2008年09月01日(月)  『ブタがいた教室』と『ヤング@ハート』

8月の試写最終日に駆けつけたら満員で入れなかった『ブタがいた教室』の追加試写を観る。『パコダテ人』の前田哲監督の最新作で、撮影の葛西誉仁さん、制作の田嶋啓次さん、現場スタッフの澤村奈都美ちゃんと『パコダテ人』関係者率高し。3月にロケにお邪魔した(>>>2008年03月15日(土) 前田組「豚のPちゃん」に会いに行く)こともあって、身内の作品のような親しみを寄せている。

さて、気になる仕上がりは……試写室を出た瞬間、「よかった!」と監督に興奮して電話してしまったほど、引き込まれた。最後に食べるという前提で6年生のクラスで飼い始めたブタのPちゃんに次第に愛情が湧き、食べることに葛藤する子どもたち。名前をつけてしまった時点から家畜ではなく友だちになり、食べられなくなってしまう。Pちゃんを食べるのか、食べないのか。その答えを子どもたちに導かせようとする先生。卒業の日というタイムリミットに向けて学級会議が重ねられる。一緒に過ごす時間が長くなるほど離れがたい気持ちはふくらむ。けれど、食べないことが愛情なのか。Pちゃんを残して卒業するのは無責任ではないのか……。子どもたちのやりとりに口をはさまず、腕組みしてじっと成り行きを見守っている妻夫木聡演じる星先生の姿は、そのまま撮影現場の姿勢を思わせた。子どもたちには議論の台詞部分を白紙にした台本を渡したと聞くが、子どもたちの本音を引き出した演出は見事。大人の用意した言葉ではなく、自分たちの言葉で自分たちの結論を導いた子どもたち。説教臭くもなくお涙頂戴にもならず、映画のモデルとなった実話の教室で起きた化学変化を映画という形で表現することに成功していて、新鮮だった。公開は11月1日。前田監督の飛躍作になりそうな予感。

続いて、同じ試写室で『ヤング@ハート』を観る。ロックを歌うおじいちゃんおばあちゃんのコーラス隊を追ったアメリカのドキュメンタリー映画。シネカノンで予告を観て、これはいかにもわたし好みと思っていたら、先日『トウキョウソナタ』の試写で試写状をもらった。かわいいおばあちゃんになるのが夢のわたしにとって、チャーミングなお年寄りは人生のお手本。期待通り、いくつになってもヤング@ハートなコーラス隊の面々を観て、年を取るのが楽しみになってしまった。年を取っても趣味を持って仲間を持って張り合って負けたら悔しがって、ずっと自分らしく生きていけたら幸せだ。長生きしても人生から引退してしまったら時間を持て余すだけ。お年寄りがみんなこんなに元気なわけじゃないだろうけれど、人生が詰まった歌声を聴きながら、アメリカは日本に比べて寝たきり老人の数が圧倒的に少ないという話を思い出した。

2007年09月01日(土)  第2回ユニバーサル映画祭
2004年09月01日(水)  年を取らない誕生日
2003年09月01日(月)  「うんざりがに」普及運動

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