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JIROの独断的日記
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2010年04月10日(土) 週刊新潮巻頭コラム、藤原正彦氏「管見妄語(かんけんもうご)」最新号はものすごく正しい。

◆引用:「藤原正彦の管見妄語」長崎県民の快挙(週刊新潮 4月15日号 28ページ)より。

私は大学に奉職していた四十年ほどの間に百以上の委員に選ばれた。(中略)

大した貢献は何もできなかったが一つだけ自負することがある。数学科の会議で自分の有利になるような主張を極力避けたこと、

理学部の会議で数学科の利益をいっさい代弁しなかったこと、大学全体の会議で理学部の利益代表としての立場を決して取らなかったことである。

(中略)

ところがこの四十年間に出席したどの会議においても、委員達の殆ど全ては自分又は自分の所属する部局の利益を擁護し追及することに躊躇しなかったのである。

(中略)

これは私にとって驚くべきことだった。私にとって、他を顧みず自らの利益を主張することは幼少の頃からただただ恥ずべきことだったからである。


大学人だけではない。市会議員、県会議員、国会議員でも選挙を意識して支持基盤となる地域や人々の利益ばかりを考える者が多い。

(中略)

先日の長崎知事選では、現地に入った民主党の選対委員長が「時代に逆行するような選択を長崎市民の方がされるのであれば

民主党政権は長崎に対しそれなりの姿勢を示すであろう」と言った。同党の幹事長は「選んでいただければ交付金も皆さんの希望通りにできます。

高速道路がほしいなら造ることもできます」と言った。選挙民は自分達にもっとも大きな利益をもたらす人を代表として選ぶ、という法則を

知っているっからこそ恥ずかし気もなく堂々とそんな演説ができたのだろう。


日本だけではない。アメリカの上下院におけるトヨタ叩きでも、攻撃の急先鋒になった議員の多くはミシガン州などビッグスリーの大工場が

ある州の選出議員で、逆にトヨタ擁護に回ったのはトヨタ工場のある地域からの議員だったという。国連だって各国は自国への利益誘導ばかりだ。


もちろん利害調整は会議の役目の一つである。しかしそれよりもはるかに大きな役目は全体の発展、全体の繁栄を通して全体の幸せを

実現することではないか。少なくとも、自分だけの利益を会議で主張することはあさましい、との感覚は必要である。

この羞恥心が地球上の大多数の人間に希薄だから、世界中のありとあらゆる会議が見るに耐えない利益争奪の場となる。

(後略)。


◆コメント:全面的に賛成で、何も付け加える必要がないぐらいである。

「国家の品格」がベストセラーとなって、名を広く知られるようになった藤原正彦氏だが、私は、国家の品格よりも

ずっと前から氏のエッセイの愛読者だ。

今更書くまでもないが、藤原正彦氏は、山岳小説を代表作とする作家の故・新田次郎氏のご令息である。

初めて、本になったのは「若き数学者のアメリカ」である。出版時、新田次郎氏がご存命で、

父子の本の広告が並んで新聞に掲載され、新田氏は、

こんなことは滅多にないことだ。切り取っておきなさい。

と喜ばれたという。新田氏が1980年に急逝なさった後、暫く藤原正彦氏は、書く意欲を失ったほどだったと「数学者の言葉では」に

書いておられた。しかし、それももう30年も昔の話である。

兎に角、藤原氏の文章は教養と、ユーモアとウィットとエスプリに満ちあふれ、実に面白い。

エッセイの中でも、「国家の品格」や本エントリーで紹介した文章は、真っ正面から「正論」を書いておられるので、

読んでいて実に痛快である。藤原氏にお目にかかったことはなく、お会いしたところで、先方が私をどのようにご覧になるか分からないが、

私は、藤原氏が天下国家に関して主張することについて、違和感を覚えた事がなく、いちいち尤もだと思う。

私が書きたくても、浅学にして非才のため、何をどのように書いたらよいのか分からないことを、ズバリと切り込んで下さるので、

いつも、「我が意を得たり」と思う。

引用した文章で最も大事なセンテンスは、
自分だけの利益を会議で主張することはあさましい、との感覚は必要である。

この羞恥心が地球上の大多数の人間に希薄だから、世界中のありとあらゆる会議が見るに耐えない利益争奪の場となる。

に尽きる。全くそのとおりで「会議」は「人間社会」と言い換えることも可能だと思う。

日本国憲法第15条第2項の文言(もんごん)はつぎのとおりである。
すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

国会議員は国家公務員であるが、この条文など完全に形骸化している。

公務員だけではない。藤原正彦氏の云うとおり、世の中の人間が「自分の利益しか考えないから」、

人の世に醜いことばかりが起きるのだ。

「藤原正彦の管見妄語」は、週刊新潮の巻頭グラビアに毎週掲載されている。


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2008年04月10日(木) 「聖火リレー サンフランシスコ、コース短縮しゴール変更」←聖火というのは平和の象徴の筈なんですけどね。
2007年04月10日(火) 「学生自殺『指導に問題』=ゼミ担当准教授を免職−高崎経済大学」←どうして先生が悪いのだ?
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