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華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜
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2002年10月27日(日)

東京美人物語。 〜母への贖罪〜

<前号より続く>



終わりのシャワーを浴びる時、名残惜しい俺は改めて聞いてみた。


 「本当に辞めるんだ・・・」
「うん、多分ね・・・まだ店の人には内緒にしててね・・・」

 「ねぇ、教えてよ。なぜ辞めるか」


先程、内緒だと言われた質問を再びぶつけてみた。


「・・・東京へ、帰るの」


割り切ったような口調で、そう独り言のように呟く。



両親に交際を反対されて飛び出した実家。
そこへ帰りたい、いや帰るのだという。

その両親の心配通り、男に騙され全てを失った以上に借金まで背負った彼女。
本当なら親に見せる顔もないはずだ。



しかし肉親の中で唯一ヤスコの考えを理解してくれた妹が教えてくれた。


誰よりも彼女を心配し、最も強く交際に反対した母親。
その母が病に倒れ、床に伏せている事実を。


 「そんなに高齢じゃないんだけど、いろいろ心配掛けたからね・・・」


母はヤスコ、いや本名の彼女が名古屋に住んでいる事を知らない。
男に騙され借金に追われている事も、返済のために風俗で働く事も知らない。


男も借金も、全て自分の責任だから・・・と、
文字通り全てを背負い、責任を果たそうと人知れず辛い思いをした彼女。


大きい存在だからこそ、言われる事に筋が通っていたからこそ、
その母にあくまで反発し通したヤスコ。


同じ女だからこそ、惚れた男に弱くなる女の気持ちが分かるからこそ・・・
いい加減な男との交際を強く反対した。

まだ未熟だった彼女のために。


苦労を、心配をかけた母。
そして今、病床に伏せる母。

そんな自分に出来る母への最大の贖罪、そして孝行とは何なのか。

独りで考え、模索した結果・・・


それは自分が東京へ帰る事だった。


自分から失敗を認め、頭を下げる気持ちにはなれない。
そして意地を張り続けたい気持ちもある。

しかしその全てをかなぐり捨てても実家へ帰り、病床の母を元気付けたい。
今までの親不孝を謝り、過去を清算したいのだ。


男の残した借金はまだ若干残っているものの、
その身体と引き換えの高給のお陰で、今では大部分が返済できたそうだ。

しかし店側は美人で仕事熱心のヤスコをさらに売り出そうと企んでいる。
早く借金を返済しようと頑張ったのが仇になった。


実家の事情とはいえ、そう簡単に辞める事を認めてくれるはずがない。
店側は彼女の売り出しに、相当の宣伝費を使ったのだから。


 「だから、店にはすべて事後報告にしようと・・・」
「そうかぁ」

 「分かんないよ、家族に許してもらえるかどうかも」
「・・・」

 「だから・・・一度帰って様子を見て、ダメだったら黙って復帰するわ」
「そうかぁ、客としては複雑だなぁ(笑)」

 「私ね、この街好きだからね。もう地元よりも詳しいんだよ(笑)・・・
  本当にもうね、名古屋は第二の故郷だよ・・・私にとって」


冷徹なニヒリストは、誰よりも母を心配する孝行娘の予備軍だった。
最初の雰囲気からは予想もつかない話題の展開になったものだ。


「ヤスコさんが帰ってこないほうが、上手く行ってるって事だね」
 「うん・・・まだお金も足りないから、向こうでも(風俗で)働くつもり」

「俺も東京出張したら、店に遊びに行こうかなぁ?(笑)」
 「本当?じゃお店を探して来てね(笑)」

「ちぇっ、これで連絡先を聞き出そうと思ったのに(笑)」
 「残念でしたっ!」


ヤスコは最初のニヒルな表情をすっかり崩し、打ち解けてくれたようだ。
店一番の美人も、笑えばごく普通の女の子だった。

笑顔が朗らかで可愛い。
彼女の性格の良さを物語る表情だと思う。

ニヒルな第一印象を全てひっくり返して、なお余りある彼女の魅力を感じた。

俺も安心して笑った。


「じゃ、本当にありがとう・・・色々あるみたいだけど頑張ってね」
 「うん、ありがとう・・・また逢えるといいね」

「近いうちに来れる様に、努力するよ」



ヤスコと店員に見送られ、俺は店を出た。



駐車場へ向うため錦三方面に歩いていくと、突然乱暴に左腕を引っ張られる。
見ると小柄な中年の女が俺の袖を掴んでいた。


「オニイサン、マッサージシナイ?オチンチンサワリアリデ、ゴセンエン」


呼び込みは客の身体に触ってはならないのだが、平気で掴んで離さない。
片言の日本語から見て、彼女は韓国か中国系のようだ。


性欲を果たしてきた俺にはもはやどんな誘惑も通じない。

俺は力ずくで左腕を振り払った。


何やら強い語調で罵っているような言葉が聞こえる。
俺には何を言っているか分からない。


夜の錦三は外国人勢力の進出で、以前よりも物騒な街になりつつある。

赤色灯を焚いたパトカーが至る所で駐車し、街を見張っていた。



帰宅後、実は置き場所に困っていたヤスコが破廉恥な格好で写っている写真を、
引き出しの下に潜り込ませておいた。



俺は2週間後、ヤスコの予約を入れるために店に連絡した。


 「申し訳ございません、本日はもう全て予約で埋まっております」
「そうですかぁ・・・何時くらいに予約を入れればいいですかね?」

 「ヤスコちゃんくらいになると・・・予約開始から5分で埋まりますね」


店の開店時間は朝10時。
その5分後には、ヤスコの予約は埋まってしまうという。
それも本日分しか予約は受け付けないという。


 「本日は他にたくさんの可愛い娘がいますよ、どうされますか?」
「・・・今日は結構です」



やはり売れっ子。
予約もそう簡単に取れそうにない。

前回が奇跡だったのだ。

それからも何回か店に予約を取るために電話した。
しかしすでに予約で埋まっていたり、欠勤だったりと不幸が続き、
ヤスコの予約は取れないでいた。


そのうちに雑誌の広告から、ヤスコの顔写真が店から消えた。


 「うちも困ってるんですよぉ、いきなり辞めましてね・・・」


他の常連客からも相当クレームが来ているのだろう。
電話番はいかにも困ったような口調で、愚痴りながら詫びてくる。

俺は愚痴を聞き流しながらも内心、安心した。


ヤスコとはもう逢えないが、本名の彼女は実家に帰ることが出来たようだ。








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すでに諦めていた・・・俺とヤスコとの『再会』は、
それからおよそ3ヵ月後に何とも意外な形で実現した。


コンビニで毎週火曜日に買う写真週刊誌。
そのフーゾク特集で三大都市の風俗街売れっ子嬢のグラビア記事があった。

そこに、ヤスコがいた。
渋谷にある痴漢イメージクラブの看板娘として紹介されている。


源氏名もプロフィールも全く同じで、出身地は「名古屋」となっていた。
ただ年齢だけは3歳若返っていたが。


あの抜けるような白い肌と麗しさは写真で見る限り、健在だった。

早速その渋谷の店にヤスコの事を探りに電話してみる。


 「新しい娘なんですが、いい仕事しますからね・・・お勧めですよ!」


その店のホームページにも、ヤスコは大きな顔写真で紹介されていた。

次回、東京方面に出張があったら、本当に店へ行ってみようかな・・・
ヤスコは覚えていないだろうけど・・・

そんな思いが頭をよぎる。



さらに3ヶ月ほど経った時、東京への泊り出張の機会があった。
俺はその最終日、渋谷のイメージクラブにヤスコの予約を入れようと電話した。


 「申し訳無いです・・・ヤスコ君は先週で退職しました・・・」


突然の退店でうちも困ってるんですよ・・・といかにも困った調子で謝ってくる。
そんな受付の言葉に、思わず笑ってしまった。

あの娘、『2回目』やりやがったな・・・



前回の話と照らし合わせれば、とりあえずヤスコは借金から解放されたのだろう。
そしてこの世界から、完全に足を洗ったのだろう。


それでいいのだ。


男としての膨らんだ期待を晴らす手段は他にもあった。

しかし俺は他の手段に行く気になれず、そのまま渋谷から東京駅へと移動し、
新幹線ホームへと向かう。


そして岡山行のひかり号、13号車に乗車した。



車内で一眠りした。
携帯のアラームで目覚めると、名古屋駅の手前だった。

ヤスコが「私の第二の故郷」と言った、大好きな名古屋。
そして彼女が渋谷のイメクラで故郷だと偽った、名古屋。


午後10時前。
俺が降りた後、ひかり号は次の停車駅・京都へ向って滑り出した。



真っ暗な部屋に帰った俺。
引き出しの下に入れた写真を抜き出して、台所のガスレンジの炎で燃やした。

オレンジと緑が交じり合う、複雑な色彩の綺麗な炎。
卑猥な画像の印画紙をじんわり焼いていく。



これでヤスコという風俗嬢の全てが終わった・・・

俺は独りでそんな事を想っていた。



 ☆ 毎度のご訪問&ご高覧ありがとうございます。


   時として、人の出逢いは不思議な力に導かれるかのようです。
   何の苦労も無くモデル業をこなせた彼女の人生を大きく歪ませたのは、
   チンピラ崩れの男との出逢いからでした。

   俺も何人もの女性と出逢いました。
   まるで何らかの見えない力が引き寄せたかのような偶然の積み重ね。

   ここの日記サイトでも、読者であるあなたと出逢う事が出来ました。

   その出逢いから始まる関係が、いい形で末永く続く事を願って・・・


   お気に召しましたら、投票&My登録も宜しくお願いします。

   次回の「華のエレヂィ。」も、どうぞお楽しみに。


2002年10月26日(土)

東京美人物語。 〜破廉恥な姿〜



<前号より続く>




壁には本番厳禁の張り紙やオプションの値段表などが掛っていた。
千円から1万円までのオプション値段表には、様々なサービスが並ぶ。


安いものではパンスト破りや顔面騎乗、高額になると黄金水、AFなどがある。


「これ何?『顔面騎乗』って」
 「横になったお客さんの顔に乗って、アソコを押し付けちゃうの」


若い女の性器を直接押し付けてもらう、このオプションは、
特に中年以上のオヤジに好評なのだそうだ。


 「生理中とかを狙ってくる人やオリモノ好きの変態も来るよ(笑)」
「そっかぁ(苦笑)・・・黄金水ってオシッコでしょ?AFって何?」

 「これね、アナル。お尻の穴だって」


アナルファックの略でAF。
最も高額な1万円のオプションだ。


「これ出来るの?」
 「私はしないけど、出来る子はやるんじゃない?」

「ヤスコさんが出来るのは?」
 「私は・・・ほとんど無いけど・・・」


その中でも出来ると言った「ローター」と「写真」を注文した。
追加料金をその場で払う。

ヤスコが一旦部屋から出て行き、今度は小道具の入ったカゴを持って来た。


 「ローターはゴムを付けてね。誰が使ったか分からないから・・・」
「何だ、本番OKって意味じゃないんだ(笑)」

 「ふふっ、違うよ(笑)」


「写真」に使うインスタントカメラを俺に手渡して、ヤスコはベッドに横たわる。


 「1枚だけだからね。どんなポーズがいい?」
「そうだなぁ・・・あとでいい?」


俺は考える時間が欲しいので、後回しにした。

ヤスコの横に寝転がった俺。
彼女は俺に覆い被さり、俺の顔や髪を撫でる。


「でも、本当に綺麗だよね・・・勿体無いくらい」
 「ありがとう・・・嬉しいよ、お世辞でも」

「本当だって・・・出来れば先に飯食いに連れて出たいくらいだよ」
 「本当?・・・今度来てくれたら考えようかな」

「そうか・・・じゃあ、来月くらいに来ようか?」
 「来月なのぉ?いないかもよ、私・・・」

「どうして?」
 「もうすぐ辞めようかと思ってて」

「そうか、勿体無いなぁ・・・店には?」
 「言ってない、言うと何されるか分からないから・・・」

 
雑誌に顔も名前も出ている売れっ子を、そう簡単に手放す訳にはいかない。

高い広告費を雑誌社に払って広告記事を打ったのだから、
店の実質損失は莫大なものになるだろう。


「何故辞めるの?」
 「内緒」

「聞きたいな、言わないと・・・こうしちゃう」


俺はスキンを被せたローターを手に持ち、スイッチを入れた。
まずヤスコの乳輪に圧し当てて、乳首の根元の部分を攻める。

大きく意志の強そうな茶色の瞳を閉じて、うっとりとした顔になるヤスコ。
睫毛も長く、綺麗にカールしている。
俺はヤスコの耳や首筋にkissして、長い足をゆっくり開かせた。


