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JIROの独断的日記
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2011年01月30日(日) 民間格付け会社の評価にオタオタするな。金曜日の統計を良く見ろ。

◆まず、言いたいが、国会議員は真面目に仕事をしろ。


日本時間木曜日の夕方、民間の格付け会社、S&P(スタンダード&プアーズ)が

日本の国債の格付けを引き下げた。

私は、世界の二大格付け機関などと呼ばれていい気になっている

格付け屋、スタンダード&プアーズとムーディーズは、かつて、アメリカの

サブプライムローンに最高の格付けをしていたような会社なのだから、

そもそも、こんなもので一喜一憂するべきではないと思って、

「政府・日銀、国債格下げ契機に財政再建本腰が急務との声」←増税しやすくするための謀略ですか?ココログ

を書いた。その中で、
菅首相が格下げについてコメントを乞われて、「そういうことには疎いので」と発言したのを真に受けている人が結構いますけど、疎い訳ないですよ。

と書いたが、何と翌金曜日の国会では野党がこの点を仕切りに責め立てた。
◆記事:首相の資質追及へ=格付け「疎い」発言―野党(時事通信 1月28日(金)14時56分配信)

自民、公明両党などは28日、菅直人首相が国債の格付け引き下げをめぐり「そういうことに疎い」と発言したことについて、「(日本にとって)非常に大きなマイナスが生じた」(谷垣禎一自民党総裁)などと批判。首相としての「資質」が問われるとして、国会審議で厳しく追及していく方針だ。

谷垣氏は記者会見で「こういうときはトップリーダーの気合に満ちた対応が必要であって、このような軽率な発言はまさに資質が問題になる。きちっと追及していく」と表明した。

首相は28日の参院本会議で「情報が入っていなかった」と釈明したが、公明党の山口那津男代表は記者団に「それ自体が(危機管理上の)新たな懸念を生む。そういった首相の姿勢には重大な懸念が持たれる。予算委員会でも厳しい論議になる」と述べた。

みんなの党の渡辺喜美代表も会見で「反射神経のなさが露呈している。マーケットに対する感覚の全くない人が首相をやってるから株価も上がらず、国債格下げに至った。首相自身の格下げだ」と批判した

自民の谷垣、公明の山口、みんなの党の渡辺、どいつもこいつも揚げ足取りしか能がないのか。

それどころではない。金曜日の朝8時30分から8時50分にかけて、

日本経済の現状を物語る重要な指標がまとめて発表されたのである。

国会議員1人には1日40万の経費がかかりそれは、税金で賄われている。

真面目にやれ、と言いたい。


◆失業率「改善」といってもタカがしれている。

ウソではないが、こういう時に、日経をはじめ、全国紙やテレビ、通信社が

政府の御用達宣伝屋になるから、国民は騙される。見出しだけ見ると、

12月完全失業率は4.9%に低下、4%台は10カ月ぶり=総務省(ロイター 1月28日(金)9時22分配信)

と、一見良さそうだ。総務省のデータを見る。

労働力調査(基本集計) 平成22年12月分(速報)結果の概要 (PDF:545KB)である。

ウソではない。
完全失業率(季節調整値)は4.9%。前月に比べ0.2ポイント低下

とある。就業者数は6228万人。前年同月に比べ5万人の増加。2か月ぶりの増加だが、

相対的な問題である。以前完全失業者数は298万人である。約300万人の完全失業者がいる。

とりたてて「改善」を強調するほどとは言えない。


◆デフレの継続。

その上、デフレが続いている。

総務省が同日発表した12月の全国の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は

前年同月比0.4%低下と22カ月連続でマイナスとなった。

消費者物価指数 全国 平成22年12月分(PDF:123KB)

