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JIROの独断的日記
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2007年01月30日(火) 柳沢発言は確かに不注意だが、直後、「機械といってごめんなさいね」とある。文脈を読むことだ。

◆資料:柳沢発言を伝える各紙の第一報(抜粋)

【日経】女性は「産む機械」、すぐ言い直し謝罪・柳沢厚労相が講演で

柳沢伯夫厚生労働相は27日、島根県松江市での講演で少子化の解消策として

「産む機械、装置の数は決まっちゃった。あとは1人頭で(たくさん産むように)頑張ってもらうしかない」

と述べ、女性を“子供を産む機械”とみているかのような発言をした。

厚労相はその場ですぐに「機械と言ってごめんなさい」などと謝罪。

「産む役目の人」と言い直した。(1月28日 01:01)



【産経新聞】女性は「産む機械」柳沢厚労相

柳沢伯夫厚生労働相は27日、松江市で開かれた自民県議の決起集会で、

「産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」

と女性を機械に例えて少子化問題を解説した。

柳沢氏は「これからの年金・福祉・医療の展望について」と題し約30分間講演。

出生率の低下に言及し「機械って言っちゃ申し訳ないけど」「機械って言ってごめんなさいね」との言葉を挟みながら、

「15−50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」と述べた。

厚労省は昨年12月、人口推計を下方修正。

この時、柳沢氏は「子供を持ちたいという若い人たちは多い。その希望に応えられるよう、できる限りの努力をしていきたい」と話していた。

(2007/01/28 03:40)


【毎日新聞】柳沢厚労相:講演で「女性は産む機械」

柳沢伯夫厚生労働相=写真=は27日、松江市で開かれた自民党県議の集会で講演した。

講演は年金・福祉・医療問題に関するもので、出席者によると、柳沢厚労相は少子化対策に言及する中で

「15から50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、機械と言うのは何だけど、あとは一人頭で頑張ってもらうしかないと思う」

などと述べたという。

少子化対策にかかわる閣僚による、女性を「出産する機械」とも例える発言だけに、

今後、批判を強く受けそうだ。[2007.01.28 東京朝刊]