長くて薄目のヘアをかき分けて、ヤスコ自身の突起を指先で探る。

発見した俺は、その場所へスイッチを入れたままのローターを手に持ち、
彼女自身の根元に存在するごく小さい突起へ圧し当てた。


ヤスコは途端に仰け反り、熱い息を漏らす。
そんな反応をいとおしく感じた俺は、ローターのスイッチを強くした。

ビブラートする喘ぎ声。
奥歯を噛み押し殺すようにして耐えるヤスコ。

そのまま俺は圧し当て続けた。


 「ダメダメ、出ちゃう、声・・・」


ヤスコは思わす腰を退き、手でローターを払い除けようとした。
俺はヤスコの抵抗に負けず、腰に下に左手を廻し、
逃げられないようにしてローターを圧し当て続けた。

大きなモーター音を立てるローターは、ヤスコの最も敏感な突起だけでなく、
ローターを持つ俺の右手の指先も強烈に痺れさせる。

こんな振動が彼女の全身を電流のように流れているのかと思うと、
女の性感の敏感さを経験できない、男の肉体構造を恨めしく思う。



 「あ、あああ、あああ、ダメ・・・イッちゃうかも・・・」
「いいよ、イッちゃえ、気持ち良くなっちゃえ」

 「本当だよぉ・・・イクゥ・・・・・・」


ほぼエビ反りになって、全身に力を込める。

途端に堪え切れなくなったのか、一瞬だけ高い声を上げて、脱力した。


俺はカメラを手に持ち、ヤスコの両腿を広げさせた。
そして俺はヤスコ自身に向って、シャッターを切った。

モーター音を立てて、一枚の印画紙がカメラから吐き出される。


 「こんな姿撮られたの、初めてだよ・・・」


脱力していたヤスコは気だるい表情で起き上がり、今度は俺を攻め出す。

俺の乳首を舐め、脇腹を舐め、そのまま股間へと顔を埋める。
そして俺自身を根元から焦らすように舌先と指で攻める。


 「素股がいい?69がいい?」

俺はフィニッシュを69に決めた。


ヤスコは身体を180度入れ替え、長い足で俺の顔面を跨ぐ。

先程撮ったヤスコ自身が、今度は俺の目前に迫ってきた。
白い肌のヤスコ自身は色素が薄く、綺麗なピンク色だった。
そして、透明な愛液で潤っていた。


ヤスコが固く勃つ俺自身を手と口で攻めている。

俺はローターを手に持ち、一生懸命に上下に首を振るヤスコの
一番敏感な突起の皮を剥いて、圧し付けた。


ヤスコは腰をひくつかせて、喘ぎ声を殺し切れずに上げていた。

俺自身から口を外して掌で掴むものの、快楽の方が強いのだろう。
男心を疼かせる、色っぽい声を上げていた。


女が感じていると、俺も感じる。

フィニッシュまで時間は掛からなかった。

果てた後、俺はしばらくヤスコを抱いて横になる。


ふとした会話から、ヤスコの過去の話になった。


「田舎、本当はどこなの?」
 「私?亀戸だよ。東武線沿線だし」

「東京出身って本当だったんだ・・・でも、なんで名古屋へ?」
 「・・・逃げてきたの、男と」

「不倫?」
 「ううん・・・まぁ駆け落ちみたいなものかな」


ヤスコは肉親たちの反対を嫌い、チンピラ崩れの男と名古屋へ逃げてきた。
しかし、その男は間もなくヤスコを捨てて蒸発する。

故郷を捨てても構わないほど信じた男の、裏切り。

未知の都会で取り残された傷心の彼女の手元には、身に覚えのない借金が残された。


 「結構な額だったよ・・・でも奴の事、もう何とも思ってない」
「ひどい話だなぁ、その男・・・しかし女って強いよねぇ」

 「・・・強いかぁ?男の方がお子様で甘えん坊なだけだよ」
「・・・何時までも女にかかると、男はお子様だからねー」


ヤスコはどこか遠い目をしてそう話してくれた。
短い会話だったが、彼女の過ごした濃厚な数年間の重みを感じた。


さっきの写真見てみようか?とヤスコは俺の腕から離れて、
ベッド脇の小さいテーブルにあった写真を手にとって、灯りにかざして見た。


 「やだぁ!すっごい恥ずかしい!」
「どれ?・・・うわぁ」


写真にはM字に開脚している全裸のヤスコの破廉恥すぎる痴態。
無意識なのか、顔だけは両腕を交差させて隠していたが。

そのM字の中央に写るヤスコ自身からは、
ローターで攻めた時の愛液がドロリと垂れているのが写っていた。

白くて濃度の高い、本気汁。
自分の意志とは関係なく溢れる愛液に、ヤスコは本気で恥ずかしがる。


 「本当に持って帰るのぉ?恥ずかし過ぎるぅ!」
「ダメだよ、俺の金で撮ったんだから!その代わり・・・」

 「その代わり、何?」
「大事に持っておくよ」

 「絶対外に出しちゃダメだからね!恨むよぉ」
「外に出すな、かぁ。それHの時に聞いてみたい台詞だよね(笑)」




<以下次号>







↑エンピツ投票ボタンです。次号が最終回です。

2002年10月25日(金)

東京美人物語。 〜ニヒリスト〜



<前号より続く>



店員がさっと分厚いカーテンを開くと、目の前に一人の女性が立っていた。
そこには雑誌で見た通りのヤスコが立っていた。


OLの制服風のコスチュームに身を包み、やや緊張した様子でモデル立ちする。
彼女は俺の会社にいるOLよりもずっと魅力的に見えた。


 「初めて、ですよね?・・・おトイレはどうされますか?」
「ああ、今大丈夫です、結構です」

 「では、足元に気を付けてこちらへ」


少々堅いやり取りの後、店の奥のプレイルームへと案内してくれる。
途中で俺に無表情で無言のまま、腕を絡ませてくる。

柔らかい身体だった。


案内された部屋は3畳程の広さで、狭いシャワー室がついていた。
内装は待合室とは違い、モノトーン調で照明も暗めだ。
シャワーで蒸すのだろう、エアコンが音を立てて除湿運転をしている。


 「何キョロキョロ見てるの?」
「いやぁ、この店初めてだからさ」

 「この部屋ね、今日は私専用なの」


ヤスコはベッドに腰掛ける俺の脇に座り、早速タバコを一服。
自分の持ち物を持ち込んでいるので気楽なのだ、という。


「雑誌のグラビア見て来たんだ・・・ヤスコさんって綺麗な人だなあって」
 「・・・実物見て、ガッカリしたでしょ?」

「そんな事無いよ、いい感じだって。選んで良かったかも」
 「・・・優しいね、お客さん(笑)」


ヤスコはクールというより、ニヒルな感じだった。
やはり顔形が整っている分、そのニヒルさが際立つのだろうか。

どこか空虚さを感じる冷たい雰囲気と言動。
そして冷ややかな視線。


「・・・ずっとこの仕事を?」
 「ううん、昔はモデルっぽい事してたよ」

「すごいね!」
 「誰だって出来るよ、ああいうのはニコパチだから」


適当に煽てられニッコリ微笑む顔を、カメラマンがシャッターを切る。
そんな自分の姿が地方の新聞広告などに載る。


仕事上、時には水着や下着姿を晒すのだが、
レンズの向こうの何万人よりも、スケベなカメラマンの視線がうざかった、と言う。

安っぽい仕事だったよ、と当時を振り返って話してくれた。


「で、こっち(風俗)に来ちゃった・・・んだ」
 「借金でね。男に騙されて、こっちに来たの」


溜息交じりなのか、大きく紫煙を吹き出す。
俺もヤスコも言葉が続かず、重たい雰囲気が部屋を支配する。


 「シャワーにしようか?」
「あ、ああ」

 「それじゃ脱いで、そこのカゴに入れてね」


全裸になった俺とヤスコは一人用の狭いシャワー室へと入った。

一通り身体を洗って流してもらうと、ヤスコは俺に抱きついてきた。


そして掌にローションをつけたヤスコは、勃つ俺自身に塗りたくる。

そして俺にもたれかかり、ヤスコは俺自身に跨るように自分の股間を押し付け、
彼女自身と俺自身を掌でサポートしながら擦りつけてきた。

ヤスコが腰を振り、前後に動く度に粘液の音が狭いシャワー室に響く。


これが『立ち素股』だという。

長身で足の長い彼女だからこそ出来る技だろう。


 「中にはこれでイッちゃう男の人もいるんだから・・・感じる?」


ヤスコは危険な囁きの後、大きくグラインドしだす。
時折下半身の力が抜けそうになるほど感じるが、俺がイクまでには至らない。


今度は背を向けて俺にもたれ、尻の割れ目に俺自身を挟んで前後に動く。
立ちバック風の立ち素股だ。

細い背中にくびれた腰。
そんな女が湯と汗にまみれて、自ら腰を振る光景。


強烈な視覚効果だ。


俺は思わずヤスコの腰を手にとる。
このまま入れてしまいたい衝動に駆られる。

しかしヤスコはそんな俺を見透かしたかのように俺から離れて、
シャワーの湯を出して、丁寧に俺自身のローションを洗い流す。


「じゃお客さん、先に出てて」


ヤスコは俺を外へ出した。

しばらく経ってヤスコが出てきた。


二人で身体を拭き合い、ベッドで横になるように促される。
俺はベッドに寝転び、狭い部屋を見上げた。




<以下次号>







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2002年10月24日(木)

