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JIROの独断的日記
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2009年12月11日(金) 「モーツァルト 「神童」の弾いたバイオリンで演奏披露」←先週に続きモーツァルト。

◆記事:モーツァルト「神童」の弾いたバイオリンで演奏披露(12月11日19時20分配信 毎日新聞)

モーツァルトがオーストリア・ザルツブルクで6、7歳ごろに弾いた子供用サイズのバイオリン(胴体26.2センチ)が11日、

東京・国立新美術館で公開された。オーストリア国外に持ち出されたのは初めて。

07年の全日本学生音楽コンクール小学校の部で全国1位になった松本紘佳さん(14)が“神童”のバイオリンで、

小林道夫・大分県立芸術文化短大客員教授のチェンバロと、モーツァルト初期のソナタ・ハ長調K6などを披露した。


◆コメント:まあ、それはどうでもいいんです。

モーツァルトが子供の頃に弾いていた楽器には、モーツァルトを研究する学者は興味があるかも知れません。

私は、全然興味が無い、とは言わないけれど、SF的発想ですが、タイム・トラベルが本当に可能で、

モーツァルトがどのようにピアノやヴァイオリンを弾いたのか

見られるならともかく、神童モーツァルトが弾いたヴァイオリンを「凡人」が弾くのを聴いても仕方がない。

記事は「ダミー」です。

一応これでニュースを取りあげる事になる。

「エンピツの時事・社会でどうして、音楽の話を連続して取りあげるのだ?」と言ってくる、

五月蠅い人がいるのです。ウェブ日記エンピツにはお世話になっているのですが、ジャンルを固定しなければ

ならないのが不便です(「音楽」ジャンルにアカウントを持つことは可能ですが、そうしたらアドレスが全く別になるので、

多分、普段の読者の方に見つけていただけなくなるのです)。


そんなことはさておき、モーツァルト12月5日が命日で、特集を組んだときに、

近いうちに続きを、と書きました。今日がその「続き」です。


◆我々は、モーツァルトのように純粋に書けなくなってしまった(ブラームス)

ブラームス自身、十分天才なんですが、天才であるが故にモーツァルトの「もっとすごい天才ぶり」がよく分かるのでしょう。

私は、分かったようなことを書いていますが、「観念的に」理解しているだけで、他の偉大な作曲家たちが恐らく経験したで

あろうように、「骨身に沁み」て分かってはいないのです。


「ダミー」と書いてしまいましたが、折角モーツァルトが弾いたヴァイオリンの記事を冒頭に転載したので、

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲を。

日本でも海外でも、オーケストラのヴァイオリン奏者のオーディションでは、殆ど必ず、

モーツァルトが五曲書いたヴァイオリン協奏曲のうち、3番か4番か5番を弾くのですね。

ベルリン・フィルのコンサートマスターだった安永徹さんによると、オーケストラに入団するときの

最初のオーディションにも、コンサートマスターになるときのオーディションでも必ずモーツァルトを弾くそうです。

オーボエの宮本文昭さんも同じ事をおっしゃってますね。あちらではモーツァルトがきちんと弾けない人は、、いくら

他の作曲家の作品が上手く弾けても、音楽家として認めて貰えないそうです。


その、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番です。

私が気に入っているカナダのヴァイオリニスト、ジェームズ・エーネス氏の演奏。

CDは、Mozart: Violin Concerto No. 1-5; etc/ James Ehnes


モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216 より第一楽章


Mozart: Violin Concerto No.3 1st Movment Allegro



モーツァルトのヴァイオリン・ソナタは沢山ありますが、協奏曲は5曲しかないですね。

その他、ソロ・ヴァイオリンと管弦楽の為の曲もありますけど、ピアノ協奏曲は27曲も

書いたのに。モーツァルトにとって、あまり協奏曲を書きたいと思わせる楽器ではなかったのかな。


◆「確かに、モオツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない。」(小林秀雄「モオツアルト」より)

小林秀雄は、文芸評論家。ややこしい文章が多く、頭の悪い私は、正直に書くと、

頭が追いつけない。

のですが、モオツァルト・無常という事 (新潮文庫) に収められた「モオツアルト」という

随筆に書かれている有名な言葉です。

私は、若い頃に一度読みましたが、そのときには、意味が分からなかった。今読むと、多少分かる「気」がします。

ここで小林秀雄が「疾走する悲しみ」と評したのは、弦楽五重奏曲第4番 ト短調 K.516の第一楽章です。

弦楽器の室内楽で最も一般的な編成は弦楽四重奏で、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ですが、

弦楽五重奏曲は、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、第1ヴィオラ、第2ヴィオラ、チェロ、で、ヴィオラが2本になります。

モーツァルトにとってト短調という調性は特別な感覚があったのか、交響曲40番、25番やこの弦楽五重奏曲4番のような、

名曲揃いです(因みに、モーツァルトの全作品では、長調の方がずっと多いのです)。

これ以上書くと知ったかぶりがバレるので、音楽にします。

この弦楽五重奏曲第4番 ト短調 K.516は、昔から有名な弦楽四重奏団の名演が多く、

ウルサ方は、大抵、スメタナ弦楽四重奏団を勧めるでしょうが、

私は敢えてそれを止めまして、アルバン・ベルク四重奏団という比較的「新しい」四重奏団のCDを選びます。

これです。モーツァルト:弦楽五重奏曲第3K.515&第4番K.516 アルバンベルク四重奏団 十分に名演だと思います。

念のため繰り返しますが小林秀雄が「疾走する悲しみ」と書いたのは、弦楽五重奏曲第4番 ト短調の第一楽章です。


モーツァルト:弦楽五重奏曲第4番 ト短調 K.516 第一楽章



Mozart: String Quintet 4, In G moll K.516 I. Allegro



「モーツァルトって、全部同じじゃん?」という方、結構いますけど、そうでもないんです。


◆モーツァルトの演奏をするときは、両壁がペンキ塗りたての細い廊下を、真っすぐすうーっと抜けるように演奏しろ(デニス・ブレイン)

