を書いただけ」
 「何一つ小坊主に対して言ってはいない」










ふと懐かしい想いがした。









当たり前だ。



散々言い合って堂々巡りを繰り返したあの時と、
アイツは何ら変わっていないのだから。

俺は大きく変わっているけれど、
アイツは身動き取れないままなのだから。





 「あれが小坊主に対する気持ちであっても・・・」

 「あたしはわかってくださいとも言っていない」
 「あたしは返事をくださいとも言っていない」








それならそれで良い。

諦めであろうと、
失望であろうと、
強がりであろうと。



俺は義務を果たしたんだ。


2002年12月03日(火)


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2001年12月03日(月) 俺しか知らない魅力もあるのですか



< 何も考えずに逢えませんか >


貴女と逢う時は、
いつも波乱が抱き合わせだったから。

貴女と逢う時に、
逢う事だけに集中出来た事など、
お互い一度も無いのだから。


「秘密」
「時間」
「旦那」
「アイツ」
「天候」
「小さな彼」


二人に課せられた、
二人を引き離す要因。

不安感や焦燥感や圧迫感や威圧感で、
貴女だってきっと、
休まる時が無かった筈だから。




だから少しだけで良い。

何も考える事無く、
貴女と向かい逢う時が欲しいんだ。













お互いが逢う為に、
二人の関係を続ける為に吐いた嘘。

それが原因で、
俺は妻子がある架空の不倫相手と認識されている事。


嘘の為に生まれた貴女の母親の不信感と、
その為に得られない協力。





 「小さな彼を預けられないかも・・・」





貴女を選んだ時点で、
生まれる事は決まっていた。

乗り越えなければならない壁だけれど。
溶かさなければならない気持ちだけれど。





そんな物は糞喰らえと思ったけれど。

逢えないかも知れないと言う隠し味を混ぜて出されると、
重くて消化し切れない。


2002年12月01日(日)


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2001年12月01日(土) 正直に言えないのは俺の方か





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