東京美人物語。 〜高級ヘルス〜


残念ながら、人間の第一印象はやはり「外見」だと言えるだろう。


あまり最近の流行りのタイプではない俺。
コンパなどでも、俺が苦戦を避けられない要因でもある。

誰にでも、好みの外見というものがあろう。
それを否定する気は無い。



俺の好みの女性は、賢明な常連読者の方ならご存知だろう。


外見では背の高い細身の女性。
それで黒髪と白い肌が綺麗なら、なお好みだ。

そして瞳の綺麗な女性ならば間違いなく惚れる。
その人の瞳は、その人の人となりや性格が表れる。

無論、性格などでより深く気に入った女性なら、外見などは二の次になるが。



自分で高額な料金を払って利用する風俗嬢ならば、
やはり自分の好みに我がままに拘りたいもの。

実際に逢い、肌に触れ、愛撫し合い、
互いの最も敏感で繊細な部分を攻め合うのだから。


そういう嬢の情報は風俗情報誌で収集している。

グラビアや特集記事でその嬢の姿やプロフィールを見て、
さらに予算や予定と相談して、気に入れば店に問い合わせて予約を入れる。

見知らぬ店への冒険は、大穴の「期待」よりも「リスク」の方がはるかに大きい。

ありがたい事に、俺は今までそういうトラブルに遭った事が無い。



何の予定も無い平日の夜。
部屋で風俗情報誌を眺めていると、グラビアの一人の女性に眼が止まった。


長い足を体躯座りで折りたたみ、クールな微笑でグラビアに収まる女。

不健康そうで下手な仕立ての茶髪・金髪が当たり前の風俗嬢にしては、
珍しく髪も黒い。
逆に肌は抜けるように白く見える。

写真なのだから現代の技術でいくらでも修正できるのだろうが、
それでも一度お手合わせを願いたくなる。


そのグラビアは名古屋の大繁華街・栄の高級ヘルス『W』のものだった。


   『 ボーナス特集!一度はお目に掛りたい美女大特集 』


彼女はその題字の下にいる。
扱い的にも、編集部一押しということだ。


彼女の源氏名はヤスコ。
24歳で東京出身。
身長168cm、公称Dカップ。
そして得意技は『立ち素股』という。

当時の俺にはよく分からない技だが、一度経験するのも悪くない。


俺は一度店のほうへ電話し、ヤスコの出勤と料金を確認した。

ヤスコの在籍する店は、料金は普通のヘルスよりやはり高めだった。
まあその差額分、いい女と楽しめれば良いのだ。
そしてオプションも充実している様子。

ボーナスも近いので、少々大きめの出費も出来そうだ。
電話を切った後、仕事のスケジュールと相談して『W』に行く日を決めた。



4日後。
俺は会社での仕事を終えると、そのまま自宅方向とは逆に車を走らせた。
しかし帰宅ラッシュに巻き込まれ、名古屋まで余計な時間が掛かる。
予約の時間には余裕があったので、あまり気にはしていなかったが。


 「ご来店30分前時点で連絡が無いと、キャンセルとさせていただきます」


特に売れっ子になると、この条件は厳格なものになる。
少し早めだったが、1時間前に車内から店に電話しておいた。


 「いいですよ、この電話で受け付け完了とさせていただきます」


店と契約しているから駐車料金を割り引きますよ!と受付で勧められた
立体駐車場に車を入れて、俺は夜の栄へと歩き出した。


平日の夜、栄は昼のビジネス街の顔とは全く逆の顔を見せる。


中部地区最大の歓楽街と化した栄。
電光の看板やネオンが街灯並に通りを照らし、通行客を誘惑する。

大通りより一本奥に入ればスナックやパブ、居酒屋や風俗店の看板が増え、
また呼び込みの連中も様々な誘惑を掛けてくる。


今夜の俺には目的地がある。

誘惑を全て振り切り、俺は目的の店があるビルへと急いだ。



店からの案内通りに歩いていると、俺は中古のビルに辿り着いた。
そのビルの1階は駐車場兼用のスペースで鉄骨の階段しかない。
俺はその階段を上がって、店に入ろうとした。


「いらっしゃいませ!お一人様ですか?うちは激安ですよっ!」


階段を上がりきる頃、横から元気のよい呼び込みの声。


『W』の呼び込みかと思い足を向けようとした時に気付いた。
よく見ると隣りの別の風俗店の呼び込みだった。


そのビルには他に3軒のヘルスが入っている。

危うく入る店を間違えるところだった。
全く油断も隙も無い。


俺は『W』と書かれた看板の下の、重たそうなドアを開ける。


その内装は木目の落ち着いた壁に絵画が数点と深紅のカーテンが何枚も掛る、
いかにもゴージャズな雰囲気の店だった。


白熱灯の間接照明にバー風のカウンターがあり、その奥の壁には酒瓶が置いてある。
一応有名どころの洋酒が並ぶが、どうも開けられた形跡が無い。
見たところ、飾りのようだ。

またもう一方の壁側での喫茶店の店内のようなテーブル席では、
一人ずつレースのカーテンで区切れるよう、天井にレールが付いている。


受付で予約したヤスコの名前と俺自身の名前を名乗り、料金を払った。


「60分コースで・・・合わせて2万円になります」


俺は他の客が誰一人いない店内の、テーブル席の方へと座る。

店員が飲み物の注文を聞きにやってくる。
ジュース、コーラ、烏龍茶、ビール、水割り・・・とメニューにある。

車で来ていた俺は無難な烏龍茶を注文した。


数分後、紙コップに入った烏龍茶を差し出す。
衛生対策なのか、こういう所には金を掛けていない。

内装と紙コップにチグハグな印象を受ける。


俺は店員に聞いた。


「このカーテンは何のためにあるの?」
 「こちらは、芸能人や有名な方が来られた時に使います」


ここは名古屋へ仕事に来る有名人や芸能人がお忍びで遊びに来る店だそうだ。
当然、誰が来たとは教えてくれないが。


カウンターの奥のテレビは、賑やかなバラエティー番組を垂れ流す。
誰も見る者は居ない。



予約を入れてきたのに、俺は20分以上待たされた。
予定時刻を相当オーバーしている。
こういう業界は時間の観念もいい加減なのだろう。

俺はかなり苛立っていた。


 「お待たせしました、ヤスコちゃんご指名のお客様!」


いよいよ順番が廻ってきた。
あまりの遅さに苛立っていた俺だが、一息ついて落ち着こうとする。


 「それではこちらのカーテンの前にお立ち下さい」


俺は店員に促されるまま、俺は分厚い深紅のカーテンの前に立った。




<以下次号>







↑エンピツ投票ボタンです。今回は4話構成です。




☆ 感 謝 ☆

前作のエレヂィ。『籠の中の貞淑な小鳥。』において、
読者の皆様から、予想以上の反響を戴きました。
本当にありがとうございました。 

今後とも、「華のエレヂィ。」を宜しくご高覧下さいね。




2002年10月23日(水)

籠の中の貞淑な小鳥。 〜北風〜
<前号より続く>



敏子の身体は確かに年齢相応だった。
肌にはシミも弛みもある。乳房も尻も垂れ気味だ。

でも敏子は充分「女」だった。

乳房を掌で揉み、乳首を摘むと背筋を反らせて感じる。
耳に吐息を吹き入れて囁くと、俺にきつくしがみ付いて耐える。

最後に一枚を降ろそうとすると大きく首を振り、明るいから嫌だと言った。
俺は先に自分から脱ぎ、固く勃った俺自身に手を添えさせた。


「俺、こんなになってるよ・・・敏子はどうなの?」
 「・・・こんな固いの、若い人って」


俺はそっと敏子の下着に指を入れる。
熱く熱く潤っている。
指先の動きに合わせて、敏子は腰を動かす。


「嬉しいよ、こんなに感じてくれて・・・」
 「お願い・・・恥ずかしいから、ここまでで我慢して・・・」


俺は敏子の懇願を認めなかった。
下着の脇から指を入れ、熱く潤うと敏子自身を弄る。
粘着音が俺の耳に届く。
その度に、敏子は声を震わせている。


「俺の欲しくないんだ・・・」
 「・・・違うの」


敏子の最後の一枚を降ろし、俺はスキンをつけて正常位で挿入した。

背を反らし、俺の身体や布団の端を掴んで迫り来る快楽に耐える。


「このまま最後まででいい?」
 「・・・後ろから・・・して欲しいな」


あれだけ恥ずかしがっていた敏子も、自ら望んでいた。

バックになり、俺は改めて敏子に挿入する。
筋肉の付いた大きな尻は、立派な弾力だ。
付く度に、上半身の力が抜け、腕で体重を支えられなくなっている。

背筋を反らせて胸から上は布団にべったりつけ、腰だけを突き上げる形になった。

俺は崩れ落ちようとする敏子の腰を腕力で引き起こし、突く。
俺の動きを受け止めてくれる彼女は、徐々に淫らになっていった。


喘ぎ声のいい女は、本当に興奮が倍増する。
布団の端を掴み、顔を左右に振って快感に身を任せる。


そしてもう一度正常位になって、敏子を抱く。


涼しいはずなのに、俺の全身から汗が垂れる。
その汗は、敏子の身体に垂れる。

敏子の膣の内壁に、俺自身が擦れる。
その度に背筋を仰け反らせて、艶やかな声を張り上げる。

俺は律動を深めた。
敏子の反応は俺の動きに合わせて深くなった。



・・・・・・


俺と敏子は、しばらく入れたまま抱き合っていた。


 「こんなに乱れたの、初めてかも知れない・・・」
「本当に?嬉しいよ」

 「だから嫌だったの・・・淫らな女だと思われたくなかったから・・・」
「男にとっては嬉しいんだよ、そういうのが」


時折、官能小説や映画のベッドシーンを見て、
自分でも恥ずかしいほど熱く濡れてしまうことがあったという。

旦那との関係も当然ご無沙汰で、
自分でもこのまま歳をとっていくことが寂しかった。


私は女としてこの世に生まれて・・・本当に良かったのだろうか、と。


 「自分でも思うの。私って本当は淫らなんだって・・・」
「でも悪い事じゃないでしょ?」

 「でも、男の人は嫌でしょ?淫らな女は・・・」
「そんなこと無いよ、嬉しいと思う」


女性としての当然の欲求と、古臭い認識との矛盾に苦しんでいた敏子。
少し気が楽になったのか、俺に甘える仕草も見せてくれた。


敏子から抜き取った俺自身のスキンには、白い精子が溜まっていた。
それを見た時の敏子の照れ笑いが、今でも記憶に残る。



俺は着替えを済ませた敏子を駅まで送っていく。

夕方、街路樹の銀杏の枯葉が歩道を埋めるほどに散らばっている。
乱暴な北風に煽られて、はらはらと舞い上がる。



 「平良クン、今日は本当にありがとう・・・」
「いいや、俺こそ!楽しい時間だったよ」

 「早くいい彼女見つけてね。応援するから」
「ありがとう・・・でももう会えなくなるよ(笑)」

 「いいよ、オバサン相手よりも可愛い彼女見つけてね」
「何だかなぁ・・・ムード無いなぁ(笑)」

 「オバサンさ、平良クンの事・・・本気で好きになっちゃうから、さ(笑)」
「そうなったら、どうする?」


俺の瞳を見つめて、敏子は言った。


 「・・・逃げちゃう(笑)」








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敏子は改札口の奥で俺に振り向いて一礼し、消えていった。


籠を出て、外の世界へと羽ばたいてみた貞淑な小鳥は、
こうして再び籠の中へと帰っていった。


この前の新名古屋駅の時と同じだ。

前回と違うのは、この後敏子とは再び会う事は無かったこと。


敏子は俺と会った日の夜にテレコミを辞めたそうだ。
そして俺の元にも、何の音沙汰も無くなった。



まだこんな別れ方に慣れていない頃。
俺は今まで経験した事がない程の切なさに襲われた。

もう一度敏子を抱きたい、いや声だけでいいから聞きたい・・・

冷凍庫に残されたミートソースを解凍して食べた時、
その味の深みが彼女の存在の大きさと相まって、胸がいっぱいになった。

男が女に惚れるのは、何も外見や若さだけではないのだ。



乾いた北風と共に去って行った敏子は、どういう気持ちだったのだろう。

枯葉が風に舞う季節になると、敏子のあの一言が思い出される。

本気になったら・・・「逃げちゃう」


彼女なりの許されぬ恋の解決方法だったのか。
それとも全くの別件で何かトラブルがあったのか。


俺もあの別れの時に言い返せばよかったかな、と思う。


「逃げる前に、もう一度くらい俺のところにおいでよ」と。
例え再会する事が無かったとしても・・・




 ☆ 毎度のご訪問&ご高覧、本当にありがとうございます。
   前作は18歳の話、今回は40代の大人の女性の話。

   どういう感想を持たれたか、聞くのが恐いくらいですが・・・

   敏子は今思えば、充分魅力のある熟女でした。
 
   もし今の年齢で敏子に出会っていれば、
   もっと違った形で付き合えたのかな・・・なんて遠い記憶に思いを馳せています。


   気に入っていただけたら、投票&My登録も宜しくお願いします。
   次回の『華のエレヂィ。』もどうぞお楽しみに。

2002年10月22日(火)