モノやサービスの価格が下がり続けるのは、買う人が増えないからである。


◆消費支出の減少

それは、消費支出の減少として統計に現れる。

総務省の家計調査(二人以上の世帯:平成22年12月分)によれば

消費支出は,1世帯当たり 327,006円。前年同月比実質3.3%の減少。前月比(季節調整値)実質3.3%の減少。

消費支出、即ち個人消費は、今までに何度も書いたが、

GDP(国内総生産)の約3分の2を占める。

個人消費が低迷したまま、ということは、モノが売れない状態が続く

ことを意味するしたがって、企業は儲からず、経済は活性化しない。

何故、個人消費が低迷し続けるか。

家計調査報告(二人以上の世帯)―平成22年12月分速報―によれば、

勤労者世帯の実収入は,前年同月比実質1.4%の減少だそうだ。

収入が少しずつだが減り続けているのに、民主党政権は今月(2011年1月)から

被扶養者控除の廃止・減額を実施している。実質的に個人増税である。

政府も大新聞も、スタンダード&プアーズの格下げを理由に

一刻の猶予も許されない。財政健全化の為には増税するしかないというが、

タダでさえ、苦しい国民の生活を更に苦しくするだけである。その上に消費税率を

引き上げたら、一層、個人消費は減るだろう。税率を上げても、消費がなされなければ、

税収増は見込めない。子供でも分かる話だ。

企業は、法人税率を引き下げられても内部留保に回し、

従業員の給与を増やそうとはしない。


◆結論:何度も書いているが、所得減税すべし。

IMF(国際通貨基金)は各国の財政政策に提言をする五月蠅い連中である。

◆記事:IMF局長、日本国債格下げ判断に理解示す(読売新聞 1月28日(金)10時31分配信)

国際通貨基金(IMF)のコッタレリ財政局長は27日の記者会見で、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が日本の長期国債の格付けを1段階引き下げたことについて、「日本が中期的に全面的な財政再建を必要としているのは明らかだ」と述べた。

また、日本国債の9割以上が国内で保有されていることについて、「財政再建を避ける理由にはならない」と述べ、S&Pの判断に理解を示した。

同局長は財政再建の実現には、税制改革による歳入増が重要になるとの見方を示した上で、「日本の消費税率はいまだに極めて低く、引き上げ余地は十分にある」と強調した。IMFは同日発表した財政報告書でも、日本の財政再建の遅れを指摘している。

IMFといっても、IMFのコッタレリ財政局長の意見である。

こいつはアホではないか。日本の経済指標を見ているクセに、

消費税率を引き上げて歳入増を図れ、というが、個人消費が減っているのを

知っているだろう。

おなじIMFは、以前、
◆日本の消費復活は可処分所得の増加が鍵、賃金や財産所得増で−IMF(ブルームバーグ)(2010/12/18 10:37)

国際通貨基金(IMF)は、日本の個人消費の「復活」には

家計の可処分所得の引き上げが鍵になるとの見方を示した。

IMFはウェブサイトに17日掲載した調査報告書で、

「個人消費は国内総生産(GDP)の最大項目だが、その伸びは1990年代終盤から停滞している」と指摘。

「消費の活性化には、特にサービス業での賃金上昇や財産所得の増加を通じた家計可処分所得の引き上げが鍵であり、

消費における財産所得増加の影響は潜在的に大きいだろう」と解説した。

と言っている。原文は

Rebalancing in Japan: The Role of Private Consumption(日本の再調整:個人消費の役割)である。

「賃金上昇や、財産所得を通じた家計可処分所得の増加が鍵であり」は

当たり前である。言われなくても分かっている。賃金を上げる企業が無いから

可処分所得が増えないことも知っているクセに、分かりきったことを書くな。

ここまで書くならば、いっそ、

「日本政府は、暫定的に財政健全化が遅れてもまずは家計可処分所得の増加を

実現するために、思い切って所得減税に踏み切るべきだ。」

と書いて欲しかった。他にどうやって可処分所得を増やすのか教えて頂きたい。

そう言うことを議論するのが、国会の仕事で、首相が格付けに「疎い」と言ったのが

問題だとか、そんなことは、どうでも良いのだ。

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