*妄想*短文劇場-ダニーくんとマーティンくん-
きくちやひろ



 第4話「親子の絆(きずな)」Prodigy

「なぁ、マーティン」
別に隠してるつもりも無いが、
ことさら宣言することでもないので、二人のことは
公然の秘密、と言うところだった。
第一、マーティンが職場にプライベートを持ち込むのを
嫌っていたし、ダニーもそれは同意していた。



「俺に何か用があるんやないのか?お前、暇やないやろ?」
「暇じゃないけど、ここにいちゃいけないわけ?」
「いけなくはないけどな」
「だったら、見ててもいいだろ?」



「いや、見ててもって」
「見られてちゃ困るわけ?」
「困りはせえへんよ?せやけど、なんで?」
「なんで?そりゃ見ていたいからじゃないか」
「…なんか今日は変じゃないか?」
「変?」



「変。いつもはそんな事してないだろ?」
「うーん、言われてみれば…なんでだろう?おかしいなぁ」
マーティンは机から降りると腕組をして考え込んでいた。
「いや、そこまで真剣に考えこまれると、ちょっと微妙なんですけど」
うん、うん、うなりながら考え込むマーティンに
「マーティン、薬のんだ?さっき熱があるみいたいって
言っていたじゃない?」
サマンサがコーヒ片手に声をかけてきた。
「あ、そうだった。ありがとう、サマンサ」
くるりっと向きを返ると子犬のようにサムの方へ駆け寄る。


「大変ねぇ」
「なんつうか、神が与えたもうた恋の試練って感じっスかねぇ」
「がんばってねぇ」
「くじけそう」
それでも、幸せそうなダニーだった。

2006年11月08日(水)
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