f_の日記
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 たぶん、

何も知らないままで、
そのときの方がつながっているようで、

たぶん知らないふりも、
ほんとうは通用しないから、

ぼくはかきあつめた勇気で、
遠い空に向かう。

もしも風が吹いて、
おなじ薫り感じたなら、

たぶん少し驚き、
はにかみ、うつむくだろう。

たとえ救いがたさで、
この世がくずれても、

たぶん人はさいごに、
はにかみ、うつむくだろう。

2002年05月08日(水)



 雨なんか降ってると、

雨なんか降ってると、

よけいに寂しくなる夜もあって、

水の音、
雨の匂い、

やさしさを思い出したりもする。


思い出にすがらず、
つよく生きてゆきたいけれど、

たまにはそれもいいかと、
想う夜もある。

2002年05月18日(土)



 時には、

無力に、
非力に、
目を瞑りたい夜もあり、

2002年05月24日(金)



 クモのイト


なにかの工場の数人の男が
ふと手を休めてなんとなく
ぼんやりと眺めている

うっすらけむりがかった
川の向こうに沈みゆく
すこし大きな
ゆれる夕日を

薄汚れた作業着が
まけずに映えている

車の窓ごしに僕は
どんな人生にも
ほんの一瞬の
ほんの刹那くらいは

救い
が用意されてるんじゃないかと

そんなことを考えていた

2002年06月05日(水)



 もしも、

「もし自分の願望が、何でも叶うとしたらどうする?」
「それは、それほど嬉しいことはないだろう。」
「そうか・・・、たとえばその力で人が不幸になってもか?」
「そんな願望、持たなければいいだろう。」
「おまえは、人を恨んだことはないか?」
「ある・・・あるがその先、恨まなければ、よいではないか?」
「人の感情というものはな、最初は湧き水のようなものだ。」
「うむ・・・・。」
「それが泳いでも渡りきれぬほどの、河となることもある。」
「うむ・・・。」
「人は、人を不幸にすることもある、ということさ。」

2002年06月18日(火)



 夏、

夏休みの宿題、
祭りの夜、
朝から虫かご、
草いきれ、

ただなんとなく過ごした日々に、
癒されている不可思議な夏。

2002年06月21日(金)



 ひとり、

ひとりなんて
寂しくないと信じていたけど

ひとりだから寂しいのではなくて

寂しいから
ひとりなのだと

君は云った

2002年06月26日(水)
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