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JIROの独断的日記
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2010年06月12日(土) 【音楽】シューマン「4本のホルンのためのコンチェルト・シュテュック」/毎コン バイオリン部門 第1予選 課題曲

◆先日シューマン特集で紹介出来なかった「4本のホルンのためのコンチェルト・シュテュック」

4日前に、

2010年06月08日(火) 【音楽】6月8日は、シューマン(1810年6月8日 - 1856年7月29日)生誕200年でした。ココログ

を書きました。この日はピアノ独奏曲とピアノ協奏曲だけにしましたが、

シューマンの初期の作品はピアノ曲ですが、その後交響曲をはじめ、色々な作品を残しています。

たとえば、チェロ協奏曲。チェロ協奏曲ってありそうで(あるのですが)同じ弦楽器のヴァイオリンに

比べたら、意外にも、比較にならないほど少ないのです。ドヴォルザークのチェロ協奏曲が一番有名ですが、

シューマンはチェロ協奏曲を残した、比較的数少ない作曲家なのですが、

私は、「知っている人は知っているけれど、一般には殆ど知られてない曲を

ご紹介したいのです。それは、
4本のホルンと管弦楽のためのコンチェルトシュテュック Op. 86

です。5月の末に、ダヴィッドのトロンボーン小協奏曲をご紹介しました。

この「小協奏曲」をイタリア語では「コンチェルティーノ」といい、ドイツ語だと「コンチェルト・シュテュック」というのです。


それはさておき。


私は、最初に「シューマンがホルン協奏曲、しかも4本のホルンのための曲を書いている」というのが、

意外でした。シューマンの全作品のなかでもとりわけユニークな作品だと思います。

そして、曲を聴いたら、ホルンにとって大変難しい曲なので、びっくりしました。

ホルンの最高音域が頻出し、非常に難しいのです。

かなり上手いホルン奏者4人が揃わない限り、コンサートのプログラムに入れられないでしょう。

上手く演れたら、拍手喝采ですが、一旦、誰かが乱れたら、他の3人に伝染し、玉砕しそうです。


私の知る限りで比較的「最近」演奏されたのは、昨年、2009年2月13日のベルリン・フィル定期演奏会

(これはたまたま、安永徹さんのベルリン・フィルでの最後のステージだったのですが)だけです。


この曲はCDを探しても、殆どないのですが、Naxosで見つけました。

Amazonならば、シューマン:4本のホルンのためのコンチェルトシュテュック1,250円。

HMVならば、 4つのホルンのための協奏曲1295円。

iTunes Storeなら、アルバム全体 1,200円(クリックすると、iTunesが起動します。)です。


◆演奏をお聴き下さい。まず、シューマンです。

能書きがながくなりました。演奏をお聴き頂きます。


シューマン:4本のホルンのためのコンチェルトシュテュック


Schumann Conzertstuck for four horns I. Lebhaft



ソロのホルン4人が難しいのは間違いありませんが、シューマンが見事だな、とおもうのは、

先日、ピアノ協奏曲の時にも書きましたが、伴奏のオーケストラの書き方が巧みで、

交響曲のように響きが厚い。これが作品に重厚感を与えています。


◆同じアルバムに収録されている、テレマン、ハイドンの作品。

このアルバムは、4本のホルンが非常に活躍する、他の作曲家の作品も収録されています。

安いですが、非常にユニークな企画のCDです。こういうのは、もしお気に召したら、絶版にならないうちに

(無理でなければ)入手なさることをお薦めします。


話が逸れました。


時代が溯りますが、テレマンの序曲 ヘ長調 「アルスターのこだま」という作品です。

通称「アルスター序曲」。実は私はこの曲知りませんでした。「序曲」といっても実際には組曲です。


演奏をどうぞ。


テレマン アルスター序曲 から 第一曲 「序曲」



Overture in F major, "Alster Echo", TWV 55:F11



当時のナチュラル・ホルンでこれを演奏するのは、極めて難しかったと思います。

尤も、同時代のバッハの作品でも信じられないほど難しいホルン・パートの楽譜がありますので、

これぐらいは吹けるのが当然のとてつもない名人が沢山いたのでしょう。

私は、時々真剣に、仮にタイム・スリップが可能なら、17世紀のヨーロッパへ行って、

当時の金管奏者(特に、トランペット、ホルン)がどれほどの名人芸を披露していたのか

この目で見たいものだ、と真剣に思います。


さて、最後はハイドンです。

100曲を超える交響曲を書いたハイドンですが、31番は「ホルン信号」と呼ばれています。

全楽章にわたり、ホルンが活躍しますが、第一楽章をお聴き下さい。



ハイドン 交響曲第31番 ニ長調 「ホルン信号」第1楽章


Haydn Symphony No. 31 in D major, "Horn Signal", Hob.I:31 I. Allegro



まあ、これは、最初のシューマンほどホルンが前面に出るわけではないですが、

シューマンは「小協奏曲」であるのに対して、ハイドンはあくまでも交響曲を演奏するオーケストラの1セクションとして、

ホルンがかなり目立つ(本当は全曲聴いて頂くともっと分かるのですが)という程度ですが、ハイドンの頃のオーケストラならば、

ホルンは2本が常識ですが、この31番では4本使われています。

また、現代のホルンにように、指で押さえたり、放したりして音程を変化させる、

バルブシステムが開発されていません(それはテレマンも同様ですが)ので、オクターブの上下など

単純な動きですが、4本のホルンが一斉に吹いた時のハーモニーがオーケストラ全体の響きに大きく影響しています。