籠の中の貞淑な小鳥。 〜女〜


<前号より続く>



冷たい烏龍茶で乾杯し、早速手作りのミートソースを食する。


 「どう?」
「・・・美味い!すっげぇ美味い!」


干しシイタケの甘めの出汁が、トマトの酸味と溶け合って絶妙な味だった。
それでいて、みじん切りになっていたシイタケは食感を妨げない。

たっぷりと掛けられたトマトソースだが、俺はパスタと共に平気で平らげた。


 「もしパスタに飽きたら、食パンに塗ってチーズを乗せて焼いてもいいよ」
「それも今、食いたいくらいだね!」

 「食いしん坊だねぇ(笑)」


敏子が保存食用にと作ってくれたミートソースだが、
俺は予想以上に多く食べてしまった。

残りのソースは粗熱をとってからラップに一食分ずつ包み、冷凍庫へ入れる。
これで食べたい時に食することが出来る。

敏子は後片付けまで済ませ、俺と二人で居間でくつろぐ。


晩秋の昼下がり。
秋晴れののどかな時間だ。

敏子は前よりも落ち着いていた。
俺ともいろいろな深い話ができた。


 「私ね、ここまで来ちゃった自分が凄いなって思うの」
「そうだね・・・でも嬉しいよ」

 「平良クンだから私、もっと会いたいなって思った」
「俺と?いわゆる不倫ですか?(笑)」

 「そんな・・・でも、こんな自分も私の心にいるんだって、不思議なの」



貞淑という言葉がぴったり当てはまる容姿の敏子。

良き妻、良き母の彼女にも、このまま「女」を過ぎてしまうのではないか、という
不安が付きまとっていたという。


 「女として・・・何か経験したいっていう気持ちがあったの」
「それって?」

 「・・・こういう、事かな・・・」


敏子はそう言うと、俺の傍らに寄り添って来た。
そして恥ずかしげに、俺の手を取る。


 「こんな若い人に・・・ごめんなさい。でも、こうして触れ合っていたい」
「敏子・・・」


下は絨毯を引いている、和室の六畳間。
俺は敏子の身体をそっと後ろへと倒す。


 「私ね・・・旦那しか知らないの。だから平良クンを喜ばせられないかも・・・」


俺は敏子の唇をkissで塞いで、その次の言葉を遮る。
無意識に俺を押し返そうとする敏子。
しかし俺はそれ以上の力で抱きつく。

舌を割り入れる。
敏子は絡ませてこない。

俺が唇を離すと、敏子は俺の身体を押し返す。


 「ダメ・・・平良クン」
「ごめん・・・怒った?」

 「違う・・・怒ってないよ・・・」
「どうして?」

 「ダメ・・・本当に、本気になっちゃう・・・」
「俺のこと?」

 「それもある、けど・・・」
「けど?」


敏子は次の言葉が出てこず、俺に抱きつく。
俺はそっと、敏子の腰を抱いた。

腰に指先が触れると、ビクッと痙攣する。


 「私・・・自信ないの、男の人に喜んでもらえる・・・」
「大丈夫だよ、俺、敏子に恩返ししなきゃ」

 「何?」
「さっきのミートソース。すごく美味しかったから・・・」


改めて敏子の唇に、俺のを重ねた。
今度は押し返してこず、そのまま身を任せる。


「布団敷こうか?」 
 「・・・自信ない。私、傷付きたくない・・・」

「俺なら大丈夫。敏子が欲しい・・・」
 「本当にいいの?こんなオバサンでいいの?」

「敏子が欲しい」


俺は押入れを開け、布団を敷いてから敏子の服を上着から脱がせた。
覚悟を決めたのか、敏子はもう抵抗しない。

俺も一枚ずつ脱いだ。



<以下次号>








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2002年10月21日(月)

籠の中の貞淑な小鳥。 〜隠し味〜


<前号より続く>



俺は只ならぬ敏子の雰囲気に、言葉を待つしかなかった。


 「初めてなの・・・こんな気持ちになったのが・・・すごく不思議なの」
「どんな気持ち?」

 「迷惑だって、失礼だって分かってるのに・・・私、私・・・
  でもすごく平良クンに会いたい気持ちだった・・・会って本音を話したい」


今日の駄菓子問屋でのデート。
敏子はその数時間をずっと悔いていた、と言った。

自分の都合で息子ほどの年下の男性をわざわざ呼び出しておいて、
何も話せずに帰ってきてしまった、身勝手な自分がすごく寂しい、と。


「それだけ?」


俺の問いかけに、敏子は首を横に振った。


 「ううん、こんな気持ち、うちの人以外に感じちゃいけないって分かってる」
「どういう気持ち?」

 「私ね・・・すごくドキドキしたの・・・」


短いデートの間に、自分が昔経験できなかった『トキメキ』を感じたという。
自分の中で意識するのを避けていた『女』を思い起こしたのか。


男は老いても、骨になるまでずっと男である。
結婚し家庭を持っても、新たな女性が現れると、オスの本能が目覚める。

女だって結婚して母となっても、他の男の前ではまだ「女」なのだ。

それだって何ら不思議な事ではない。


自分がまだ『女』だったと自認したその思い。
彼女の心だけに留めておくには、あまりに大き過ぎたのだろう。

長らく封印した自分の本音。
導火線に火が付いた今、暴発するのに時間は掛からない。


気が付くと、俺の部屋に電話して呼び出していたという。
家族には今度の旅行のミーティングだと嘘までついて抜け出してきた。


俺は純粋に嬉しかった。

例え相手が親ほど歳が離れた女性だとしても、
生意気な若造の俺に、男としてトキメキを感じてくれた事が。


「ありがとう」


俺は運転席に座る敏子の膝の上の左手を握った。
敏子はさらに緊張したのか、身を固めた。


時間はすでに10時を過ぎる。
あまり遅くなると、電車で帰れない。


俺は再び新一宮駅まで送ってもらった。


「もしよければ・・・今度うちにおいでよ」
 「いいの?本当にいいの?」

「今度、敏子の手料理、食べさせてよ!」


安心した敏子の笑顔が印象的だった。
俺は敏子に再会を約束して、豊橋行き特急に乗るために高架の階段を駆け上がった。
頭上では、電車が入線する鋼鉄の音が重く響く。



しばらく経った秋晴れの日。
俺は最寄の駅で、敏子の到着を待った。

恐いので名古屋の街が走れない、高速道路にも乗れないという敏子は、
無難に電車で来る事にした。


まばらな乗客の中で、敏子は現れた。
俺は彼女に手を振って合図する。
敏子は笑顔を浮かべて一礼する。

駅を出て、二人で穏やかな秋の日和の中を歩く。


 「途中、スーパーある?」
「何?」

 「ちょっと買いたいものがあるんだ」


少し遠回りになるが、近所のスーパーへ立ち寄って敏子の買い物に付き合う。


俺のアパートに到着すると、敏子はバックからエプロンを取り出した。

女性のエプロン姿というのは、どこか勇ましい。


「おお、本格的だねぇ」
 「だって、服なんかにはねちゃうといけないでしょ?」


敏子は俺のために、冷凍保存が利くミートソースを作ってくれるという。
しかし取り出したのは、なんと干しシイタケ。


「これ、どうするの?」
 「一人暮らしの男の子の部屋には、こんなの無いでしょ?」

「そりゃ無いけど・・・」


敏子は小鉢にぬるま湯を入れ、掌で軽く叩いた干しシイタケを漬けた。
砂糖をひとつまみ入れて、そのまま電子レンジに入れた。


 「こうすると、早く柔らかくなるのよ」


敏子はとにかく手際が良い。
ミンチの下準備、ホールトマト缶の準備、鍋に湯を沸かせてパスタの準備・・・
次々と流れるようにこなしていく。

小鍋にサラダ油を引き、ミンチと玉ねぎの微塵切りを炒める。
そこに缶のトマトを入れて軽く潰しながら中火で煮込む。

電子レンジで軽く暖めたシイタケを取り出して、また微塵切りにして中に入れた。


和の食材を洋食のソースに入れる。
ちょっとしたカルチャーショックだ。


 「平良クン若いから。ちゃんと栄養取らなきゃね」


そして、なんとソースの中に干しシイタケの出汁を入れるではないか。
不思議そうな表情を浮かべる俺に、微笑みながら答える。


 「これ?うふふ・・・隠し味っ」


こうする事で、味が深く濃厚になるそうだ。

アルデンテに茹で上がったパスタを皿に取り、
丁度同じタイミングで出来上がったミートソースを上から掛ける。

その間に簡単なサラダまで作っていた敏子。


「短い間にこれだけの事をしちゃうんだぁ・・・凄いねぇ!」
 「そう?毎日だと誰も何も言ってくれなくなるわ」


居間のテーブルの上には、普段は並ばない華やかな彩りの皿が並んだ。



<以下次号>








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2002年10月18日(金)

籠の中の貞淑な小鳥。 〜問屋〜

<前号より続く>



俺と敏子はあれこれと話しながら名古屋駅から北東に15分程歩いた。
俺たちは西区・新道という場所に出た。
そこは、東へ500mも行けば名古屋城という場所だ。


そこに目当ての駄菓子問屋がある。
平屋で20軒ほどの駄菓子の卸しが入り、
狭い通路と狭い敷地に所狭しと駄菓子やおもちゃが並ぶ。

問屋だが個人客相手でも箱単位、大袋単位で駄菓子を買う事が出来る。


古くて狭い木造の造り。
目の前に広がる駄菓子の数々。


ここだけは昭和40〜50年代にタイムスリップしたかのような感覚だ。


幼い頃・・・
100円玉を握り締めて駄菓子屋に入り、
あれこれと幼い頭脳を悩ませながら駄菓子を買い求めた甘い記憶が蘇る。

子供にとって、まるでお菓子の家、宝の山だった駄菓子屋。


粗いグラニュー糖がまぶしてある、色とりどりの大玉の飴。
掌に乗るほど小さいカップに入った、ヨーグルト味のクリーム。
鱈の身を薄く切って揚げた、歯ごたえのある薄い串カツ。
夏場に凍らせて吸い付いた、チューブ入りの人工着色料のジュース。
悩みながらも目当てのミニカーを狙って何度も引いた籤。
多めにお小遣いを持っている時に買った、50円玉の形をしたチョコレート。

