2013年07月12日(金)  一輪と向き合うように一人と、一日と。「光輪花」

縁あって「光輪花」という生け花に出会い、今週、二度体験する機会を得た。

この過程、脚本作りにとても似ている。

まず、いくつかあるお花をじっくり眺めて、一輪を選ぶ。

次に、その一輪をじっと見つめて、対話する。

正面から、横から、いろんな角度から。

花だけでなく葉っぱや茎も。

じっくり見て、どこがこの花の持ち味だろう、と観察する。

つぎに、花器を選ぶ。

立派な焼き物の器でなくても良い。

ドレッシングのガラス瓶やペットボトル、水差しだって花器になる。

どんな器に生けると、この花が映えるだろうと思いをめぐらせ、ひとつを選ぶ。

花器を決めたら、花をどう生けようか、考える。

茎の長さはどうしよう。

葉っぱは間引いたほうがいいかもしれない。

茶色くなったところを取り除いたほうが、花が映えそう。

花と花器がいちばんしっくり来る形を考えて、必要ならハサミを入れる。

選んだのは、オレンジに赤い斑入りの花。

檜扇(ひおうぎ)という。

辞書で「檜扇」を引くと、見開きの隣のページに「美育」があった。

昭和44年版の同じ辞書に「食育」はなく、「美育」という言葉のほうが歴史が古いらしい。

美しいものを愛でて心を豊かにする「美育」の力を先生は信じている。

その言葉が、わたしの選んだ花の名前と辞書のご近所さん。

花に呼ばれたような気持ちにもなって、なんだかうれしい。



花器に生けたら、いろんな角度から見てみる。

正面はこっちと決めて、それに縛られることはない。

生けてみて、こっちから見たほうがいいなと思ったら、そこを正面にする。

心のまま。

自由。

「終わりましたか?」と先生が聞かれる。

これでよし、定まった、と思ったら、終わり。

終わり、というのは、生けきった、ということ。

花。花器。花の長さ。葉っぱの数。角度……。

たった一輪でも無限の生け方があって、何を選ぶかに「個性」が表れる。

そこが、脚本づくりととても似ている、と感じるところ。

花と向き合う心は、子育てにも通じるところも。

この子のいいところはどこだろう、とじっと見てみる。

そのいいところを光らせるには、どんな環境がいいだろうと考える。

一輪を光らせるように、一人を光らせたい、と思う。

そして、いくつもある選択肢からひとつを選び続けて、終わりにたどりつくのは、「人生」そのもの。

大事なのは「じっくり考えて自分で選ぶ」こと、「選んだ結果に満足する」こと。

一日一日に一輪のように向き合っていけたら……。

そんなことまで思いを馳せさせてくれる、奥深い生け花。

先生のお宅から持ち帰って、わが家の器に生け直した。

花器に選んだのは、きれいな色のワインボトル。



檜扇の隣は、スカシユリ。

スカシユリの葉っぱを大胆にむしって、花のまわり以外は丸裸にむいてしまい、先生に驚かれた。

それも個性、それもまたよし。

子どもにもぜひ体験させてあげたい、と思っていたら、ちょうど文京区で夏休みに子ども生け花講座が。
>>>こらびっと文京 夏休み!わくわくお花をいけてみよう

費用は実費300円。

実費(お花代)にアシが出てしまうのではと心配になるほど良心的なお値段。

親子での参加もできるようなので、ぜひ。

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