ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■地上の縁からのぞき込むと深遠の青が底もなく 4
言葉にしていて、自分はなんて卑怯なのだろうと乱菊は歯噛みする。あのせいでギンは多くの人間から敬遠されている。乱菊はギンの血塗れの理由を皆に話したいと思っていた。話して、ギンに対する誤解をときたかった。それでも、それすらも乱菊はできない。
そしてふと乱菊は思う。どうして、そこまでギンは口止めをするのだろう。乱菊との本当の関係も、あの夜の出来事も、全てをギンは隠そうとする。
それは空鶴が気にしてくれていた理由とは異なるように乱菊には感じられた。
何から。
誰から。
ギンは乱菊を隠そうとしているのだろう。
どうにも苦しくなって、乱菊は無意識に視線を畳の目に落とす。あまりにも情報が少なすぎて色々なことが分からない。分からないそれらから、乱菊はギンの手によって遠ざけられているように感じる。ギンはいつもそうだ。乱菊に何も言わず、何もさせずに、ギン自身だけを傷つけていく。
「……ただ、その血塗れの理由を誰も知りません。あたしは何も話していないから、皆、彼のことを恐れています」
「知っているのは死神の一部だけだ。上層部だけが知っている。恥だからな。学生が知らないのは当然だ。お前が言わない限りはな」
俯き気味になる乱菊の頭に手を置いて、空鶴が軽く頭を叩く。
「お前は言うな。言わない方がいい。その坊主がお前に話すことを求めていないなら、お前は話す必要がない。何より、話したらこれまで以上に坊主は恐れられるし、妬まれることになるだろうよ。死神数人を倒して、護廷十三隊から注目されてると知れたら、それこそ嫉妬と恐怖の的だ」
「……分かりました」
乱菊はようやく顔を上げて、笑みを無理に作った。空鶴がにやりと、わざとだろう、大袈裟に顔を崩し、立ち上がった。
「それでいい。……天気がいい。庭にある池の辺で茶にしよう。お前の持ってきた菓子を食おうぜ」
「はい」
乱菊も立ち上がり、まだ開かれていない風呂敷包みを手にした。庭に向いている障子に手を掛けて、空鶴が振り向く。
「別にどうでもいいんだけど、お前とその坊主は知り合いだったのか」
「いいえ」
表情を変えることなく、乱菊は即座に否定した。それを見て、空鶴は一言、そうか、とだけ呟き、それ以上は聞いてこなかった。
障子を開けると、よく手入れされた庭が強い日光に照らされて、影に切り取られたような鮮明さでそこにあった。乱菊を出迎えた男の一人が、大きな番傘と長椅子を持って池の方へ走っていった。
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06月06日(火)
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