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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2003年04月16日(水) --

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「黒ねこの王子カーボネル」

1955年の作品。

ロンドンに住むひとりの少女、ロージー・ブラウンのもとに、
ひょんなことから黒猫カーボネルと
魔法のほうきがやってくる。
ロージー・ブラウン(なんてやさしい色の名前!)は
お針子で生計を立てる母親と、貧しいアパート暮らし。
その日暮らしの家計は、とてもきびしい。
そんな家にやってきた黒猫カーボネルは、
実際、ほんとうのところ、
いじわる魔女の魔法にかかった、猫の国の王子様だった!

それ以来、平凡だったロージーの毎日は、
カーボネルの魔法を解くために、今まで思いもつかなかった
知恵やら、大人との交渉やら、試練に満ちた胸おどる日々となる。
新しい友だち、お金持ちの息子ジョンも仲間となって。

ほうきに乗って飛んだり、魔法の呪文もおもしろいけれど、
ロンドンのあちこちを探検するロージーたちと
冒険をともにするという、旅行的楽しみもある。

黒猫をしたがえて(カーボネルは断じてしたがっているつもりは
ないだろうけれど)ほうきに乗る少女は、
「魔女の宅急便」の元祖的イメージ。

けれど、この物語を何より特徴づけているのは、
ロージーという、どこにでもいそうな少女のなかに
息づいている、たぐいまれな他者への思いやり。

こういうことをしたら、この人はこんな風に思ってしまう
かもしれない。
あの人は、今こんな状態だから、これをあげよう。
だれだって、ちゃんとできたときはほめてもらいたい。

大げさなことではなく、相手への信頼や誠実さを示したり、
相手のよろこぶことばを伝えること。
誤解なくわかるように、思いやる気持ちを注ぐこと。
誰かのよろこぶこと、悲しく感じることを、
ちゃんと察知する力。
つまりは、コミュニケーション能力。

かといって、
ロージーが日常的に大人の顔色をうかがっているのではない。
お母さんは、ロージーとの暮らしのなかで、普通に
思いやりをもって接している。
たとえば、お休みの始まった日は、ロージーにとって
うれしいうれしい日だから、ちょっとだけ豪華で、ロージーの
大好きな食事を作る、といったふうに。

ロージーはどんな大人になってゆくんだろう。
カーボネルの続編に、成長したロージーは出てくるだろうか?
魔法のとびだすファンタジックな物語を楽しみながら、
ロージーのやさしさこそ、相手への魔法なんだな、
と思わされた。
(マーズ)


「黒ねこの王子カーボネル」 著者:バーバラ・スレイ / 訳:山本まつよ / 出版社:岩波少年文庫(入手困難)

2002年04月16日(火) ☆風と共に去ったグルーチョ。
2001年04月16日(月) 『モリー先生との火曜日』

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