2008年09月02日(火)  マタニティオレンジ328 買い物ごっこ

牛乳を買いに行こう、と娘のたまを誘ったら、「おかね ちょうだいな」と小さな手を差し出された。買い物は今、たまにとって、ちょっとしたブーム。日曜日の夜、いきなり「コロッケ ちょうだいな」とわたしをお店の人に見立てて話しかけてきた。「お店入ってくるところからやってよ」とわたしが言うと、「がらがらがら」と言いながらドアを開ける仕草がつき、買い物ごっこが始まった。

「コロッケいくつ?」と聞くと、ニコニコしながら「うん」。もう一度聞いても同じ。何言われてるんだかわからないけど愛想笑いを浮かべてその場を切り抜ける能力は、2才にして備わっている。「いくつ? 一個? 二個?」と聞くうちに、「いくつ」は数を尋ねているのだとわかってきて、「いっこ」と答えが返ってきた。ちんぷんかんぷんだった言葉の意味が、やりとりを重ねるうちにぼんやり見えてきて、やがてくっきりとなり、そうかこういう局面ではこのカードを切ればいいんだ、と試しにやってみたら、欲しいものが手に入る。言葉が通じない国で買い物するときのあのワクワクドキドキする感じを、母国語で味わっているのだろう。面白いと思ったら飽きることを知らない2歳児の好奇心も手伝って、またやるの、まだやるのと「コロッケちょうだいな」を繰り返すうち、一種類だったコロッケは二種類から選べるようになり、ソースがつき、店を出て数歩あるいて家に帰り、「ピンポーン。パパ、コロッケ かってきたよ」とパパと食べる続きが生まれ、演劇でエチュードを繰り返しながら場面が出来上がっていくように、会話が進化していった。

たま「がらがらがら(と音とともにドアを開ける仕草)」
わたし「いらっしゃませ。今日は何にしますか」
たま「コロッケちょうだいな」
わたし「何コロッケにしますか?」
たま「うん」
わたし「野菜コロッケとカレーコロッケがありますが、どちらにしますか?」
たま「やさいコロッケ」
わたし「大きいのと小さいのがありますが」
たま「おおきいの」
わたし「大きい野菜コロッケ、おいくつ包みましょうか?」
たま「うん」
わたし「いくつ?」
たま「(うなずきながら)いくつ」
わたし「い・く・つ?」
たま「(指を一本立てて)い・く・つ」
わたし「一個ですね?」
たま「(うなずいて)いっこ」
わたし「ソースもつけますか」
たま「うん」
わたし「お代は90円です」
たま「(笑って)」
わたし「お客様。笑ってごまかされては困ります。お金をちょうだいできますか」
たま「(ますます笑って)」
わたし「いえいえいただくものはしっかりと。90円です」
たま「はい、ばっちーん(とわたしのてのひらにお金を置く仕草)」
わたし「あるじゃないですかお客様。百円お預かりしましたので、10円のお返しです。ありがとうございました」
たま「またねー」

2007年09月02日(日)  マタニティオレンジ170 せらちゃんのおさがり
2004年09月02日(木)  「とめます」と「やめます」
2002年09月02日(月)  My pleasure!(よろこんで!)

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