2008年09月18日(木)  マタニティオレンジ333(最終回) 魔の二歳児 魔法の二歳児

知恵がつき、言葉が達者になり、わがままも口答えもいっちょまえになって親の手に負えなくなってくる「魔の二歳児」。その悪魔の「魔」は魔法の「魔」でもある、という投書を新聞で見つけた。いつの間にこんなことができるようになっていたの、と目を見張る魔法のようなことが確かに次々と起こる。

パソコンインストール用のCDが床に転がっているのを見つけたわが娘たまは、封筒からCDを取り出し、わたしの作業椅子に飛び乗り(これもいつの間にか危なっかしくなくなった)、Macの右側にある溝にすいっと滑り込ませた。しまじろうのお試しDVDを観るときにわたしが取る手順をちゃんと見て覚え、真似している。厚さ2ミリほどの溝にCDを通すなんて器用なこともできるようになったのか、と驚いた。

大阪でいとこ兄妹のシュンちゃんとトモちゃんに「大阪にはうまいもんがいっぱいあるんやで〜」という振りつきの歌を教わったのだけど、そのときはまったく動きについていけなかったのに、昨日の朝保育園に向かう道で突然上手に踊り出した。「大阪にはうまいもんがいっぱいあるんやで〜 たこやき ぎょうざ お好み焼き 豚まん」という一番では、ほっぺたにたこ焼きを作り、耳の後ろに手を当ててぎょうざを作り、頭の上下を両手ではさんでお好み焼きを作り、最後に鼻を指で押し上げて豚まんを作る。「大阪にはうまいもんがまだまだあるんやで〜 カニ道楽 くいだおれ もんじゃ焼き なんでやねん」では、カニの手、くいだおれ人形のたいこを叩く仕草、もんじゃを焼く真似に続いて、右手を前に突き出して「なんでやねん」のポーズ。今はなき「くいだおれ」がこんな形で娘に受け継がれることに感激し、「豚まん」「なんでやねん」をうれしがって繰り返す三枚目な姿に大阪人の血を感じた。

ところで、産後のマタニティブルーにひっかけて「マタニティオレンジ」と題して子育てにまつわるあれこれを書き綴ってきたけれど、1才の誕生日を過ぎ、2才の誕生日を過ぎ、まだオムツでおっぱいとはいえ娘はもはや赤ちゃんではなくなり、わたしも、もはや産後ではなくなった。ちょうど333とゾロ目になった今日をマタニティオレンジの最終回にしようと思う。会社を辞めて脚本に専念しようと思った矢先に縁あって首をつっこむことになった子育ては、想像した以上にネタの宝庫で、毎日のように書きたいことがあった。子育て中の人は自分と重ねて泣き笑いし、子育てが一段落した人は昔を振り返り、「今井さんと同じときに子育てしたかった」と言ってくれる人もいた。子どもを授からなかった友人は、「自分が子育てしていたらこんな感じかなあ」と想像しながら成長を見守ってくれた。日記を読みながら一緒に喜んだり心配したり面白がったりしてくれた人たちの反応に励まされて、オレンジな気持ちのまま今日まで来られた。マタニティオレンジ期は卒業しても、娘の話題はこれからも日記をにぎわせるはずだし、たま語銀行への貯蓄も続けるつもり。おもろいことも大変なことも、いっぱいあるんやでえ。まだまだあるんやでえ。

2005年09月18日(日)  和歌山・串本の干物
2004年09月18日(土)  愛以外は証明できる宇宙飛行士
2003年09月18日(木)  夢も人もつながる映画『夢追いかけて』
2002年09月18日(水)  月刊ドラマ

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