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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2004年01月29日(木) --

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『すてられたひまわり』

祖母と母の間で迷子になってしまった祥子は、 大好きな祖母がくれたひまわりの花を、 母のいる家に持って帰ることができず、 ついに捨ててしまう。

今、祖母は亡く、母はいない。 家族の姿も、すっかり変ってしまった。

大人になった祥子と、子ども時代の祥子が交差しながら、 大切な相手との関係づくりにとまどう姿を描く。

この本を手にとったのは、エンディングが気になったから。 「癒されない孤独」と帯に書かれているけれど、 どうなのだろうと。 そして、もし癒されるのなら、どのように。

若い祥子の不器用な日々を一気に読み終えて、 最後に、ほっとする。

あの日、ほんとうに捨てられたのは祥子自身。 川面を流れていった、ひまわり。 アルコールに依存する祥子の奥底には、 まだまだ溶けきれない思いも残っているだろうけれど、 もしかしたら、あの日のひまわりも、 どこかの岸辺で、誰かの手に拾われたのかも しれないと、思う。

拓海が祥子に、そっと手をさしのべたように。 (マーズ)


『すてられたひまわり』 著者:松山るみ / 出版社:新風舎2004

2003年01月29日(水) 『チープスリル』
2002年01月29日(火) 『やわらかい手』
2001年01月29日(月) 『雪女のキス』

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