その他にも米菓子、おかき、酢イカ、発泡スチロールのプロペラ飛行機・・・


大手スーパーやコンビニの登場で消え去ったと思われた駄菓子の数々が、
ここでは数え切れないほどの種類が目に飛び込んでくる。


 「知らないかな・・・こっちには色々とお菓子が活躍する機会があるのよ」


結婚や新築などの祝い事があったときに「菓子撒き」の風習がある。
菓子を袋に詰めて、近所に配ったり屋根に登ってばら撒いたりするのだという。

大量の菓子が必要な時に、こういう問屋があるのは心強い。

関西出身の俺は、まだそういう光景を見た事が無いものの、
この中部地方にはまだまだ駄菓子が活躍する機会がある。


様々な宝の山に目移りしていた俺を尻目に、
旅行当日の菓子の手配をテキパキこなす敏子。


 「何だか付き合わせちゃって・・・ゴメンね」
「いやぁ、俺もこんな問屋があるなんて知らなかったし、楽しかったよ!」


時間はすでに午後3時半。

敏子は夕飯の支度もあるので、というと名鉄新名古屋駅へと向かった。

切符を買い自動改札を抜けると、
振り向いて俺に一礼して地下のホームへと消えた。


あっけない初対面は次回のデートの約束無しに終わった。
あまり気に入られなかったようだ。


寂しさはあるが、追いすがっても仕方が無い。
俺は敏子との時間をさっさと忘れるために、俺も帰宅する。




その夜、午後7時前だ。
電話が鳴った。

敏子からだった。

こちらから受付に電話してコレクトコールで掛ってくるテレコミなので、
俺の部屋の電話番号を知っているのは不思議ではない。

彼女の方から自分で電話を掛けてきたのは初めてだ。
敏子に気に入られなかったのだとばかり思っていた俺は驚いた。



 「あの、敏子です。今日は本当にありがとう・・・」
「いや、こちらこそ!でもどうしたの、こんな時間に」

 「あのね・・・あのね・・・会いたいの」
「俺でいいの?実はあまり気に入られなかったんだと思ってて・・・」

 「ううん、違うの・・・」
「俺は構わないけど、いつがいいの?」

 「・・・今夜、ダメ?」
「今夜?!」


先程名駅から帰ってきたばかりの俺は、敏子の言葉に驚いた。

どこか思いつめた、切羽詰った話し方。
今までの敏子とは、何か違う。


「さっき会ったばかりなのに?」
 「うん、どうしても会いたいの・・・ダメ?」
 
「どこへ行けばいい?」
 「・・・一宮まで来て欲しいの」


俺の住む街は三河方面にある。
一宮市や稲沢市は名古屋市を挟んで、ほぼ正反対になる。


「本当はあなたの街まで行きたいけど・・・あまり長い時間が取れないから」
 「・・・いいよ、分かった」


俺は部屋をそのまま飛び出す。

駅に丁度滑り込んだ電車に乗って名古屋まで行き、
今度は名鉄新名古屋駅から名古屋本線で一宮へと向かった。

最寄の稲沢市にある国府宮駅だと誰に会うか分からないから、
その次の新一宮駅に来て、と敏子は言った。



午後9時前。
俺は名鉄名古屋本線の新一宮駅にいた。


そこには、カローラ�兇之泙┐僕茲討い辛匯劼�いた。

数時間前、名古屋の駄菓子問屋をデートした彼女とは違う、
どこか元気なさげな敏子が運転席に座っていた。

俺は車の助手席に乗り込む。


「驚いたよ、いきなり呼び出されて・・・」
 「本当にごめんなさい・・・」


敏子の車は小牧市の名古屋空港へと向っていた。

この時間の名古屋空港は営業を終わっており、
翼を休める各社のジェット機が港内の黄色い水銀灯に照らされていた。


空港の敷地を区切るフェンス脇の小道に車を停めた。
この小道は夜、カップル達の溜まり場になるようで他にも数台が停車していた。


途中のコンビニで買った缶コーヒーのプルタブを引き開ける。
一口飲んで喉を潤した時、敏子が謝ってきた。


 「平良クン、本当にごめんね・・・こんな時間にまた呼び出して・・・」


敏子が普段からこんな我が侭な女でない事は、
俺も今までの会話でもよく分かっているつもりだ。

何かよっぽど思いつめた事があったのだろう。
何も責めるつもりは無い。


「ねぇ、何かあったの?」
 「・・・そういう訳じゃないよ」


先程よりも随分勿体ぶる言い方をする。


 「あのね、笑わないで聞いて・・・私ね・・・」


この次の言葉を聞くのにさらに数分間の、戸惑いの時間。
俺はただ待つしかなかった。


<以下次号>







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2002年10月17日(木)

籠の中の貞淑な小鳥。 〜浮気〜

<前号より続く>



俺は思い切って尋ねた。


「今まで浮気した事は?」 
 「・・・どこまでが浮気なのかな?」

「じゃあねぇ、Hにしよう。Hした事は?」
 

無いよ、とキッパリ言った。
若い頃の仕事先で、食事や喫茶に付き合った事なら何度かある程度。


そんなもの、浮気なんていうレベルじゃない。


「じゃ、浮気の第一号が俺かぁ」
 「してくれるの?こんなオバサンでも(笑)」

「うちに来て、なんか料理を作ってもらおうかな(笑)」
 「それが浮気?(笑)・・・でも彼女さんに悪いからな」

「大丈夫、今は誰もいないから!好きにやってよ!」


そんな言葉に本気で乗ってくるほど軽い女じゃないと分かっていたが、
敏子はこちらの話を本当に上手に聞き流している。


しかし時が経てば風向きも変わるように、
会話を重ねていくうちに、状況も変わってくるものだ。


何回か話をしたある日の事。

敏子が指導員を務めるガールスカウト団が、秋のバス旅行を計画していた。
紅葉散策がてら、山歩きをするという。


 「でね、その時に子どもに配るお菓子を買いたいの。
  名駅の近くに菓子問屋があって、実はそこに買出しに行きたいんだけど・・・」


その買い出し日に同行する人がおらず、敏子一人で向かう事になってしまった。
その時に一度会ってみようか、という話になった。

俺に異存はない。

平日の昼間だった。
俺は電車で待ち合わせ場所の名古屋駅を目指した。



名古屋駅の新幹線改札口前の広場は、この日も大勢の人間が行き交う。

時間より早く待ち合わせ場所に着いた俺は、
初めて会う敏子の事を思い、緊張を隠せなかった。

何度も話している人だし、品のいい女性なのはよく理解している。


でも予想以上にオバサンだったらどうしようか・・・
声だけじゃわからない。
老けてて白髪交じりで、背中が曲がっていたら・・・

お茶だけして急用を作って帰ろうか、どうやってポケベルを鳴らそうか・・・

半分は緊張、あと半分は失礼な事を考えつつ待つ。


敏子は紺のパンツスーツで来る、と言っていた。
そう思って見ると、往来する全ての中年女性がそう見えてきてしまう。


 「平良さん、ですか?」


背後から聞き覚えのある柔らかな声。
振り向くと、そこに一人の中年女性が立っていた。


軽くパーマを掛けたショートヘアに小さいピアス。
ナチュラルメイクにパンツスーツ。

決して緊張感の無い生活を続けてきた中年主婦とは思えない女性。


「敏子さんですか、はじめまして!」
 「お待たせしちゃったみたいで・・・ごめんなさいね」


近くの時計を見ると、待ち合わせの午後1時から5分ほど過ぎていた。


まずお茶しましょうと、名駅構内の喫茶店へ入る。
敏子は本当に緊張しているらしく、落ち着かない様子だ。

敏子は待ち合わせ時間よりも相当前に到着していたそうで、
俺らしき男をしっかりと傍から確認していながら、声が掛けられなかったと言う。


「そうかぁ・・・待ち合わせの時、俺も緊張したよ」
 「そう?」

「だってどんな人だろうと思ってて、嫌な人だったら帰ろうと思ってたから」
 「じゃ、もう帰る?」

「いや、ぜひ買い物に付き合います(笑)」
 「いいのよ、無理しなくて」


俯き加減で、敏子はそんな自虐的な言葉を並べる。

でも表情は決して暗い訳ではない。
そういう言葉を俺に否定される事で、逆に安心したいのだろう。

冷め切る直前のコーヒーを一気に煽り、
俺たちは今日の目的地へと向かうために店を出た。



<以下次号>








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2002年10月16日(水)

籠の中の貞淑な小鳥。 〜願望〜


こんな言葉がある。


 『料理上手な女房は浮気されない』


女性の持つ魅力とは、何も料理の腕前だけではないが、
おいしい食事が待っていると、確かに男は寄り道せず家に帰ろうと思う。

よって他の女性(特に水商売)との出逢うきっかけが減り、
その結果浮気できる確率が低下する。


好きな女性に対して、どこか母性を求めてしまうのが男の性。
そんな女性が腕によりをかけた料理は、何よりのご馳走だ。


また料理とは味覚の良し悪しだけではない。

冷蔵庫の残り物で様々な料理を産み出す知恵やセンス、テクニックも大きい。
そして忙しい中でも料理を作って自分の帰宅を待っていてくれる、
そんな小さな心遣いにも「人の情」を感じる。


温かい食事が待つ家庭。


こんな感激もきっと生活を積み重ねていくうちに慣れてしまうのだろうが、
ご馳走の待つ今夜は出来るだけ早くうちに帰ろう・・・という気持ちは持ち続けたい。
食卓の前で自分の帰りを待つ人のために。