◆コメント:人の発言は原発言をよく確かめ、文脈を見てから評価せよ。

昨日から今日にかけて、柳沢厚労相の発言を巡る報道けを読んだり聴いたりすると、柳沢氏は

「女性は産む機械」

というフレーズ(節)をそのとおりに言ったと信じ込んでしまうに違いない。

記事を読めば分かるとおり、そういう言い方はしていない。

騒ぎすぎ。オーバー・リアクションである。



こう言うときは、

どのようなコンテクスト(文脈)の中で、正確には何と云ったのか、

できる限り、一言一句正確に知ろうと努力するべきである。


毎日新聞の記事など、伝聞ではないか。
「などと述べたという」

って、そんなことで記事にしていいのか。

この手の報道は、元の発言を変形して用いていることが多い。

本当のことはその場にいないと分からないが、できるだけ多くのメディアの記事を集め、

比較し、照らし合わせる(クロスチェックする)ことにより、いわば、「近似値」に近づく。


◆元々の発言を前掲の記事で読むと、ニュアンスが違う。

柳沢大臣の発言には、新聞・テレビの報道から想像するような女性蔑視の意図は認められない。
「女性は子どもを産む機械」

とはマスコミが「断片を再構成して創った」センテンスで、柳沢大臣はそんなことはいっていないではないか。

確かに「機械」はまずい。こういうのをミス・リーディング(誤解を受けやすい)な発言という。

しかし、マスコミの報道は、恣意的(恣意とは「悪意」という意味だ)に過ぎると思う。

「資料」に掲載した記事を読めば分かるとおり、柳沢大臣は
「15歳-50歳の女性の数は決まっている。」

の後で、
「機械の数は決まっているから・・・」

といったが、すぐに、
「機械と言ってごめんなさい」

と謝罪しているではないか。マスコミは、そこまできちんと報道しなければダメだ。



私の所見は次の通り。

「柳沢厚労相の発言は不注意だが、前後の文脈から総合的に考えて、女性を蔑視する意図は無かったと考える方が自然である。」


◆この人は竹中平蔵の前に金融・経済財政担当相を務めていた。

柳沢氏は竹中平蔵の前の金融担当大臣だった人だ。

財務大臣や日銀総裁、金融担当大臣、金融庁長官は、毎日のように、日銀、財務省、厚労省、総務省、内閣府などから発表される経済統計を見ている。



私の想像では、柳沢大臣は少子化問題を論じているのにも関わらず、

金融相時代の「設備稼働率」が頭に浮かんでしまったのだと思われる。

それは、女性蔑視ではなく、「かつて慣れ親しんだ世界の言葉をうっかり使ってしまった」と解釈した方が自然である。


◆柳沢氏は何と云えばよかったか。

柳沢氏の発言に「15歳-50歳の女性の数」という表現がある。

これは、少し間違えているのだが、国連経済社会局人口部では、

子どもを産むのが可能な女性の年齢を15歳から49歳に設定している

これを「出産可能年齢」という。

私が思うに、柳沢氏は、

「15歳から49歳、即ち出産可能年齢の人口が、突然大きく変動するとは考えにくい。従って、ひとりひとりの女性の出生率が上がらないと、少子化は止まらない」

と言えば良かったのである。



柳沢氏に悪意はなかったとしても、厚労相としては、不勉強のそしりは免れない。

初歩的な人口統計用語ぐらいは、勉強しておくべきだった。それは、確かにそうだ。

だが、辞めろというほどのことでは無いと思う。


◆私も似たような(或いはもっと意図的に悪質な)引用をされたことがある。

以前、2006年10月01日(日) 「さくらちゃんを救う会」難病女児の募金に批判 という記事を書いた。

この記事の一部を引用し、Yahoo!掲示板で批判している奴がいた。引用されたのは、

(前略)カネが足りない為に幼子が命を落とすことがあったら、あまりにも不憫である。と私は考えたのである。

話が飛躍するかも知れないが、田中角栄の秘書を23年務め、先年亡くなった早坂茂三氏が、ある本の中で、

「余程の悪党で無い限り、人間、他人様(ひとさま)に『カネを貸してくれ』と頼むほど、惨めで、切ないことは無い」

と書いている。その通りだと思う。

ましてや、今回は、上田さん夫妻は「カネを恵んでくれ」と世間に顔を名を晒して頼んでいるのだ。

ブログの中で、「これは、乞食じゃないか」とひどいことを書いている人がいる。

その通りだから、ひどいのである。それを書いてはいけない。

これは人の親にならないと分からない。

親なら、乞食をしてでも我が子を救いたいと思う。それは、恥ずかしいことでも悪いことでもない、自然な気持ちだと思うのである。


という段落の中で、
「余程の悪党で無い限り、人間、他人様(ひとさま)に『カネを貸してくれ』と頼むほど、惨めで、切ないことは無い」

という部分だけを載せ、

「アホか。これは借金じゃないぞ、募金だぞ」


と私の記事を批判(?)しているつもりなのだが、これにはあきれた。

私はその直ぐ後に、次のように書いている。
「ましてや、今回は、上田さん夫妻は他人様に『カネを恵んでくれ』と世間に顔を名を晒して頼んでいるのである。


しかし、恣意的な引用(抜粋)をされると、あたかも、私が「借金」と「募金」の区別ができない、という印象をYahoo!掲示板の読者に与える。

このような経験があるので、人が恣意的に他人の発言の一部だけを切り取ったり、更にそれを変形すれば、

いくらでも、原発言者(執筆者)を「悪者」に仕立て上げることができることが良く分かるのだ。

柳沢大臣と私は何の関係もないが(面識はなく、身内でもない)

報道の仕方がフェアでなく、世間も原発言を確かめずに過剰に反応しているのが気になったので、取り上げた。


◆追記:この文章も全部を読んでいただきたい。

ココログ版にトラックバックを下さった方があるが、そこを読むと、やはり自分に都合の良い引用をなさっている。

私は、柳沢発言は女性蔑視を意図したものではないと思われる。
と書いたが、「批判に値しない」とは書いておらず、現に私自身批判していることに気づいていただきたい。

こちらも同様。

「文脈を読め」の一言で、この文章を評価しているが、それが、「文脈を読んでいない」ことなのである。

私は、柳沢大臣の「不注意」も同時に指摘している事をお忘れなく。





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