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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2002年04月16日(火) --

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☆風と共に去ったグルーチョ。

原作者のマーガレット・ミッチェルはグルーチョのファンで、 書きながらレット・バトラーとしてイメージしていた・・・ 真面目にしていると怖いあの方。

グルーチョとは、アメリカの俳優マルクス兄弟の三男で、 めがねからはみ出す四角い眉毛、トレードマークの四角いひげを書いた (マジックで塗っている)、 あのノッポのグルーチョ・マルクス。 役どころはペテン師。他の兄弟もそれぞれ定番の役があり、 私のお気に入りのハーポは、決してしゃべらず、手当たり次第にくすね、 口笛とニタニタ笑いがトレードマーク。ハープを弾かせると天才的。

・・と、ここでハーポを紹介している場合ではなく。 グルーチョは、ルー大柴さんに、けっこう似ているような。 日本のコメディアンにも彼らのギャグはかなり真似されていて、 ドリフターズのヒゲダンスや、小さい家にムリして入ろうとする笑い、 押さえていた手を放したら家が倒れたり、鏡の騙しゼスチャー、 延々と相手を愚弄しつづけるノロマなど、 枚挙にいとまがないほど。

このミッチェルのエピソードを雑誌のコラムで読んだとき、膝を打った。 目からうろこが落ちるとは、このことか。 それならわかる。 それなら、レット・バトラーの無頼漢ぶりも、 おさまりがつくというもの。むしろ必然だ。そうでなくてはならない。

ずっと前に映画は観たが、原作はまだ読んでなかったので、 試しにパラパラめくってみたら、 出るとこ出るとこ、レット・バトラーのセリフが、 マルクス兄弟の映画で親しんだ無茶苦茶なノリなのだ。 映画ではいつも、グルーチョに翻弄されながらも愛してしまう 上流階級のレディが登場するが、その人になったかのように、 レットの言うことを受けとめてしまいそうになる。 まず、スカーレットと初めて会う場面で、 立ち聞きしたことをとがめられ、 あなたは紳士じゃない、とののしられても、 まさしくその通り、としらっとしている。 うすら笑いを浮かべてあらぬ方向を見ながらしゃべる グルーチョの顔が、つい浮かんでしまう。

でももちろん、『風と共に去りぬ』はスラップスティックではない。 南北戦争時のアメリカ南部を舞台にした、壮大な女のロマン。 グルーチョが主役になってしまっては、そうならない。 ただ、あのグルーチョが、真剣な役どころを演じたとしたら、 それはきっと『風と共に去りぬ』のような物語になるのでは ないだろうか、とファンは願うだろう。 そんなことありえないし、グルーチョからギャグと兄弟を取ったら、 影のようになってしまうこともわかっているのに。 それは、ファンの夢なのだ。 そう、グルーチョは、顔にヒゲなど書いてなければ、 けっこう二枚目なのである。チコやハーポはどう転んでも三枚目、 ゼッポはあまりに普通なのでパッとしなかったが二枚目だった。 グルーチョ・マルクスは、どちらかというと、 タキシードを着て、舞踏会にエスコートされたいような人物なのだ。 もし、ペテン師でなければ。

今、第一巻から、この超ベストセラーを読み進めている。 もちろん、レット・バトラーの顔は、横に広いクラーク・ゲーブルではなく、 面長のグルーチョその人として。 (マーズ)


『風と共に去りぬ』1-5巻 著者:ミッチェル / 訳:大久保康雄・竹内道之助 / 出版社:新潮文庫

2001年04月16日(月) 『モリー先生との火曜日』

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