f_の日記
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 カタチ

悲しみとか
喜びとか

愛とか心とか

カタチのないものに

名前をつけて
囲っていく僕ら

その枠組みの中で迷ったり
出られずに溜息をついたり

ひとつひとつのタマシイと
ひとつひとつの囁きに

そんな必要など
本当はないだろうに

2005年02月28日(月)



 琵琶

琵琶聴きて
釈迦曰く

弦は
張りすぎては切れてしまう

緩くては
よい音が奏でられない



孤独が
ぽつりぽつり

音をたてて忍び寄る

冷静と情熱との狭間で揺れて
生活に晒されてゆく中で

切れてしまえば
二度と奏でられない

そんな音の狭間で

ほんの少し
信じてはみたけれど

2005年02月27日(日)



 

息が白くて
刺々しくも星が瞬く夜

捨てられた猫のように
街を彷徨ったあの頃と
同じ匂いがする

馬鹿で純粋で愚かだったあいつら
大人びた今の仲間より

ずっと心を赦していたような気がして

何の力も無く
嘯きながらもそれを知っていたオレたち

何の方策も無く
それに逆らっていたオレたち

2005年02月22日(火)



 

流れゆく雲と
切れ間に覗く青い空

眺めていると
ずっとずっと昔

都が
大和に出雲に火の国に

いや

もっとずっとずっと
遠い昔

そんな頃に
同じように雲を眺めていた

自分を思い出す

今も同じように
空を眺めて

同じように
胸を痛めて

目を細める

血と肉に眠る深淵の記憶に
くすぐられながら

2005年02月20日(日)



 織姫と彦星と

機を織る
海の向こうの娘と

タタラ踏む
小さな島国の男と

いつか離ればなれになることを知りながら
されどそうならないことを信じながら

月へ還る異国の
其の娘は

誰の愛も受け止めず

幻の中
消えて

男は胸の大きな穴を
酒と煙草で埋めながら

物語を
故国にて遺す

いつか出逢える
そんな物語に換えて

2005年02月19日(土)



 遠距離恋愛

幾つものスレ違い

時と距離が
二人を別ち

でも愚鈍で蒙昧な僕は
そんなことが

そんな
些細な出来事が

スレ違いだなんて
気付かなかったっけ


何日逢わなくても
不安にならなくて

自信と
信じることへの

陶酔と


けれど


ヒトは一人に慣れていく

それでも必要としあえる?

それをどこで
確かめ合えばよかったのだろう

それをどこまで
信じ切ればよかったんだ


忘れていた
そんなつまらない自分を

フラッシュの中
思い出して


だからかな
僕は

未だに


臆病者です

2005年02月12日(土)



 コンクリートの狭間で

薄暗い空
ふと見上げ

カワラナイサと

呟いてみた

2005年02月04日(金)
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