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■ 到来
朝5時半に起きて長男のお弁当を作り 朝食を出していると内線電話が鳴る。 4階の舅のところからだった。 こんなことは今までそうなかった。 胸騒ぎを覚えながら外階段を上る。
階段を上がりきってベランダ沿いの窓の外に 下着がまとめておいてあった。。。 これは。。もしや。
果たして部屋の中で舅は寝転がっていた。 それも下半身何も身につけていないで。 言葉を失う。 夫を呼んで、というので慌てて呼びに行く。
すぐに二人で慌てて行く。 身体の力が抜けて動けないという。 あまりに急なことなので呆然とする。 台所の流しの中を見た夫が洗いものをしてもらうから、と 舅に言うと子供のように 汚いのは仕方がないんだ、 年寄りにそんなことを言うな、と駄々を捏ねる。 補聴器をつけていないから こちらが話しても聞こえるように話してよ、 どうしてちゃんと大きい声で言ってくれないの、と 泣き出して駄々を捏ねる。
私に向かっても子供の育て方をちゃんとしろだの、 最後なんだからそんな顔をするな、とか 店の前に村八分になっているから 皆にゴミをばら撒かれている、 それを片付けろとか。。 意味不明のことをわめき散らす。
ううう。。絶句。 とうとうこの日がきたか。
息を殺しながら台所のものを洗っていく。 腐った食べ物やごみが山のようにあって、 それを纏めていく。 汚れた食器類にベタベタと油がこびりついていて なかなかきれいにならない。
コーヒーが冷蔵庫に作ってあるから出せ、と 夫に言う。 夫はそれを間に受けて 冷蔵庫を見てないよ、と答える。 ボケた言葉を間に受けてはだめ、 作ってほしいってことでしょ、と小声で言って お湯を沸かして作る。 コップはこういうのだとか事細かに色々と指示をする舅。
パンツを履いていないのは もしかしては替えがなくなってしまったのか、と 部屋のあちこちに転がっている衣類を集めた。 やはり、おしっこをもらしてしまったらしく、 汚れ物だった。 念入りに手洗いして、洗濯機を回す。 夫の下着を持ってきて こちらから言うとまた聞こえないと言って 機嫌が悪くなりそうなので さりげなく、見えるところに置いておく。
入れたコーヒーを出すと横になりながら飲む。 食器を洗い、 悪臭を放っていた排水口のゴミ受けをきれいにし、 抹茶茶碗らしい入れ物を見てふと思い立つ。 名古屋生まれの舅はよくお抹茶を飲んでいた。 部屋に戻って届いたばかりの桜のちらしたきれいな羊羹を切って 持ってくる。 抹茶は。。いつも大きい缶をうちは買っているのだ、と 舅も姑も言っていた。 きっと冷凍庫にあったはず。。と見ると やはりあった。 茶筅をお湯につけてきれいにし、 お薄を点てる。久しぶり^^ 羊羹とお抹茶を目の前に出す。 不機嫌な、憮然としていた舅の目が変わったようだった。 珍しい、とぽつんと言う。 羊羹を小さく切って、と言う。 フォークで小さく細かく切る。 自分で口に運んで食べ、 抹茶をすすった。 あっという間に平らげる。 気のせいか、そのときからすっかり大人しくなったようだ。 不思議なことに 今まで散々苛められ、いやな思いをしていて 舅に対して大変深い嫌悪感を抱いていた私は、 その様子を見て憎悪が消えてしまっていった。 何だか子供みたい、と思ってしまった 笑
洗濯機が舅のフロアにもあったのが助かった。 自宅の洗濯機と一緒に洗ったら また分けて持ってきたりする仕事が増えてしまうところだった。 これも、あれも、と目に付くものをどんどんと洗っていく。 自宅のもういらない、と思うようなバスタオルやタオルを持ってくる。 布団を引きなおし、タオルを敷いてシーツを敷きなおす。 入れ歯を持ってきて、と言われて さすがに申し訳ないが素手では持つのがしんどくて ビニールをかぶせて掴んで手渡す。
掛かっていた病院の先生に電話をして 指示を仰ぐ。 下着を替え、夫のパジャマに着替えさせる。 何もかもされるがままでまるで人形のようだ。 あれほどがみがみ言っていた舅が別人のよう。
出勤していたS君の手を借りて おんぶして4階から下ろしてもらい、 病院に夫と連れて行ってもらう。 私は留守番で仕事。 と、S君が戻ってきた。 途中の道が渋滞していて困っていたら たまたま救急車が通りかかってそれに乗り換えさせてもらって 病院に行ったとのこと。 S君は乗ってきた車を運転して帰って来たのだった。 結局月曜日にもう一度行って よく診察してもらうということになったらしい。 連絡を受けてまたS君が迎えに行く。
戻ってきて部屋に下ろし、 交代して様子を見に行くとおしっこを漏らしていた 汗 これはもうおむつのお世話にならないと駄目そう。 夫にそう言って売り物だったものを持っていき、 おむつをつけるよ、と説得する。 思いのほかあっさりといいよ、と答えたのは意外だった。 そして舅はおむつ姿になった。 あれだけ高ぴしゃでえばり散らしていた舅が まったく別人のよう。
とうとう「介護」をするのだ、という気持ちが 頭の中を渦巻いていた。 夫とこれからどうしよう、と話しながら つい先日部屋まで上がるのがつらいから ビルの中にエレベーターを取り付けると 舅が言い出したとんでもない計画は 何とか実現せずに済みそうだと胸をなでおろした。 (子供部屋のところにエレベーターの空間が出来てしまうところだったのだ)
2004年04月10日(土)
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