再生するタワゴトver.5
りばいぶ



 『郡上の立百姓』パンフ掲載文。

演出の戯言
「わたし。」は「生きて。」いる?

一揆といえば「困窮に絶望した庶民の暴走による破壊的暴動(≠一揆)」とゆうイメージをいつの間にか持っていた。それがこの作品へアプローチするうちに「明確な目的をかかげ、作法(戦略と戦術)を守る組織的な政治行動」つまり「高度な目的意識性に支えられた、生活すべてをかけた農民の運動(=一揆)」へと変っていった。
生活の苦しいことが背景にあるが、自分たちの立場を主張するという気骨や意欲があることが大切で、一揆は多勢の人のためになり、正しいことだという信念ある指導者がいて初めて成功するものだとゆうことも見えてきた。
そのギリギリさ故に、僕たちは幕府権力に対する絶望感と結末の悲惨さばかりに心奪われがちだが、怒れる農民とその憤りのエネルギーの結集はまさに市民運動そのもので、故に百姓一揆側にも、「百姓たちのやむをえない行為である」と人々を納得させるだけの訴えの内容とそれに相応しい組織・行動様式が求められ、共通認識が形成されていったのだ。
そんな一揆の中でも郡上一揆の特殊性は、富農層や村役に指導されるたんなる百姓一揆とはちがい、五年とゆう長期間に渡る闘争で立百姓が生まれ寝百姓が生まれるなど、言わば弱者の知恵に支えられた農民一人一人の斗い(フリガナふってください「たたかい」)になっていった点だ。

今夏をかけて稽古を重ねながら、そうそうクローズアップされることのない、江戸時代の百姓たちゆう存在に思いを馳せた(今度の大河ドラマは山奥の百姓!…と言ってもどうも絵にならなそうだし、大名萌えなんて言葉も聞く世の中だけど、百姓萌え、○○村孫三郎の生き方に学べ!なんて聞いたことがないし、 しかも場所も華やかなりし江戸ではない。岐阜の郡上。貧困で身分制度の中で虐げられた奴らが追い詰められ打ちこわしに立つのか!?)。そんな単純化された封建制度下の百姓とゆうイメージとは一味違う、人物たち、考え方、その選択、その行動に。
この「郡上の立百姓」を一言で表そうとして、俳優さん、スタッフさんとの対話の中で見えてきたのは、
「わたし。」
「生きる。」
とゆうコトバである。
…なんだか専門学校のうたい文句のようで気恥ずかしいし、国民的アニメ映画のうたい文句で聞いたことがあるなど思いながら(とゆうか既に一言でなし)、この現代に生きる僕らにとって当たり前にあるもの、あると思っているもの、ネタバレを恐れずに言えば、この作品はそこに辿りつくための、獲得していくための行道を描いているのだと思う。
巧妙な幕府、お上のやり方に対して(今と同じような懐柔政策にあったり、当該市民同士での争いに転化されたり)、百姓が連帯(反対運動)する中で、百姓とゆう(人口的には7割超え)立場のへの盲従から、「死」とゆうことに自覚的になった人間が、どう「生きる」べきかを問い、選択し、彼らは「私たち」がすべきこと、あるべきことを獲得し、「私」がどう生きていくべきか、とゆう真理にまで達する。伊丹万作のコトバを借りれば、置かれた状況への家畜的盲従の中から、批判力、思考力を獲得し、自立意識を持ちえたのだ。
郡上一揆は遠い記憶、などではない―

ある意味、伊丹のコトバの書かれた戦後の社会より激しい無気力、無自覚、無反応、無責任が充満する現在にあって、果たして当たり前に権利だの、個人だの、夢だのゆう僕らはこのことをどう捉えるのか? 彼らがカクトクしただろうコトガラと今、ちゃんと向き合えているのだろうか? 批判力、思考力を高め、信念を忘れず、「誰か」ではなく、「私たち」であること、「私」であることとは何なのか、問いかけなければいけない瞬間に僕らはいる。

名もなき個人の選択が必ず未来を切り拓いていく。
人間の尊厳とは? 人が人としていられることとは?
「わたし。」は「生きて。」いる?