逆にいつも冷凍食品や店屋物で夕食を済ませてしまうような、
食事に無頓着な家庭では、家に帰ろうとする意欲も失せる。

共働きでも、一品でもいいから何か手作りな品が小鉢にあると嬉しいもの。


たかが食事、されど食事。

俺は料理が出来る女性を尊敬する。
そしてきっと惚れる。


花嫁修業という言葉があるが、下手な習い事をいくつもかじるよりも、
料理教室で腕を磨く事の方がよっぽど有意義だと思う。

それは結婚のための花嫁修業だけでなく、自分も楽しめるはずだから。





10年程前の秋だった。
大学生だった俺には、随分歳の離れた女性と付き合いがあった。

テレコミで知り合った稲沢市の主婦、敏子。
当時22歳だった俺よりも20歳以上も年上だった。

穏やかで上品な口調の敏子は、若さで無頓着だった俺を気に入ってくれた。


当時高校生だった娘しかいない彼女にとって、
俺の事を、一人は欲しかった『息子』としてイメージしていたのだろう。


会話の内容もどちらかと言うと真面目な話題が多かった。

そんな中で印象に残っているのが、大人しい敏子が最も楽しそうに話す料理の話。


残り物の野菜からどんな料理が作れるか、よく切れる包丁がなぜ必要なのか・・・
時折声を弾ませながら、笑いながら色々な知識を教えてくれる。


意外な事に、アウトドアも趣味だった敏子。

女性にしては珍しく屋外の料理にも進んで取り組むそうで、
バーベキューの仕込みや川魚の下準備も進んでやるの、という。


 「私ね、炊飯器よりも野外で炊いた飯盒のご飯が好きなの」


大自然で採れた魚や山の幸を駆使した豪快な料理も好きだけど、
お焦げの香りがする飯盒のご飯にふりかけを掛け、
鰯の缶詰と共に頬張るのも好きなのよ、と笑っていた。


そして敏子はガールスカウトの指導員でもあったので、
夏休みはキャンプなどで子ども達にも野外料理や炊事の方法を教えていた。


当時はあまり名前を聞かなかったダッジオーブンの使い方も熟知していた。
あの黒く重い鋳鉄の鍋一つで、同時に二つの料理を作る離れ業もこなす。


 「平良クン、ちゃんとご飯食べてる?」


この言葉が敏子の挨拶代わりだった。

男の子の一人暮らしは、食事の乱れが一番心配なんだから・・・と、
親の立場からも心配してくれる。


テレコミで知り合う女性とは思えない、健全な会話での付き合いだった。


しかしそれだけでは面白くないと思った俺。
やはり女性としての話を聞きだそうと知恵を絞った。

大人しく真面目な敏子だが、こんな話題でさえも真剣に考えて答える。


 「でもね、私、男性経験が少ないから・・・分からない事が多いの」
「経験が少ないって、でも何も知らないで結婚したわけじゃないでしょ?」


敏子は初めて付き合った男性と長年の付き合いの末に結婚し、娘を産んだ。
家事は得意で、特に料理は旦那からも絶大な支持を受けたという。

旦那の勤め先の仲間や友人を呼んでのホームパーティーやキャンプでも、
自慢の腕を振るい、もてなして来た。


誰から見ても、敏子は出来た奥さんだと思う。


 「でも何でそんな敏子さんがこんなテレコミに?」
「・・・う〜ん、なんて話せばいいのかな?」


最初は照れ隠しがてら話題をはぐらかされていたが、
俺が不思議がって何度も聞くうちに、敏子は答えてくれた。


 「家事をこなして、一息ついたときに窓を開けると・・・青空が広がっていたの。
  そこに雲が浮かんでいて、小鳥が飛んでいて。でも私はこのままかなって・・・」


何も家から見える景色の説明ではない。
ちょっぴり照れながら、敏子はこんな例え話をしてくれた。

そんな話を聞いて、俺も同じような過去を思い出した。


俺が高校生の頃。
心ならず進学率の低い高校へと進学した俺は、
その学校の窓から見える空を眺めて、同じような事を感じたことがある。


通り一辺倒のつまらない授業。
偏差値で輪切りにされた人間関係。
何事にも向上心が見られない友達。
劣等感からの閉鎖的な環境・・・


閉塞感から煮詰まり、苛立っていた俺は授業中もよく窓の外を見ていた。

窓から見える空はどこまでも高く、雲は風に身を任せて流れていく。
陽の光が燦々と注ぎ、山々は光合成で濃い緑をたたえる。


そんな中、俺は鉄筋の箱の中で何をやっているんだろう。
これからどう転がり堕ちていくんだろう・・・


例え様の無い、形にならない不安を感じつつ生きていたあの頃。
晴れた日でも薄暗い印象が強かった、高校の教室の中。

そんな毎日に圧し掛かられていた時代を、ふと思い出した。



家庭も順調で、一人娘も自分の世界を持ちつつある。
でも彼女はこのままでは、専業主婦のまま平穏に年齢を重ねていく。

きっと世間的にも幸せに違いない敏子。

そんな彼女が今まで感じなかった寂しさに気付いてしまった。
敏子は自分がどこか「籠の中の小鳥」だと思うようになったと言う。

そして今まで見る機会のなかった『外の世界』に飛び出したくなったのだ。


それは自分を未知の世界へ連れ出してくれる男性との出逢い。
家庭の外へ駆け出し、吹く風と咲く花の匂いを感じるために。


「それって・・・浮気願望?」
 「そんな嫌らしいものなのかな?でもね・・・」


妻として、母としての長い年月・・・
結婚して20年近く経って、初めて湧き立つ感情だったという。



<以下次号>








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2002年10月14日(月)

18歳。 『熱帯夜』

<前号より続く>



こんな記憶は無いだろうか。


子どもの頃。
恥ずかしさで親にしがみ付いて陰に隠れたり、不安から繋いだ掌を力強く握った事を。

子どもが強い心配や不安を抱いた時などに、よく無意識にとる行動だ。


愛撫に合わせるかのように高まる声と共に、
ユキエは掴んだ俺の左手を、そんな子どものように痛いほど強く握り返す。


見知らぬ男が自分の一番大切な女性の部分を弄っていることへの抵抗か、
自分の意志に関わらず襲い来る快楽に自分を見失いそうになる不安なのか。

しかしこれだけは確かだろう。

彼女は俺の行為を喜んで受けているのではない。
俺は相手がどういう女であろうと、愛撫で感じてほしい。


ユキエの反応は痛々しささえ感じる。

俺は急に気分が変わり、泣きじゃくるユキエの中から指を抜いた。


派手な粘着音を立てていたユキエ自身から抜いた指は、白くふやけていた。
指先からは緩い粘液が細い糸を引いていた。



俺はユキエの傍らに横になると、泣き止んだ彼女を先程よりも強く抱いた。

そして先程までは身を固めるだけだったユキエは、
今度は俺の身体を強く抱き締め返してきた。

頬を桃色に染め、まだ余韻からか息が荒い。


俺は何も語り掛けず、ただユキエを抱き締める。
ユキエも俺に抱き付き、熟れ切れない身体を力一杯押し付けてきた。



そのまま何分間いただろう。



そんな抱擁の最中、ユキエはこんな言葉を口にした。


 「私ね、オジサン好き・・・」


俺の掌を血色が無くなるほど強く握った彼女。


まだまだ未熟な彼女は、独りで不安定な生活を強いられる事にやはり不安を感じていた。
そんな時だから・・・強くて大きな存在の男性を求めていたのだろう。

両手を広げて、笑顔で力強く励ましてくれる様な、大きな存在を。


独りにしたくないからと母親を思いやり、一緒にいることを選んだ彼女。
しかし本音では父親に体当たりで甘えたかった。

娘なら当然の欲求ではないか。


相手が父親なら、肉体関係を求める事は無かろう。

しかし他の男に求められないような、無垢なスキンシップを求めている。
例え単純なおんぶに抱っこでも、肉体の体温と感触が何より子どもを安心させるのだ。


人の気持ちや意思を感じ取るのは、何も相手の言葉だけではない。

肌の温もりは、時として何よりも雄弁なはずだ。



自分だけの快楽を最優先する、若い男どもの粗暴な性欲処理の行為には、
ユキエが本当に求める温もりは存在しない。


彼女が好きだといった「オジサン」。
今まで望んでも手が届かなった父性を求めていたのだろう。


しかし相手は「父親」ではなく、「男」。
そして彼女はユキエという源氏名を名乗る「風俗嬢」。


そこに存在するのは、あくまでサービスだ。
高額な利用料と引き換えの、性欲処理の作業。


そんな客相手でも、彼女は身を委ねる事で求める父性を代償しているのだろうか。



年々離婚率が上昇し、父子・母子家庭が増加している。
その離別ごとに、不安と寂しさに晒される子どもが増加する。


夫婦など、元は生まれも育ちも違う男と女。

自分たちの理由で勝手に別れる事もできる。
しかしその夫婦の子どもにとっては、両親の離婚は最大の悲劇となる。


どんなに納得できる理由があろうとも、
離婚の最大の犠牲者はその夫婦の間に授かった子どもなのだ。


そんな世知辛い世の中に増え続ける犠牲者の一人が、目の前にいる裸の彼女だ。


考えてみれば、18歳はまだ反抗期を過ぎてから間がない年齢。

外見や言い分がどんなに大人びていても、中身は大人とは言い切れない。
まだまだ心身とも大人の支えが必要だ。

この世の中にたった一人ずつしかいない、父と母が傷付け合って分解した。
彼女の直面した現実。


そんな少女の抱えた傷の痛みなど、他の誰にも分からない。
それが例え血を分けた親でさえだ。

子どもの事を二の次にして、自分達の都合だけでいがみ合う親など、
他人よりも遠くに感じるはずだろう。



俺とユキエは強く抱き締め合ったまま、買った時間の終わりを迎えた。
先程の携帯電話が鳴り、時間の終了を告げられたのだ。


 「どうしよう、お兄さんイッてないもんね」
「そうだなぁ・・・」


延長も考えたが、その店は30分で1万円と高額だ。
財政と欲望の間で散々迷ったが、結局諦めるしかなかった。

ユキエには口や手で男を満足させられる腕はない、という。
チップと引き換えに身体を差し出す娘にその様なテクニックは必要ないだろう。


 「今度遊ぶ時に、本番すればいいじゃん」


シャワーを浴びようと立ち上がったユキエはあっけらかんと言い放った。
しかし今日のユキエを知ってしまうと、簡単に本番を迫れるような気持ちにはなない。


「今度はまずカラオケだって、歌ってもらわなきゃ」
 「・・・・そっかぁ、そうだったね!」

一瞬の戸惑いの後、ユキエは俺に初めて爽快な笑顔を見せた。









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308号室を後にする時。

化粧が間に合わず、ノーメークで髪をゴムで束ねただけのユキエだったが、
俺に対してあくまで冷淡な態度を崩さなかった。


「次、カラオケ付きの部屋に入るからね」
 「次?分かんないよ・・・私なのかどうか」

「何で?」

 「前回の女の子、私を指名して裏切ったじゃない」

「裏切ったって・・・」
 「大丈夫。期待しないで待ってる」


二人でエントランスを出た。
ユキエは俺の車を止めた駐車場と逆の方向へ向かう。


「じゃあ、また今度!元気でな!」


別れ際、俺は敢えて元気よく手を振った。
キョトンと驚いた表情を浮かべた彼女が、また可愛く見えた。



帰りの道中、信号待ちの間。
俺は自分の携帯電話にその店の電話番号とユキエの名前を登録した。


今度、何時になるか分からないが・・・俺はユキエにもう一度会ってみたいと思った。


彼女がどうこの状況を乗り越えていったのか、興味がある。
そしてぜひ彼女の歌声を聞かせてもらいたいではないか。
派手や衣装や作為的なミキシングで飾られた歌ではない、心からの歌が。



帰路の途中で先程の脇道を通ってみた。

遅い時間に関わらず、さらに台数の増えた男どもの自動車。
そしてさらに頻繁に出入りするデリヘルの送迎車。
不況に凍えるこの世の中で、まことに景気の良い光景ではないか。


帰るべき場所が無いと言った少女・ユキエ。

車内で何もしなくても、汗が額ににじみ出す。
切ないほどの、熱帯夜。

ユキエは俺の次に・・・どんな男の元へ送り出され、抱かれているのだろうか。




☆ 毎度のご訪問&ご高覧、ありがとうございます。
  お気に召しましたら、投票&My登録を宜しくお願いします。
  次回のエレヂィも、どうぞお楽しみに。



  ☆  感  謝  ☆

   先日この欄で紹介した、紫さんの日記『不倫じゃいけませんか?』の
   「裏日記」にて、「華のエレヂィ。」が紹介されました。
   この場を借りてお礼申し上げます。

   しかし若い方から紹介されるのは、やはりどこか照れ臭いですね・・・

   リンクから初めて来られた読者の方へ。

   紫さんの紹介文にあった「心地良い いやらしさ」も含めて・・・
   どうぞ、ゆっくりと楽しんで下さいね。

2002年10月13日(日)