今だに世界音楽史上、最高のホルン奏者だったのではないか、と言われるデニス・ブレインですが、

元N響首席ホルン奏者、故・千葉馨さんは短い間でしたが、デニス・ブレインに師事しています。

そのときにデニス・ブレインから言われた言葉だそうです。
「モーツァルトの演奏をするときは、両壁がペンキ塗りたての細い廊下を、真っすぐすうーっと抜けるように演奏しろ、止まっちゃだめだ。右にもよらず、左にもよらず…」

これも、鈍感で非才な私には、その意味が本当には、分かりません。但し、デニス・ブレインがモーツァルトのホルン協奏曲を

演奏した録音を聴くと、これも何となく分かるような「気」がします。

モーツァルト:ホルン協奏曲全集から。


モーツァルト:第4番変ホ長調 K.495 から、第一楽章。


ホルン協奏曲 第4番 変ホ長調 K.495 第1楽章:アレグロ・モデラート



◆「正直に言うと(アイネ・クライネが)どうしてこれほどもてはやされるのか、分かりません」(宮本文昭)

これは、引退なさったオーボエ奏者に宮本文昭さんが、疾風怒濤のクラシック案内 (アスキー新書 041) (新書)で、書いておられました。

誤解の無いように書き足しますが、宮本文昭さんは、

「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」も決して駄作ではないけれども、モーツァルトのセレナーデならば、

他にもっといい曲があると僕は思うからです」

と書いています。

そして、「他のもっといいセレナーデ」で挙げているものの一つに10番、

「グラン・パルティータ」があります。これはいつから、「グラン・パルティータ」が一般的になったか

分かりませんが、私が子供の頃は「13管楽器のためのセレナーデ」とレコード・ジャケットに印刷してありました。

この方が、「グラン・パルティータ」より地味ですけど、どういう曲なのか、はっきりして良いと思うのですが。


ま、しかし、今は「グラン・パルティータ」が定着しているようです。木管楽器のみによるセレナーデです。

これを聴いていただきましょう。

CDはセレナード集、クラリネット五重奏曲、他 ザビーネ・マイヤー管楽アンサンブルです。

ザビーネ・マイヤーという人はクラリネット奏者で、上手いのですが、この人をめぐって昔、カラヤンとベルリンフィルがケンカになったことで

知られています。カラヤンはベルリン・フィルに入団させたがったのですが、オーケストラのメンバーが無理だ、といったのです。

故・岩城宏之さんが全然別のオーケストラでソリストがザビーネ・マイヤーと共演したときの感想を書いていました。
決して下手ではない。それどころか天才的と言って良いほど、上手い。ベルリン・フィルが協奏曲のソリストとして迎えるなら、

全く問題はないだろうが、あの音量も世界一のオーケストラで長い間、団員として一緒にやっていくのは無理だということなのだろう。

ベルリン・フィルの連中の気持ちが分かるような気がした。

とのこと。

まあ、この人とザビーネ・マイヤー管楽アンサンブルが上手いことに、過去の事件は無関係です。


モーツァルト:セレナード第10番変ロ長調 K.361『グラン・パルティータ』第一楽章



Serenade No.10 Gran Partita K.361 (370a) I Largo-Molto Allegro



木管楽器のハーモニーが美しく溶け合うと、あたかもオルガンのような響きになりますね。


◆「私は神に誓って申し上げますが、ご令息は、私の知る限り最も偉大な作曲家です。」(ハイドンがモーツァルトの父に言った言葉)

この言葉、過去にも引用したのですけど、好きなんです。正確には、

私は、正直な人間として神に誓って申し上げますが、私が見聞する限り、ご令息は

最も偉大な作曲家です。よい趣味をお持ちですし、しかも極めてすぐれた作曲技法をお持ちです。

ヨーゼフ・ハイドンが、モーツァルトの父、レオポルド・モーツァルトに向かって言った言葉です。

レオポルド・モーツァルトは、息子の天才を見抜いていたからこそ、ヨーロッパ各地を連れ歩いて「宣伝」してた訳で、

ハイドンから言われなくても分かってはいたでしょうけれど、改めて時の大作曲家に太鼓判を押され、

親として嬉しくなかった筈がありません。


この言葉と直接結びつく理由は無いのですが、今まで取りあげていない音楽から選びました。

交響曲第35番“ハフナー” ニ長調 です。

CDはオトマール・スウィトナー=ドレスデン・シュターツカペレがいいのですが

(リンクを貼らせていただいているKenさんから、だいぶ前に教えていただきました)、

CDだと、ボックスで買うしかないのです。すると、高い。


調べたら、iTunes Music Storeから個別に買えることが分かりました。

第一楽章のURLは、

http://itunes.apple.com/jp/album/symphony-no-35-in-d-major-kv-385-haffner/id99635790?i=99634383

です。このアドレスをブラウザのアドレス欄に貼り付けて、Enterキーを叩けば、iTunes Music Storeの該当箇所に

行くはずです。


モーツァルト:交響曲第35番“ハフナー” ニ長調 第一楽章



Symphony No. 35 in D Major KV 385 "Haffner": I. Allegro con spirito


どこで読んだか忘れましたが、モーツァルト自身はこの楽章を「炎のように演奏すべきだ。」と言っています。

その期待に忠実な演奏ではないか、と思います。

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