un capodoglio d'avorio
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2003年05月22日(木) 青年団「忠臣蔵 修学旅行編」

きょうは大変だったー、徹夜明けで、
朝から町田までレポートを届けに行ったり、
もう、ヤーっ。
だったんだけど、夜、駒場に芝居を観に行く。
午前に電話したときはキャンセル待ちにしかならない、
っていわれてたんだけど、何とか当日券ゲット。
というか、平日夜20時30分開演の芝居が、
なぜにこんな盛況なのだ、青年団もすごいな。

さて、ここんとこ展開中のパロディシリーズの一つ。
以前の「ーOL編」と戯曲の内容はほとんど変わらない。
会話もほぼ、そのまんま。
変わったのは、キャラクターの設定が、
<OLやってて昼食中の赤穂浪士>から、
<修学旅行に来ている女子高生で寝支度に入りつつな赤穂浪士>
に変わっただけ、うん、「だけ」。

「ー修学旅行編」もだから、
いきなりお家お取りつぶしの憂き目という不条理に際して、
日本人がどういう風に集団として意志決定を図ることが出来るのか。
というのが、根底に流れる基底音なテーマ。
ってか、やっぱ、面白いっす、笑ったの。

例えば「討ち入りか籠城か」って議論しつつ、
なぜかまくら投げが始まったり、
「仕官の道を探りたい」とこだわる浪士もいて話まとまんないねー、
って言いつつウノやってたり。


  「ってか、やっぱ切腹かなー、結末はー」

  「ですよねー、あ、ドロォツゥ!」

  「切腹やだなー、リターン!」

  「あーなんだよー」

  「あ、大石サマ最後の一枚、ウノ言ってないっ」

  「キャー!!」

  「ヤベッ、先生だっ(みんな一斉に布団にもぐりこんで寝たふり)」


みたいな、そんなイメージ。
かと言えば、お殿様への思い出を語りつつ、
机にお菓子をひろげてボリボリ食べたり、
キュウリを輪切りにして顔パック始めてみたり、
とりあえず「泣いとくか」バリに泣いてみてデジカメで記念にパシャ。
とかね、とにかく、
忠臣蔵と修学旅行がほぼ交わらず並行に進むんだけど、
なんとなく、ストーリーは破綻していないところが面白いんだな。

でも、どかは比べてみて「ーOL編」のが優れた舞台だと思った。
役者の質を問えばすぐそうなるんだけど、
脚本と演出プランから見ても、やっぱそうかなと思う。
「ーOL編」では明らかに暗示的な展開が、
パロディにもリアリティを与えていたところが、
卓越した技術だと舌を巻いたんだ、どかは。
例えば<お家取りつぶし→会社倒産>とか、
<次の仕官の口を探す→再就職目指してハローワークに登録>とかね。
で、忠臣蔵とOLの世界が基本は並行しつつも、
段々重なって走り出して、それが不思議な説得力と緊迫感を出してた。
忠臣蔵と修学旅行生の世界は、最後まで並行線をたどって、
その距離感に楽しみを集約させたのだから、
基本に同じ戯曲を使っていてもここまでバリエーションを出せるのかと、
どかは結局、オリザさんに感心させられる。
好きなのは「ーOL編」なんだけどね、でも今回の大石サンも楽しかった。
なんか、ミッキーのあの耳を頭に着けながら、
「忠欲すれば孝成らず、孝欲すれば忠成らず」とか言っちゃうんだもん!

しんみり的な後に残る情感は「ーOL編」と比べると稀薄だけど、
これはこれでありだと思った、青年団一流のパロディ。

そうそう、駒場アゴラで大学の寮の後輩で、
いま、役者としてがんばってるおかだクンとバッタリ会って嬉しかった
(参照→「ピノッキ王」)。
二人で帰り道、この舞台の感想をチロっと話したのが楽しくて。
やっぱ「職業役者」と「なんちゃって舞台フリーク」の感想は、
かなり違うなー、うん、面白い、あの視点は。


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