外国為替証拠金取引
JIROの独断的日記
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2010年07月25日(日) ストレステスト、二番底・株価20%下落を想定=欧州銀行監督者委」←確かにちょっと甘いシナリオですね。

記事1:ストレステスト、二番底・株価20%下落を想定=欧州銀行監督者委(7月24日0時0分配信 ロイター)

欧州銀行監督者委員会(CEBS)によると、欧州の銀行に対するストレステスト(健全性審査)は、

欧州で景気が二番底に陥り、2010年と2011年にかけて経済が3%縮小した場合を想定して実施された。

また、両年に株価が20%下落した場合、銀行が保有する証券化商品の格付けが4ノッチ引き下げられた場合も想定した。

CEBSとECBは、今回のストレステストが想定するシナリオが実際に起こる確率は20年に1度で、

米国で2009年に実施された銀行ストレステストよりも厳しい状況を想定したとしている。

米国のストレステストで想定されたシナリオが実際に起こる確率は7年に1度だった。


◆記事2:<健全性審査>検査基準「甘い」の声 市場の評価に注目(7月25日9時29分配信 毎日新聞)

欧州連合(EU)加盟国の金融監督機関で作る欧州銀行監督委員会(CEBS)は23日、

欧州20カ国の金融機関91行に対する健全性審査(ストレステスト)の結果を発表した。

「不合格(資本不足)」は、経営不安が指摘されていたドイツ不動産金融のヒポ・レアル・エステートなど

7行にとどまり、欧州政策当局は「健全性が証明された」と強調した。

だが、市場では検査基準が「甘い」との声も多い。真価は、週明け以後の市場で試されることになる。


◆コメント:ストレステストというのは普段から各銀行が自分でもやってるんです。

世界中の銀行は自国の企業の株や社債、国債、外国債などに投資をしています。

そして今の世界共通の会計制度は時価会計といって、決算の時に、株とか債券など、

価格が変動する資産が、購入時に比べて下がっていたら、評価損を計上し、場合によっては、資本を取り崩し、

その評価損の穴埋めに使うのです。


これ自体議論があるのですけどね。評価損というのは「評価損」であって、株や債券を売らなければ、

いくら購入時から価格が下がっていても「実損」はでないのですから、そんなに気にする必要があるのかいな?

と言う意見なのですが、何でもアメリカさんのゴリ押しが通る世の中で、アメリカが時価会計、時価会計と五月蠅いので、

だいぶ前から日本や他国で、企業は決算書にこの「有価証券評価益(又は評価損)を明記しなければいけないのです。


ストレステストというのは、何らかの原因により、株価や債券価格が急落しても、金融機関は資本を取り崩し、その評価損を

補填しても、まだ十分な自己資本が残るかどうか、仮定上の条件の下に調べるわけです。

ギリシャの財政危機後、欧州経済は極めて不安定で、国家がデフォルトになるかもしれない(ソブリン・リスク)があり、

また、国家さえ危ないなら、ヨーロッパの銀行は、潰れないのかと心配されていたので、

欧州銀行監督委員会というところが、EU内91行の財務状態を調べて、その結果を23日に発表すると

以前から言っていました。先週は、週末に、このストレステスト結果が発表されるので、色々な憶測を呼んだのですが、

まあ、大方大丈夫だろう、という楽観論が支配的でした。


◆リスクコントロールというのは最悪の事態を想定しないと意味がないですね。

世界中の銀行は国境を越えて資金の貸し借りをしていますので、

どこか1行でも資金繰りに窮すると、ドミノ式に世界中の銀行が資金を調達できなくなり、

潰れる危険があるのです。実際には、そうなりそうな気配があったら、各国の中央銀行が流動性資金を

市場に潤沢に供給して、絶対潰さないようにするでしょう。

2008年9月15日のリーマンショックの後は、世界中の中央銀行は臨戦態勢で、非常に緊張したと思いますが、

ヤバそうな銀行にはすぐに公的資金を注入する、潰さない、と各中銀がそれぞれの国で宣言したので、

金融恐慌になりませんでしたが、うっかり間違えたら大変ですよ。三井住友銀行や三菱東京UFJや、みずほの預金が

引き出せなくなったらどうします?

そうならないためには、最悪の事態でも何とかするような体制というか、行動のシミュレーションをしておく必要があります。

各国政府、金融当局が、です。

しかし、最悪と言っても、キリが無い。株の暴落って、無限に(株価0円になるまで)売られる可能性があるんですから。

ただ、それはさすがにあまりにも可能性が低い。

だけど、リーマンショックの後、1ヶ月足らずで、ニューヨークのダウは25パーセント、日経平均は32パーセントも急落したのです。

これが銀行の収益を極度に脅かし、銀行は業績を守るために、貸し出しに慎重になりすぎて、それで、企業が資金難に陥り、

世界景気は、白川日銀総裁の当時の言葉を借りると、

「崖から岩が転がりおちるような」という表現がそのままあてはまるものすごい速さで、(景気の)後退が進んだ

のです。

そういう歴史的事実があるのですから、記事1に書かれている、ストレステストのシナリオは、

確かに少々甘い。EU内91行のウチ不合格が7行だけ、という発表ですが、本当はもっと危ないのではないか、

という疑念が払拭されていないので、今週もあまり、マーケットは安定しないでしょう。

また、ストレステストとは異なりますが、先週木曜に、アメリカのバーナンキFRB議長が

米国経済の見通しに着いて上院の金融委員会で証言を行いましたが、何と言ったかというと、
「注意深く経済や金融の状況を見極めているが、米経済の見通しは異例なほど不透明だ」

と、言ったんですね。要するにどうなるか全く分からん、と悪く言えば金融政策の最高責任者が、

米国経済に何が起きるか予想出来ない、というのです。

歴代のFRB議長の議会証言で、このような言葉を初めて聴きました。

まあ、それが、最も本当の状況なのでしょう。

アメリカ景気がまた下降し始めたら、日本の車なども売れなくなります。

日銀や内閣府の月例リポートでも、日本の景気は緩やかに回復していると言えなくもないが、

アメリカの景気が落ちこむかも知れない「下振れリスク」を抱えていることを認めています。

これだけ、景気が悪く、しかもそれが長く続くのは、私は初めてです。

まだまだ、要注意なのです。

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