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JIROの独断的日記
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2012年09月08日(土) 【音楽・ホルン】デニス・ブレインはやはり「奇跡のホルン」だと思います。

◆毎年、命日(9月1日)に書くのですが。

今年は1週間、遅れましたが、毎年やっている「行事」なので、省略すると気持ち悪いのです。


英国のホルン奏者、デニス・ブレイン(1921年5月17日 - 1957年9月1日)をWikipediaで引くと、

死後の今に至るも世界中で最も卓越したホルン奏者のひとりとして知られる。

と、書いてあります。全くその通りだと思います。


今は、私が子供の頃に比べると、世界中の全ての楽器に関して演奏者の技術的水準が

おどろくほど、高くなっているのです。日本にも世界にも「上手いホルン奏者」が大勢います。

しかしながら、それでもやはり、私にとってはデニス・ブレインは「上手い」を通り越して「神様」だと思うのです。


ホルンは、管が長く、それをトランペットと大体同じぐらいの口径のマウスピースで吹くのです。

管が長く、マウスピースが小さいということは、それだけ、音の最初(発音)で失敗する確率が高い。

高音は高音で、同じ指使いで出る音が幾つも隣接してますから、ちょっとした加減で隣の音がでる。

低音は低音で、小さなマウスピースですから、良く鳴らすのが難しい。

どこからどう見ても難しく、ホルンはミスの危険がとても高い。


繰り返しになりますけど、最近の若いホルン奏者は皆大変上手で、

ベルリン・フィルの首席奏者をやめて、先日も来日していたラデク・バボラークはたぶん、

今、世界一上手いでしょうね。技術的にもたぶんデニス・ブレインと同じぐらい上手い。


だから私の個人的な「思い入れ」の問題かもしれませんが、

私が聴く限り、ブレインの「自由自在感」。完璧な音のコントロール。

しばしば完璧な演奏などない、といいますが、どこからどう聞いてもデニス・ブレインの

ホルンの演奏は「完璧」という以外にありません。

「奇跡のホルン」という本があります。

「奇跡の」と形容される器楽奏者を他に知りません。まったくもって、人類史上の「奇跡」だと思います。


◆N響の千葉馨先生はデニス・ブレインが亡くなる前にレッスンを受けています。

元N響・首席ホルン奏者で、カラヤンが1954年に来日して1ヶ月N響を振ったときに、

その上手さを覚えていて、後に「ベルリン・フィルの首席にならないか?」と声をかけた、

故・千葉馨先生(1928年3月6日 - 2008年6月21日)はデニス・ブレインが

亡くなる前に、約1年、レッスンを受けています。


兵庫県立明石南高等学校の放送部の千葉馨インタヴュー(2004年10月4日)というサイトがあります。

そこで、千葉先生がデニス・ブレインのことなどを大変興味深く話しておられます。


◆デニス・ブレインで最初に聴くのは、モーツァルトでしょう。

デニス・ブレインは36歳で亡くなってしまいましたが、録音が残っているのがありがたい。

アナログレコードからCD化されたときに、どういう訳か音質が著しく低下しているのが残念ですが、

デニス・ブレインで最初に何を聞くか?といったら、カラヤン=フィルハーモニア管弦楽団との、
モーツァルト:ホルン協奏曲全集でしょう。

本来、音楽は何をどのように聴くか、完全に個人の好みでいいのですけれども、

このCDにかんしては、私は敢えて「人間に生まれてきた以上、一度は聴いてみるべきだ」と

言いたくなります。それほど、感動的に美しくて、上手くて、とにかく「完璧」です。

第4番の第一楽章を聴いていただきます。


モーツァルト:ホルン協奏曲第4番 変ホ長調 K.495 第1楽章:アレグロ・モデラート



ホルン協奏曲 第4番 第1楽章(デニス・ブレイン)



デニス・ブレインは千葉先生に、

モーツァルトの演奏をするときは、両壁がペンキ塗りたての細い廊下を、真っすぐすうーっと抜けるように演奏しろ、止まっちゃだめだ。右にもよらず、左にもよらず…

と、アドヴァイスしたそうです。私の感受性では「完全に分かる」ことは不可能ですが、今の演奏を聴くと「何となく分かる」気がします。

余計な事をするな。という意味かな、と。モーツァルトの作品自体が完璧な音楽なので、小手先の細工をするな

という意味なのではないか、と、勝手に想像しております。


◆サヴァリッシュ先生伴奏による、リヒャルト・シュトラウス「ホルン協奏曲第1番」

背景を説明すると長くなるので、省略しますが、私は自分がオーケストラを聴き始めた時期に

殆ど毎年、N響を振りに来日していた桂冠名誉指揮者(桂冠名誉のタイトルが付くのはN響の歴代指揮者で

サヴァリシュ先生だけです)、ヴォルフガング・サヴァリッシュ氏を

小学校5年のときから、もう40年になりますが勝手に「先生」と呼んで尊敬しています。

そのサヴァリッシュ先生とフィルハーモニア管弦楽団がデニス・ブレインの伴奏をしている、

これも、ホルン協奏曲としては大変有名な、リヒャルト・シュトラウス「ホルン協奏曲」のCDがあります。

リヒャルト・シュトラウスは2曲のホルン協奏曲を書いていますが、ここでは若い頃に書いた

ホルン協奏曲第1番をお聴き頂きます。3つの楽章が途切れ目なく演奏されます。


R.シュトラウス: ホルン協奏曲 第1番 変ホ長調 作品11 (アレグロ-アンダンテ-ロンド)


R.シュトラウス: ホルン協奏曲 第1番



お聴きのとおり、モーツァルトよりも高度なテクニックを要求されますが、

デニス・ブレインの演奏は安定していて、全ての音が「出来上がった」状態で鳴り始めるのです。

ホルンに限らず、速くて細かい音型には、ミスをしやすいのですが、デニス・ブレインは、危なっかしい「気配」すらありません。

ケロッとした顔で吹いていると思います。


◆【映像】デニスブレインの動画。大変貴重です。

これはBBCの番組です。ベートーヴェンのホルンソナタを演奏するのですが、

その前に、ベートーヴェンの頃に使われていた、今のようなバルブ・システムがまだ開発されておらず、

単なる真鍮の管、ナチュラルホルンを用い、ただし、管の開口部(ベル)に右手を差し込み、その角度で音階が吹ける所を

実際にやって見せています。






その後、ヴァルブ装置が備わった現代のホルンでベートヴェンのホルン・ソナタを演奏します。


Beethoven Sonata Op1 7 Part1







Beethoven Sonata Op1 7 Part2







ホルンに限らず、また、デニス・ブレインに限ったことではありませんが、常に楽器の(マウスピースを口に当てる)角度が変わらないこと。

そして、音域で口の形(アンブシュアといいますが)が一定であること。実に見事なまでに変わりません。

全ての音が明瞭です。


色々聴いてみるとわかりませんが、やはり不世出の名手です。引用元は、

Dennis Brain - Beethoven: Horn Sonata Op.17です。

毎年同じですみません。

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