総勢40名以上のキャスト、スタッフ。また裏でしっかり支えてくれた劇団員、関わってくれた方々、衣装・小道具を提供してくれた方々、この作品を生み大切に育んだ劇団はぐるまの全面的協力、その総ての創造のエネルギーに支えられた公演です。
どうぞ最後までお楽しみください。

藤井ごう



2016年09月30日(金)



 『郡上の立百姓』取り組むにあたっての文

「人はどのように生き、死んでいくのか」
美濃の国郡上で領主の重税取り立てに反対し、組織的にたたかい、幕府を震撼させた農民一揆(宝暦騒動)を材にこばやしひろし氏と劇団はぐるまが創りあげた大作『郡上の立百姓』(1964)から現在を照射する。
総勢40人越えの登場人物たち、唄に踊り…また凄い作品がやってきた。
その幕切間近、中心人物の一人は言う。

定次郎「俺がお仕置きんなりゃ田畑一切はお取上げやぞ! 残るんはお母アと、かよと、きよだけなんや。何も残らん。何も残らんのや。(中略)俺は女房持ちや。子供もある。そんなかで命捨ててかかったから、みんな固まってくれたんやぞ。俺が独り者やってみよ、身軽やったら何でもやれる。そんでおしまいや。」

 幕府・諸藩と、百姓一揆の激しいせめぎ合いは、苛政に苦しむ村人たちの困難を背負い幕府や藩に訴えた定次郎のような「義民」を生み、彼らの多くは苛政を取り除くという目的は達したが、直訴の罪によって処刑された。
これを過去のある一地点の一時の出来事と見ることは容易い。だがしかし、今まさに立っている地点の現在の瞬間でないと誰が言えるだろう。
「義民」を礼賛したいのではない。そうならざるをえなかった、その過程と葛藤に焦点をあてること、そこに活路を見出したい。
彼らが本当に勝ちとったものとは果たして何だったのか―


 師(*)の最期の作品へのコトバ「人はどのように生き、死んでいくのか」
このコトバと向き合いながら、青年劇場の集団力と創造力をもってこの大作に挑もうと思う。

*高瀬久男氏(文学座)

藤井ごう

2016年09月29日(木)



 『郡上の立百姓』紀伊國屋千秋楽。

青年劇場『郡上の立百姓』
紀伊國屋ホールでの公演はお陰様で連日の満席、
有難いことです。
劇場ってやっぱりこうだよな〜と思う。
芝居の評判は総じていいのだけれど、
もっと先が見えそで掴みそこねたり、
必ずと言っていいほど静かな重要なシーンで鳴り響く携帯にやられてみたり、
乗りに乗って泣き芝居がいい芝居と誤解されかけたり、
イロイロしながら、
一人一人が
あーこれでいいんだ
感で芝居をしないこと、流さないこと。
言葉を役の説明の為に、使わないこと。
言葉を伝える根拠に誠実であること。
そしてやっぱり芝居は
リアクションが総てを支えていること。
本日はその確認を全体でしてから(客席で)、
紀伊國屋千秋楽へ。
客席も十分の1は埋まる人数…
いい顔になっていると思う。
あと3ステージ。
いつも通り、でも、もっといい世界を。
物語を紡ぐのだ。


しかし、私事だけれど、
本城憲さんと紀伊國屋、R-vive登頂(笑)
…感慨深し。

神奈川、府中はまだチケットあります。


2016年09月25日(日)



 ゲネプロまで。

青年劇場『郡上の立百姓』GPまできた。
途中でありえないくらい空間の広さの中でやらせてもらったりしながら、
でも、結局個人の事情みたいなものに戻りつつあるくだらなさをがなりマイクで、
正にがなる日々。
もっともっと、表現とゆうものに対峙しなければ、
今年相手にさせてもらったプロデュースのどこか、
集められたもの、とは違うモノづくり。
一人一人にかかっている。