18歳。 『心の盾』

<前号より続く>



風呂から上がり、身体を拭く間に互いの趣味の話になった。
ユキエの趣味がカラオケだと言う。


 「もうね、ずっと歌いっ放しだよ」
「何を歌うの?モー娘?」

 「う〜ん、小柳ゆきとかMisiaとか」


お惚けなキャラに似合わず、本格的なボーカリストの歌を嗜むユキエ。


「もしかして・・・芸能界へ行こうなんて思ってなかった?」
 「思ってた!歌手になってお金を儲けて、母さんを助けたかったなぁ」


芸能界で成功して、母親に安定した暮らしをプレゼントしたかった、と。
母の秘密を知ったことで、より強く母を守っていこうと心に決めた、と。

相変わらずの態度と口調だったが、意外なほど意志の強い部分がある。
ユキエには愛人になる野望よりも、こちらの夢がより現実的な望みだったようだ。


 「でも18だから・・・もう遅いよね」
「そうだね、アイドルじゃ遅いかも(笑)」


そのホテルの部屋にカラオケでもあれば、その場で一曲歌ってもらえたが、
生憎その設備が無かった。


「今度聞かせてよ!その歌声!」
 「聞きたいの?・・・お兄さんだったら、いいよ。でも・・・」

「でも?」
 「店外デートは30万円の罰金で退店だから・・・」


店のシステムを覚えていなかったという割には、こういう事は覚えている。

「いいよ、次回会えたときにはカラオケ付きの部屋で歌ってもらうから」
 「いいの?そんな約束して・・・」



俺たちはベッドへ移動した。


 「ねぇ、AV見ないの?」
「え?なんで?」

 「男は皆見るよ」
「俺は別に見ないなぁ・・・見たいの?」

 「分かんない・・・見てもいいよ」


テレビのリモコンで衛星放送のピンクチャンネルをかけると、
今を時めく売れっ子AV女優と細身のベテラン男優との迫真のベッドシーンが流れる。


 「この人、こんなに綺麗なのにね・・・気持ち良さそうだな」
「でも演技だって。こういうのは・・・」

 「ええっ!そうなの?すごいなぁ、こんな演技が出来ちゃうなんて・・・」



全裸にバスタオルを巻き、濡れた髪のままベッドに座るユキエ。
18歳はまだ子供だと思っていた俺だが、彼女の横顔は随分大人びて見えた。

思わず見とれていると、俺の視線に気付いたユキエは恥ずかしがり大きく仰け反った。


そのまま彼女を後ろに引き倒した。
ユキエに覆い被さり、濡れた髪を指先で分けて瞳を見つけた。


「電気消そうか?」
 「分かんない・・・いいよ、どっちでも」

「恥ずかしくないの?」
 「分かんない・・・」


俺はユキエの線の細い身体を抱き締めた。
驚いた様子のユキエ。

思わず息を呑んだ彼女の高鳴る鼓動が伝わってようだ。


「どうしたの?」
 「分かんない・・・抱き締められたの、初めて・・・」



男性経験は「浅く広く」豊富なはずのユキエ。

しかし身体だけが目当ての男など、
女の心まで包み込むようなSexなど最初から目指していない。

それだけの容姿と経験がありながら、
男に裸で抱き締められたのが初めてというのも、俺はにわかに信じられなかった。

しかし緊張したユキエの身の固さは、彼女の経験の全てを正直に表していた。


俺はユキエの細い身体を抱きすくめる。
ユキエは目を見開き、俺の胸元をじっと見つめていた。

どうして良いのか分からないのだろう。

俺はユキエに静かに語りかける。


「こういう風に抱き締められて、嫌か?」

ユキエは何の反応も示せず、完全に固まっていた。


「嫌なら、離そうか?」
 「分かんない・・・でも、でも・・・」

「・・・君は何でも『分かんない』んだな」
 「だって、分かんないんだもん」



ユキエの口にする「分かんない」の言葉は、きっと意味があったと後で気付いた。
単に「私には分からない」「混乱している」のではない、もう一つの意味が。


身体だけが目当てで、私の機嫌をとる男には・・・
私を端金で抱くような、真っ赤な他人には・・・

私の事など・・・
分からなくていい。
知らなくていい。
深入りしてこないで。

そんな意味が込められていた気がする。

決して他人に心の奥を悟られまいとする、頑なな程の心の盾。



空調が利き過ぎる、肌寒いほどのベッド上。
俺はユキエの頬や顎先にkissし、冷えた髪を撫でた。

そして固く巻いたバスタオルの上から乳房を触り、ゆっくりと剥ぎ取る。
ごく薄い産毛が包む両乳房は、思ったより柔らかい。
しかし全く開発されていない様子で、乳房や乳首を攻めてもあまり反応しない。
ユキエは相変わらず緊張している様子だった。


俺はユキエの腿を開かせ、内側を指先で筋に沿ってなぞる。
ここが一番感じる、と先程言っていた部分だ。

微かに上げるうめき声。
しかし喘ぎ声というにはまだ程遠い。


腿の内側から、指先をユキエ自身に滑り込ませた。
薄いヘアの奥にすぐ見つかる女唇を指先で焦らし気味になぞり、押し開く。

奥は充分潤っていた。


「良かった、何にも感じていないのかと思った・・・」
 「分かんない、でも濡れやすいの・・・」


俺はユキエの突起を指先で円を描くように弄る。
しかしあまり反応は無い。


「ここは、あまり感じない?」
 「・・・中の方がいい」


俺は奥へ右手の中指を差し入れた。
その途端にユキエは目を閉じ、全身をよじって反応し始める。

中指を奥まで差し入れて、指の腹で突起の裏側を攻める。
ユキエは泣き声にも似た甘えた喘ぎ声を上げ始めた。


「ここがいいんだ?」
 「・・・あん、ああん、分かんない、分かんない・・・」


俺は指を抜き、次に改めて二本挿入し、ユキエの敏感な部分をより強く圧し攻める。
ユキエは全身の力が抜け、まるで本当に泣いているような喘ぎ声を出し始めた。

鳴き上手な女はそれだけで男は熱くなるだろう。
ユキエが他の男から求められる理由は、その点にもあるようだ。

俺は右手の指で攻めつつ彼女の脇に添い寝し、左手をユキエの右手に添えた。


ユキエは右手で俺の左の掌を、絞る音がする程力強く握り返して来た。
俺の掌はみるみるうちに血色を失っていく。


きっと感じているだけではなかったと思う。



<以下次号>








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2002年10月12日(土)

18歳。 『親子二代』

<前号より続く>



 「私は5回だった」
「そんなに出来が悪かったの?」

 「そうじゃなくてね、運転手が5人全員名乗り出てきたの」


その店はデリヘルの運転手が講習を受け持つ事になっているようで、
風俗で働いた経験の少ない娘には、最低1回の通し稽古である
『講習』を行って接客方法を教えるのだ。

普通なら割り当て制なのだろうが、
自分から手を上げて申し出る事も出来るという。


そんな彼女は5回も講習を受けたという。
話を聞いていくと、彼女の出来が悪かったからでは無さそうだ。


 「それもみんなホテルに連れ込んでも、何も教えてくれないんだよ」
「じゃ何のためなんだろ?」

 「分かんない・・・でもタダで出来るからって言ってたかな」
「ひどいねぇ、それ。タダ食いじゃん」

 「それで、何人かはお小遣いやるからって最後までって・・・」
「・・・講習で本番かぁ、ひでぇなぁ」


ユキエはすでに無垢な娘を食い物にする連中の犠牲になっていた。
『役得』というにはあまりに背信的な行為がその店では『講習』として、
日頃から行われている。


18歳の彼女はその店最年少の嬢。
そう滅多にこういう業界に飛び込んでくる年齢でもない。

理由あって飛び込んできた彼女の若い肉体を、
自分たちの立場を悪用して貪った運転手ども。


彼女は申し出てきた数人の運転手と
「店には内緒でいいだろう?」と口説かれ身体を売ったという。


 「でもタダでしかなったんだから、えらいでしょ?」
「・・・そういう問題じゃないと思うんだけどね」

 「お兄さん、デリヘルの運転手に転職しなよ。タダで出来るんだよ」
「・・・そういう問題でもないと思うんだけどさ・・・」


俺は明るい風呂場で、改めてユキエの肢体を眺める。
18歳の肉体は、まだ未熟さの残る危険な色気を放っていた。

大人の女性からは消え失せた、熟す前の「青さ」。


俺はユキエにまず身体を洗ってくれと頼んだが、あまり要領を分かっていないらしい。
仕方がないので、俺が彼女に手本を示す事にした。

ユキエを椅子に座らせて、ボディソープを洗面器に採った湯に溶き、
その泡を掌にとって全身に塗るように洗っていく。

女性の身体を洗うのは嫌いではないので、俺にとっては案外楽しい時間だった。

背中から脇腹、細い首筋や肩に泡を塗り、今度は背後から胸や前面を洗う。


薄っすらと産毛の生え揃う背中の柔肌。
成長し切っていないCカップの乳房。
薄く生える逆三角形のヘア。
今時の若い小娘には珍しい、たおやかな黒髪。
俯いた時に浮かぶ、陰のある表情。


俺は彼女の身体を流しながら聞いてみた。


「ねぇ、どうしてこの仕事始めたの?」
 「・・・大した理由は無いよ、でも・・・」

「色々あったんだ?」
 「・・・うん、つい最近なんだけど・・・」


両親が別れたの、と寂しそうな声で漏らした。



18年前。
ユキエを宿した母親と、その父親は婚姻届に判をついた。


 「母さん、私を17で産んだの」
「そりゃ若いねぇ!・・・お父さんは?」

 「母さんの2コ上・・・」
「どっちも若かったんだねぇ・・・」


若い夫婦の元に生を享けた一人娘。
それがユキエだ。

しかし若い夫婦の『出来ちゃった結婚』では生活も安定するはずがない。
二人を結んだ若気の至りは、何時からか互いを傷付け合う方向へと向けられた。


母親やユキエに対し、常日頃から暴力を振るう父親。
せめて娘を守るためにと時には身を呈して耐える母親。


いくら大人だけの問題、夫婦の問題とはいえ、
全てを目の当たりにさせられる幼い娘が心穏やかでいられるはずがない。

甘えたい盛りの頃から見続けた両親の身勝手な姿に、受けた心の痛みは計り知れない。
こんな大人の間に生まれた自分の存在すら、きっと疎ましく思えた時もあっただろう。


両親やその他の揉め事が長らく続く中、「今は家に帰りたくない」という
ユキエは、友達の家を次々と泊まり歩いているという。

携帯電話だけが頼りの『住所不定』状態。


しかし、まだ18歳。

一人暮らしの同性の友達がそんな多いはずがない。
かといって、実家に住む友達には頼みにくい。

先日まで年上の男友達の部屋を泊まり歩いた時は、その家賃を身体で清算していた。
そしてこの仕事を始めた一昨日からは、その事務所で寝泊りしている。



両親は不仲から長らく別居状態にあったが、先日ようやく離婚が成立したという。

彼女はその間も母と二人で生活していたというが、
その生活は本当に苦しかったそうだ。


 「本当に貧乏だったの・・・お金に苦労した」


未熟な大人だった両親に、不安定で貧しい暮らし。
思春期を過ぎる頃、ユキエは心の底まで卑しい女になっていた。


 「愛人になりたかった。お金持ちに囲って貰って生活するの」 


実際、ユキエは当地のヤクザの若頭に誘われた事があったという。
クールで大人びた風貌の彼女は、歳よりも大人びて見えたことだろう。


 「でもまだ中学生だったし、母さんを独りにしたくなかったから・・・」
「中学生?それなのにヤクザが?」

 「うん。向こうにはこっちが何であろうと関係ないもんね」


中学生を愛人にしようとしたロリコン趣味の腐れヤクザにも呆れたものだ。

その街は実際に暴力団の抗争が相次いだところ。
実は現在でも暴力団事務所が点在し、
沈静化したもののその頃の名残りがあると言われる。



ユキエの冷めた言動と冷淡な顔立ちは、決して生まれつきのものだけではなかった。


そんな話の途中でも時折絶句するユキエ。
彼女の脳裏にはきっと色々な忘れ難い場面が巡っていたことだろう。


辛い話が一段落し、二人で温かい湯の中に浸っていた時。
ふとユキエは俺に顔を向けた。


「うちの母さんもね、実は風俗なの」
 「そうなの?」

「うん、母さんもね、こういう出張の仕事しているよ」


彼女の母親は、こういう仕事がまだ非合法だった頃から手を染めていた。


ユキエを育てるために身体を売り続けた母。
そして家出しつつも母を気遣い続ける娘。


「お母さんがこういう仕事しているって、何時知ったの?」
 「最近かな。でもお母さんは何も知らない」


母親は、同じ街の違う店に今も在籍しているそうだ。
親子二代の風俗嬢である。


ユキエがその事実を知ったのは、母が告白したからではない。
母の知られたくない秘密をユキエに教えたのは、母と別れる実父だという。

関係がこじれた腹いせなのか、親権の交渉を有利に進めるためなのか、
母親の最も娘に隠したい現実を陰で打ち明けたのだ。


つくづく情けない男だ。


自分の裏の顔を娘が知っている事を、母はまだ知らない。
そして母と同じ日陰の道を歩んでいる娘の事実も、母はまだ知らない。


娘のユキエは、母の秘密を知ったときにどう思ったのだろうか。
そしてどういう思いで同じ道を歩んでいく決意をしたのだろう。

俺には想像もつかない。


 「母さんね、外見はタレントのRIKAKOなの」
「美人じゃん!それじゃ結構モテるだろうねぇ」

 「でも・・・病弱だし、おっぱい小さいけどね」
「いいよ。俺は微乳が好きだし」

 「でもね、私から見ても若いし、綺麗。お兄さんもきっと惚れるよぉ」
「35だったら充分いけるよ!よし今度はお母さんも呼んで3Pするかなぁ」


ユキエは苦笑する。
やはり母を引き合いに出され、複雑な心境だったのだろうか。

我ながら心無い事を言ったものだ。



<以下次号>








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2002年10月11日(金)

