3週間に一度講師が回って来るシナリオ講座研修科昼間部の、年始第一回目。
事前に提出されたプロット一本とハコ書き一本を講評。
秋まで受け持っていた基礎科では、わたしがしゃべりすぎていたので、研修科では、なるべく受講生の皆さんに意見を出してもらうようにしている。脚本が書けるためには、読めなくてはならない。鉱脈を嗅ぎ当てる力も、無駄を見抜く力も、読むことで養われる。皆さんの意見を聞くと、わたしも勉強になるし、それぞれの目のつけどころから作家性もうかがえる。
「脚本をお借りしたお礼に、お年賀です」と、受講生の一人に持ち重りのする紙袋を渡された。きっと甘いものに違いないと勝手に決めつけ、「この後の打ち合わせでいただきます」。夕方からの新年初打ち合わせで包みを開くと、予想通り、甘いものが現れた。文明堂のカステラ。10切れをわたしとプロデューサーと演出の三人で夕飯代わりにいただきながら、本直し。
秋の取材旅行に始まったオリジナルドラマ脚本開発も、最後の詰めの段階。オリジナルなので、少し進んでは、検証したいこと、検討したいことが出て来る。トンネルを慎重に掘り進む感じ。幸い最初からこっちだと当たりをつけた方角を変えることはなく、こっちの道で合っているぞという安心感を抱きながらの前進。それでも脇道を掘りすぎて道をそれかけてしまったり、出口はもう少し見晴らしのいい場所に、と欲が出たり。撮影まで時間のない中、ぎりぎりまで粘らせてもらっている。
「僕は、時間をかけただけ、いい本にする自信がある」
何年か前、大先輩の伴一彦さんと飲んだときに、そう言われたのが印象に残っている。そのとき、わたしが「時間をかけると、こねくり回して、余計な直しをしてしまう」と言ったことを受けての言葉だったように記憶している。余計なところを削ったり足したりしてしまうのは未熟さゆえで、場数を踏むうちに、どこを彫刻すればいいかの勘とセンスが磨かれていく……ということが、ようやくわかってきた。
それはプロデューサーも演出も同じで、慣れたスタッフが集まると、「ここをこうすればよい」という正解への近道は簡単に導き出される。そうして意見が一致したときに「普通はそうだよね? でもそれでいいんだろうか」と疑ってみるところに鉱脈がある。普通はこっちだとわかった上で、あえて道を踏み外して、裏道から出口を目指すと、思いがけない風景が広がる。そういう冒険に必要な勘とセンスも、経験を積む中で身に着けていくしかない。
書いても書いても、作っても作っても、学べることにはきりがないのが、脚本家の面白いところ。
ドラマといえば、昨晩はBSプレミアムドラマ「そこをなんとか」の脚本開発打ち上げを兼ねた新年会。プロデューサー、演出、脚本、法律監修が顔を合わせ、春から夏にかけての怒濤の日々を振り返り、互いを労った。そこなんは視聴者の反響も良く、出演者もスタッフも「参加できて良かった」と笑顔で言い合える作品になった。
肝心の作品の話より、なぜか腐女子話に花が咲き、懐かしの漫画タイトルが次々と飛び出し、『風と木の歌』を読んだ読んだと盛り上がった。4、5、8、9話の脚本を担当された横田理恵さんの話題の守備範囲の広さと好きなものを語るときのパワーに感心。横田さんとプロデューサーの後藤さんと演出の一色さんが組んで「1985年のクラッシュギャルズ」というラジオドラマを作り,NHK-FMの青春アドベンチャーで現在放送中。横田さんのトークには、プロレス技にも通じるパンチ力があるのだった。
話し足りないうちにお開き。続きはまた今度、となった。一緒に作品を作った人と、おいしいお酒が飲めて、また会いましょうと別れる。そんな出会いの積み重ねも脚本家の財産になる。
2012年01月09日(月) 新聞広告から人形劇!
2011年01月09日(日) 志布志市志布志町志布志の志布志市文化会館
2010年01月09日(土) あの頃の2倍+α生きて子連れ脳トレ同窓会
2009年01月09日(金) 同じところをぐるぐる
2008年01月09日(水) マタニティオレンジ218 ミキハウスの服
2007年01月09日(火) マタニティオレンジ56 男の人が歌う子守歌
2004年01月09日(金) ヨシミン(井野上豊)
2002年01月09日(水) 見えなかったB