群舞は、抜いた一人がいると目立つ。
同じことが起こっている。

もうほぼ客席満席の聖地で、
圧倒的なモノを贈りたいのだ。

2016年09月16日(金)



 今週末。。。


遂にきづくと、今週末から客席と出会う事になる。
上演台本に漕ぎつくまでの、一人旅、
7月に大船団で船出して早ひと月半。
最終盤前、花伝舎体育館の広さを使っての稽古、通し。(商業でもないので、このこと自体が普通じゃない)
全体の動き。
ありえない企画のありえない作品創りが身を結ぶかいなか。
出立の時点で「勝ち」以外なしのハードル。
あとは、出遅れている人たちが、
言い訳をせずに本気で望むかどうかだ。
本気を晒せるかどうか、
どこまで作品に対して、自分に対して貪欲になれるかだ。
個人個人の選択が大きく動いた時、
「わたしたち」「わたし」を獲得した正にその瞬間を舞台上に生きているかどうかが試される。


昼の部はほぼ完売、夜はまだあります。(とはいえ、そこしか行けない、なぞあればご相談くださいね)
なかなかお目にかかれない作品です、是非。

青年劇場「郡上の立百姓」
作:こばやしひろし 演出:藤井ごう
公演日程
9月17日〜25日 紀伊國屋ホール(20日は休演日)

17日13:30×/18:30
18日13:30×
19日13:30×
21日13:30×/18:30
22日13:30×
23日13:30△/19:00
24日13:30/18:30
25日13:30

9月27日 神奈川県立青少年センター
9月28日 府中の森美術劇場ふるさとホール
両日とも18:30(私的には紀伊國屋をオススメします)

一般 前売 5,150円  当日 5,500円  
 U30(30歳以下) 前売 3,100円 当日 3,400円
 高校生シート 1,000円 (各ステージ10席限定/劇団での前売のみ受け付け)
夜割引とか、関係者割引あります。

「郡上の立百姓』は、宝暦4年(1754)に郡上藩下で蜂起した郡上一揆を題材に1964年こばやしひろし氏が自ら主宰する劇団はぐるまに書き下ろし、翌年には第二回訪中日本新劇団の合同公演として上演、その後劇団民藝にて全国巡演された作品です。
あれから半世紀―彼らの闘いは、決して過去のものではない。「いかに生きるべきか?」いま大きな分岐点に立つ私たちにこそ、彼らが掴もうとした未来が託されている。熱気溢れる「郡上踊り」に秘められた想い、圧倒的な迫力とスケールで描く人間群像を、繊細かつ大胆な演出で定評のある藤井ごう氏を演出に迎えて贈る、壮大なたたかいと人間讃歌の物語。

青年劇場 http://www.seinengekijo.co.jp/frame.html

出演:清原達之 島本真治 葛西和雄 
吉村直 青木力弥 小竹伊津子 本城憲(R-vive)ほか 

2016年09月06日(火)

2016年09月10日(土)



 花伝舎に移動。

広い空間に移動、
ここで稽古できるのは、シミュレーションとしても大切。
そして、夜はまだまだあるようですが、
昼は、売り切れ殆どになってきました。
お早めに。

青年劇場「郡上の立百姓」
作:こばやしひろし 演出:藤井ごう
公演日程
9月17日〜25日 紀伊國屋ホール(20日は休演日)

17日13:30△/18:30
18日13:30×
19日13:30×
21日13:30×/18:30
22日13:30△
23日13:30△/19:00
24日13:30/18:30
25日13:30

9月27日 神奈川県立青少年センター
9月28日 府中の森美術劇場ふるさとホール
両日とも18:30(私的には紀伊國屋をオススメします)