18歳。 『分かんない』

<前号より続く>


パネルの写真では分からなかったが、
308号室は思ったよりもずっと質素で狭い部屋だった。

ダブルベッドと小さいソファがある以外、もう空きスペースがない。



「君は大人しいんだね・・・オジサン乱暴しないから、大丈夫だって〜」


上着をハンガーに掛けた俺はおどけた調子でドアの脇で立ち尽くす少女に話し掛けると、
その少女はようやく冷たく端正な表情をほんの少し崩した。


「・・・君、名前は?」
 「・・・・・・なんだっけ?・・・え、ユミカ?ユリエ?」

「覚えてないの?」
 「だって適当に本から選んでつけたんだもん」

「大丈夫かね?」
 「・・・あ、そう思い出した。ユキエ、ユキエ・・・『ごくせん』から採ったんだ」

「ユキエ、でいいんだね(笑)」 


早速、天然ぶりを発揮してくれた少女・ユキエ。
その後も彼女の個性は、色々な意味で俺を楽しませてくれた。


「ね、料金っていくらだったっけ?」
 「え?聞いてないの?・・・分かんない。私、覚えてない」


ユキエは料金も、プレイ時間も「分かんない」と連発する。
俺は携帯で店に確認するようにいうものの、今度は携帯を手にして何やら悩んでいる。


「どうしたの?」
 「・・・掛け方が分かんない」

「でもそれ、君の携帯じゃないの?」
 「今日の昼に店から貰ったばかりだから・・・」


ユキエの手には、彼女のプリクラやシールが所狭しと貼りまくられていた携帯電話。
店から支給されたのか、確かに新しい形のものではない。

俺がその携帯を受け取り、あれこれと弄っている間に
ようやく店の電話番号らしき着信履歴が表れた。

そのまま発進ボタンを押し、ユキエに手渡す。


 「あ、もしもし、ユキエですけど・・・時間や料金って、どうでしたっけ?」


店に確認の電話をしてようやく料金がわかったものの、ユキエはどうにも頼りない。

店の判断基準は受付の応対だけではない部分もあるものだ。


俺はユキエに色々な話を振りつつ、自らサービスに動かない彼女に痺れを切らして、
俺が自分で風呂の湯を張る。

42℃に合わせた蛇口から湯が勢いよく広めのバスタブに流れ出す。


部屋の備え付けのスナック菓子を何時の間にか平らげていたユキエは、
空腹が紛れたのか、何とか落ち着いた様子だった。



 「ねぇ、お兄さん結婚は?」
「してないよ、彼女もいないし・・・君は?」

 「う〜ん、分かんない」
「分かんないって、何が?」

 「付き合っている男はいるけど・・・」
「けど?」

 「一人じゃないし・・・何人もいるから・・・」
「セフレ(セックスフレンド)?」

 「・・・もいるかな。だって何が『付き合う』事なのか分かんない」



彼女の複雑多岐な男性関係が垣間見える。


聞けばその男たちは皆すぐホテルへ行きたがり、すぐ始めたがるという。
俺から言わせれば、その男全てが身体目当てで付きまとう男どもだ。

きっとユキエは本当の意味での恋愛をまだ知らないだろう。

男は相手が本当に愛する女性だったら、いくら若いとはいえ、
逢うなり早速ホテルへ連れ込んだりはしないだろう。



 「お兄さんは、ここでよく遊んでるの?」
「まあ、遊んでいる方だろうな」

 「ここは初めて?」
「いや、2回目」

 「前回の女の子は指名しなかったの?」
「今回は18歳の新人さんがいるって聞いたからね。君にしたんだ」

 「その子、可愛かった?」
「まあまあね」

 「なんて言う名前の娘?」
「さてね・・・忘れちゃった」


そう尋ねながらも俺の目を見ず、遠くをぼんやりと見ながら訥々と話すユキエ。


「お湯も入ったし、お風呂入ろうか?」 


俺はユキエを風呂へと誘う。

彼女は俺に全く構う様子もなく、独りでさっさと服を脱ぎ、
湯をかぶって自分独りで身体を洗い出す。


「ねえ、あくまで客商売なんだから。そういうのはまずいんじゃない?」
 「・・・そうか、だって皆勝手に始めちゃうから・・・」

「きちんと店で講習受けたかい?」


こういう風俗店では、入店した時に客へのサービスの仕方を教える機会がある。

俗に『講習』と呼ばれるのだが、
彼女の様子ではとても講習を受けたようには思えない。


 「受けたよぉ!5回」
「5回も?普通1回じゃないの?」



<以下次号>







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2002年10月10日(木)

18歳。 『308号室』


本社近くに古い野球場がある。
今でも時折、高校野球の地方大会や草野球で賑わう。


その球場の脇には一本の道路がある。

南側にそびえる一塁側スタンドの高い壁がほぼ一日中日照を遮り、
正午以外はまともに日が当たらない。

そこは普通の健全な付き合いをする男女は決して訪れない、
待ち合わせの陰のメッカ。

その日、その時だけの逢瀬を楽しむ女を呼び出し、待つ男どもが集う場所。


その道にはテレクラや出会い系、
またはデリヘルやホテトルでの女を待つ男どもの自動車で、
多い時には10台以上が路上に並ぶ。

男どもは皆車内で、欲望で膨らんだ期待と股間を持て余しながら、
焦れつつ過ごしている。
その脇道を奥へ進むと三叉路があり、左へ行くとホテル街へと出る。

そういう意味でも男が欲情を果たしたい女を待つのに、
最も条件の良い場所なのだ。

地元民でも知る人ぞ知る場所。
その脇道には通称すら無い。




8月のとある金曜日の夜8時半。
俺はその脇道に車を停めていた。

そんな噂を聞いていた俺は、好奇心からその周囲の様子をまず観察していた。

まともな街灯すらないその脇道は、完全な都会の死角である。


その夜は10台近くの様々な乗用車が縦列で停車していた。

そして時折、場に不相応な高級車やガラスにフィルムを貼った怪しいワゴンが
通りかかっては縦列駐車の隙間に割り込み、女を降ろす。

その女を見定めた男は車の助手席のドアを開け、乗せると目的地へと
走り去っていく。


時には派手な化粧と衣装の中年女が古い型の軽四自動車で登場し、
路上駐車して男の車に乗り換えては、奥の三叉路を左に曲がって消えていく。


入れ替わり立ち代わりの活発な光景に、俺は半ば感心しつつ観察を続けていた。


先程コンビニで購入した夕刊のスポーツ新聞を広げ、デリヘルの三行広告を探す。
実はこの夜、俺はこの地区のデリヘルを利用するつもりでいた。


いくつかの店に電話をするものの、あまりに応対の好ましくない店が多い。
乱立するこの手の風俗店には、客商売という意識も薄いのだろうか。

店の受付の応対で、ある程度その店の営業姿勢が分かる。
いい加減な店では取り揃える女も大抵がいい加減で、高い利用料に釣り合わない。

客としても、店を見定める判断材料になる。

気に入らない店はこちらから切り、
また掛け直してしっかりと応対できる受付の店を探す。



暗闇の中、俺はある店をふと思い出した。

その店は素人専門店を看板にしているデリヘル『R』。
電話番の応対も丁寧で、印象に残っている。
そして前回紹介された娘もしっかりしていて、悪い娘ではなかった。


俺はその店を広告で探し、電話した。


 「ハイ、毎度ありがとうございます。『R』です」


俺は早速新人の女の子をオーダーする。


 「丁度、今日で二日目の新人の女の子がいますねぇ」
「いくつの子ですか?」

 「この子は・・・18・・・歳ですね」
「18?若いですねぇ・・・学生さん?」

 「いや、うちは女の子のプライベートはお答えしませんので」


俺もうっかりと聞いてしまったが、それ以上にしっかりとした店の方針だ。


 「その娘は多少人見知りしますが、外見は美人で文句なしですよ!」

受付は上手いトークで俺の欲情を焚き付けてくる。

しかし新聞広告ではその嬢の特徴はわからない。
いくら向こうが可愛いと勧めて来ても、俺が可愛いと思うかどうかは別問題だ。


 「うちはチェンジ・キャンセル無料なので、一度会ってみてください!」
「そうですか・・・?」

 「ええ、一切無料です。一度会ってから選んでもよろしいですよ!」



俺は嬢の年齢は気にしないが、いわゆる「ギャル系」が苦手だ。

行き過ぎた茶髪や下品な口調、臭いほど香水を振りまいたような女は勘弁して欲しい。
それも俺が金を出して呼ぶ女だ。


多少迷ったが、俺は一目見て気に入らなければキッパリと断るつもりで
その18歳の娘を待つことにした。


電話を切った後。
暗闇の車内でシートを倒し、FMで心地良い音楽を聞き流しながら考えていた。


18歳とは若い。
俺はこの遊びで何人かの18歳と出逢ってきた。
皆、様々な人生を年齢以上に積み重ねていた。

その娘もどんな人生を背負ってこの業界に飛び込んだのだろうか。

俺はいつもとは違う期待と緊張感に包まれていた。



相変わらず車の入れ替わりが頻繁な脇道で待つこと、約15分。
俺の車のグラスをノックする音がした。


顔を向けると、長い黒髪でクールな表情の少女が立っていた。
容姿は俺の予想を良い方に大きく裏切った。

白いブラウスは「18歳の風俗嬢」とは思えない清潔さを感じる。


助手席のロックを開けると、少女は無言のままドアを開けて助手席に座り込む。
俺は奥のホテル街を目指して、車を出した。

はにかんだ風の少女は、真っ直ぐフロントグラスの向こうを見据える。
俺には視線を向けない。


「はじめまして。18歳だって?やっぱり若いねぇ」
 「・・・」

「今日が二日目なんだって?」
 「・・・」


少女はやや口元を緩めたが、やはり無言のままだった。
本当に大人しいのか、ただ人見知りしているのか、会話に全くのってこない。


俺はこの後の展開に少し不安を感じつつ、車を近くのホテルの駐車場に入れた。
ライトアップされた外見が綺麗なそのホテルは、駐車場も広めで使い心地良かった。


俺たちは車を降りてホテルの建物に入る。


エントランスの自動ドアが開き、間接照明の廊下を歩くと、
突き当たりにフロントの電飾パネルがあった。
数室しか空いていない中、シンプルな内装の308号室を選んだ。


俺と少女はエレベーターで3階に上がり、薄暗い廊下を無言のまま歩いて向かった。


迷路のような細い一方通行の廊下。
ドアの上で308と書かれたパネルが点滅している。


ノブを掴み、年季の入った鉄板のドアを押し開けた。



<以下次号>







↑エンピツ投票ボタンです。今回は5話構成です。


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