◆毎コン(日本音楽コンクール)今年の課題曲シリーズ(その1)バイオリン部門第一次予選。

音楽記事を書く余裕がある日は、まとめて書いておきます。

弊日記・ブログで毎年書きますけれども、今年で第79回を迎える、日本音楽コンクール。

元々、毎日新聞が創設したので、「毎日音楽コンクール」(通称毎コン)と言います。

第79回ということは、何と、戦前から、日本人は既に西洋音楽のコンクールを始めていた、ということです。

第一回は1932(昭和7)年ということです。歴史を重ね、日本で最も権威のあるコンクールです。

音楽家はコンクールで優勝したり、上位に入賞したから、といってもそれは、その日、その時、その場所で

一番上手かったのは誰か?が採点されるだけであり、謂わば「瞬間最大風速」で、

毎コンだろうが、ショパン・コンクールだろうが、チャイコフスキーコンクールだろうが、

そこでの優勝や、上位入賞すれば、将来が約束される訳でも何でもないのです。

しかし、コンクールで審査員や、本選ともなれば一般の聴衆も聴きに来ます。

そのプレッシャーを受けながら、実力を発揮できるようになるまで練習を重ねること自体が、

音楽家を目指す若者には、非常に良い経験になります。


毎コンの常設(毎年必ず行われる)審査部門は作曲、声楽、ピアノ、ヴァイオリンです。


ピアノ、ヴァイオリンのレベルの向上は目を瞠るものがあります。

これが日本音楽コンクール公式サイトです。

そして、課題一覧 - 日本音楽コンクールが載っています。


今年のバイオリン部門第1予選は、

下記の課題曲を(1)(2)の順で演奏すること。(繰り返しなし)

(1)パガニーニ:24のカプリス 作品1 から

  • No.2 B minor 第2番 ロ短調
  • No.7 A minor 第7番 イ短調
  • No.12 A flat major 第12番 変イ長調

上記の3曲から任意の1曲を選択すること。

(2)サラサーテ:序奏とタランテラ 作品43

だそうです。どんな曲か聴いてみましょう。

演奏は、私が非常に好きな、カナダのヴァイオリニスト、ジェームス・エーネス氏です。


パガニーニ:24のカプリスから第2番 ロ短調



Paganini Caprice No. 2 In B Minor



こんなの弾ける人、これ以上、何を練習する必要があるんでしょうかね?

次、7番です。


パガニーニ:24のカプリスから第7番 イ短調


Paganini Caprice No. 7 In A Minor



うわー。ド素人の私ですら難しさが想像出来ます。最初からオクターブの重音ですね。

オクターブですから、ちょっとでもズレたら、すぐにバレる。しかも高いポジションと低いポジションでは

二つの弦を押さえる指の間隔が違う。弾きながら連続的に微調整しないとオクターブが濁る。

頭がおかしくなりそうです。次、カプリース12番です。



パガニーニ:24のカプリスから第12番 変イ長調


Paganini Caprice No. 12 In A Flat Major



上手く言葉が見つかりません。ただ呆然としてしまいます。

この中から一曲を選び、更に、サラサーテ:序奏とタランテラ 作品43 を弾かなくてはいけません。

これが、またすさまじいのです。最初はゆったりとしたカンタービレですが、途中から、技巧の極致です。


サラサーテ:序奏とタランテラ 作品43


Sarasate Introduction and Tarantella, Op. 43



(^^;)(^^;)(^^;)(^^;)(^^;)

もう一度、音源ですが、カプリースは、Caprices(James Ehnes)(マーケットプレイスにも新品があります)。

サラサーテは、Wieniawski, Sarasateです。

これは、第1予選です。

昨年の記録では第1予選を受けたのが、127人。課題曲も今年と同じようなレベルです。

みんな弾けるのです。しかし、127人のうち、第2予選に進めたのは、28人です。

28人のうち、第3予選に進めた人は10人です。第3予選から本選に残るのは、4人です。

127人がバイオリン部門を受けて、本選に残るのは4人。勿論1位は1人。


多分、私が聴いても、第1予選から第2予選に進めた人と、それ以外の人の差は、分からないだろうと思います。

第2予選→第3予選も同じでしょう。

これぐらいを小学校高学年か、中学で弾けないと、プロにはなれないでしょうね。

五嶋みどりさんは、この「24のカプリース」全24曲を8歳で弾いてしまったそうです。

才能とは、そういうものなのでしょうね。

それでは、皆様良い日曜をお過ごし下さい。

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2009年06月12日(金) <鳩山総務相更迭>自らの正当性強調…「正しいこと通らぬ」←これは大笑いですね。
2008年06月12日(木) BIGLOBE、クラシック音楽専門インターネットラジオ「BIGLOBE RADIO」←聴いてみたけど、なかなかいいですよ。
2007年06月12日(火) 指揮者・岩城宏之さんは、昨年の6月13日に亡くなりました。デビューで振った「悲愴」第3楽章
2006年06月12日(月) 岩城宏之さんもいなくなってしまった・・・。
2005年06月12日(日)  「新たなBSE感染牛の疑い=英で最終確認へ−米農務省」 ←イギリスに検査を依頼しないとわからないの?
2004年06月12日(土) 「だがなあ、アリマ。本当はこの右腕一本だけなんだよ」 (ヘルベルト・フォン・カラヤン) 帝王の孤独。
2003年06月12日(木) 「大量破壊兵器が発見されなかったら、首相は世界に向けて、国民に対して謝りますか?」(菅直人氏) 誠に適切な質問である

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