一般 前売 5,150円  当日 5,500円  
 U30(30歳以下) 前売 3,100円 当日 3,400円
 高校生シート 1,000円 (各ステージ10席限定/劇団での前売のみ受け付け)
夜割引とか、関係者割引あります。

「郡上の立百姓』は、宝暦4年(1754)に郡上藩下で蜂起した郡上一揆を題材に1964年こばやしひろし氏が自ら主宰する劇団はぐるまに書き下ろし、翌年には第二回訪中日本新劇団の合同公演として上演、その後劇団民藝にて全国巡演された作品です。
あれから半世紀―彼らの闘いは、決して過去のものではない。「いかに生きるべきか?」いま大きな分岐点に立つ私たちにこそ、彼らが掴もうとした未来が託されている。熱気溢れる「郡上踊り」に秘められた想い、圧倒的な迫力とスケールで描く人間群像を、繊細かつ大胆な演出で定評のある藤井ごう氏を演出に迎えて贈る、壮大なたたかいと人間讃歌の物語。

青年劇場 http://www.seinengekijo.co.jp/frame.html

出演:清原達之 島本真治 葛西和雄 
吉村直 青木力弥 小竹伊津子 本城憲(R-vive)ほか 

2016年09月06日(火)



 こちらの稽古も開始。秋、椿組。


郡上は2度目の通し稽古のあと、二日間の作業日を挟んで花伝舎へと稽古場を移動。
今回は本気、体育館で最終の組み上げ。
とはいえ、わたしはこちらの稽古も始まる。あまりの世界観の違いが…楽しくて仕方ない。

椿組2016年秋公演 「昭和演劇の発見シリーズ 第三弾!」
作:別役実/演出:藤井ごう(R-vive)

「海ゆかば水漬く屍」

2016年10月25日(火)〜30日(日)8ステージ

10/25日(火)=19時開演

10/26日(水)=19時開演

10/27日(木)=14時開演/19時開演

10/28日(金)=19時開演

10/29日(土)=14時開演/19時開演

10/30日(日)=15時開演

(受付開始は1時間前・開場30分前)

SPACE雑遊
〒160-0022 新宿区新宿3-8-8 新宿O・TビルB1F 新宿三丁目 

出演 辻親八(親八会):田渕正博(椿組):木下藤次郎(椿組):水野あや

協賛 親八会 

総合プロデューサー 外波山文明(椿組)

■木戸銭 (日時指定整理番号付き)[チケット発売日=9月15日(木)13時から〜]

自由席:3800円/◎学生・養成所:3000円/◎中高校生:2500円

チケット取り扱い

1)椿組 080-5464-1350  PCメール:tubakigumi@nifty.com

携帯メール:tubakigumi.1350@ezweb.ne.jp

2)こりっちチケットPC用 https://ticket.corich.jp/apply/76335/

こりっちチケット携帯用 http://ticket.corich.jp/apply/76335/

[スタッフ]脚本:別役実/演出:藤井ごう/芸術監督(監修):外波山文明/美術:
加藤ちか/照明:沖野隆一(RYU CONNECTION)/音響:青蔭佳代(音スタ)/音楽(作
曲):寺田英一/衣裳:阿部美千代(株・MIHYプロデュース)/振付:スズキ拓朗(CHA
iroiPLIN) /演出助手:山中淳恵/舞台監督:ジャク天野/舞台監督助手:外波山流太
/制作票券:佐藤希(Andem)清水直子/宣伝美術:黒田征太郎・長友啓典・大橋実央
+K2


戦後。近代国家。東日本大震災。原発事故・・・・沖縄・・安保法案。戦前。
電信柱。不毛なやり取り。滑稽。悲哀。傷痍軍人。
「うーみぃー、ゆーかばぁー、みぃずぅーく、かぁばぁねー。」

椿組はこの作品を「昭和演劇の発見シリーズ 第三弾!」として喜劇としてお送りしま
す!



2016年09月04日(日)
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