*妄想*短文劇場-ダニーくんとマーティンくん-
きくちやひろ



 第10話『愛のかたち』Coming Home

NYには毎日のように新たな人生を始めようと人が来ては流れていく。



「その後、どうなの?」
「どうって?なにが?」
「恍けなくてもいいじゃない、マーティンとはどうなの?」
「別に、普通やよ?」
「ふ〜ん」
「なに、その納得してませんって顔」
ダニーは、事務処理中の書類をパタパタさせながら
サマンサに言った。
「なんちゅうか、ほら、あいつってば、俺とは違うて
大事にされ過ぎて屈折してるっちゅうか」
「…よーするに、どうしていいかわからないんでしょ?」
「まぁ、ぶっちゃけ」
少しうつむき加減に話すダニーに、サムは



「感情を表情で表してみたら?ダニーはヘラヘラしてるか、
泣きべそか、どっちかしかないから」
「泣きべそって、成人男性つかまえて、そらないやろぉ。
俺かて、色々な顔もっとるよ?愛を語る顔とか」
「あら、そう?じゃぁ、やってみてよ、マーティンに愛を語る時の顔」
「い?ここでェ?」
「そうよ?ほら、グダグダ言わずにさっさとやる!」
「お、おう」



「…キショ」
「えぇ?!」
ダニーのとっておきの愛を語る顔は、
サムにも効き目がなかったようだった。

2007年06月28日(木)
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