2005年07月26日(火)  トレランス番外公演『BROKENハムレット』

脚本を書いたFMシアター『夢の波間』に茂右衛門役で出演した上杉祥三さんの演劇ユニットトレランスの番外公演『BROKENハムレット』を観る。劇場は新宿シアターモリエール。『BROKENロミオとジュリエット』のあまりの面白さに衝撃を受けたのもこの場所だった。台風が関東に上陸するかもという夜なので出控えも多いのではという心配を吹き飛ばし、会場は満員御礼。開演ぎりぎりに着いたわたしは、最前列の座布団席に通された。ただでさえエネルギーが迸る舞台をかぶりつきで観るのは、すごい迫力。生唾、生汗は降ってくるし、役者も目の前まで飛んでくる。

主演のハムレット役の天宮良、ハムレットに想いを寄せるふたなり(両性具有)の武者・有栖川友親役の吉川真希はじめ、役者さんたちの全力投球ぶりが実に気持ちいい。ハムレットの父を毒殺し、ハムレットの母(松葉智子)と再婚して王の座についた父の弟(崎山凛)への復讐劇。娘の浅茅(中沢純子)とハムレットをくっつけようとする近衛仲磨(円堂耕成)、ハムレットとの決闘を仕組まれる浅茅の兄(石橋和也)。ひとり何役もこなす武者たち(紺野忠彦、石川雄也、細井崇宏)、侍女たち(夏秋佳代子、高宮城のり子、吉村玉緒)。全員はじめて舞台を見る役者さんだったが、熱演に拍手。

演出・脚本の上杉さんの言葉遊びは今回も光っていて、「止むに止まれぬ大和魂」。「君死にたもうことなかれ。君死に卵食うなかれ」といったリズムのいい掛け言葉があちこちに。墓穴掘り職人の名は朝日さん、読売さん、毎日さん、産経さんで、産経さんの口癖は「産経ないね」(関係ないね)。ハムレットは「羽無劣人」で、「羽根のない、飛べないダメな奴」という設定で、「To be, or not to be. That's the question」をもじった「飛べ、もっと飛べ、雑踏の鶏たち」という台詞が、ちゃんと名前と呼応している。

打ち上げの席での上杉さんの演劇論は、舞台に負けず劣らず熱かった。「映像がプールで泳ぐもんやとすると、舞台は海で泳ぐようなもんや。足がつかへん、鮫が出てくるかもしれへん。でも、泳ぎ出したら泳ぎきるしかない。舞台で泳げたら映像でも泳げる」「初日は誰にでも舞台の神様が降りてくる。二日目以降は自分で呼ぶしかない」「役者いうんは心のストリッパーにならなあかん」……。最終日ということもあり、出演者の顔には舞台を泳ぎきった達成感がみなぎっていた。

「役者は顔に出るわね。あなたはかわいいけど、役者のオーラはないものね」と言ってくださった(お世辞でも「かわいい」と言ってくれる人は大好き)のは、はじめてご一緒した脚本家の東多江子さん。上杉さんと舞台『ヒーロー』で共演した大久保了さんの友人だそうで、大久保さんと一緒に見えていた。朝ドラ『ええにょぼ』をはじめテレビもラジオも数えきれないほど書かれている大先輩。昔、あるディレクターに「東さんの脚本を読んで勉強しなさい」と言われたこともあり、一方的に存じ上げていたのだが、ご本人はとても気さくな方。関西出身同士ということもあり、楽しいお酒となった。

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