2008年05月04日(日)  マタニティオレンジ279 子どもを一人のゲストとしてもてなす

先日知り合い、わたしをいたく気に入ってくださったIさんという女性がお宅に招いてくださり、ダンナと娘のたまとともに一家でうかがった。お得意のカレーをふるまってくださるというので、カレーに目がないわたしとダンナは前日から「どんなカレーだろねえ」とそわそわしていたのだけど、想像以上に本格的で味わい深いスパイシーカレーに五感がとろけて陶然となった。「たまちゃんにはお子さまようにアレンジしますね」と出されたのは、豆のカレーを牛乳で伸ばしてドリアにしたもの。初めてだけど、やめられないわね、という感じで、たまもせっせと食べた。食後のデザートには手作りの「たまちゃん旗」を立てたプリンが用意され、感激した。

「うちには小さなお子さんをもてなせるものはありませんが」と事前のメールに書かれていたので、「お気遣いなく」と返事をしたのだけど、図書館で借りてきたという絵本は、どれもたま好み。「一歳八か月の女の子がよろこぶ本」を相談してくださったのだろうか。クッションをベッドに見立て、人形を寝かしつけて遊んだり、ピアノを弾いたり、器用なダンナ様の手作り万華鏡をのぞきこんだり、たまは退屈するひまもない。

シターを習っているダンナ様は、澄んだメロディで童謡を奏でてくれた。『どんぐりころころ』や『ぞうさん』や『むすんでひらいて』にたまが反応するのを見て、「ちゃんとわかるんだ」とうれしそう。シターを作ったこともあるというダンナ様、本当に物づくりの名人のよう。器用でいて大きな手を活かしたマジックもお見事で、たまは「あれえ?」と歓声を上げ、目を丸くしていた。その顔をまた見たくて、ハンカチが何度も消えたり、色が変わったり。大人もすっかり騙されて、タネは見破れなかった。

気がつくと五時間が経ち、カレーをおみやげにいただいて帰る。家の外まで見送りに出てくれたI夫妻の姿が見えなくなるまで大きく手を振るたまを見て、いい一日だったなあと心がほくほくした。子どもは子ども、大人は大人ではなく、子どもが大人に巻き込まれ、大人も子どもに巻き込まれ、一緒になって楽しむ。子どもを一人のゲストとしてもてなすってこういうことなんだと教えられた。

2007年05月04日(金)  マタニティオレンジ114 二世代で同級生
2005年05月04日(水)  一緒に飛べなかった『アビエイター』
2002年05月04日(土)  フランスのパコダテ人、函館のアメリ。

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