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JIROの独断的日記
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2004年12月11日(土) 自衛隊の派遣期間延長が何故、1年間なのか

◆記事:小泉内閣総理大臣記者会見(イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について)より。

【小泉総理冒頭発言】

 本日、政府はイラクでの自衛隊人道復興支援活動を1年間延長することを決定いたしました。このことにつきまして、私は基本的な考えを申し述べたいと思います。

 まず第1に、自衛隊の活動する地域は非戦闘地域でなければならない。

現在も、非戦闘地域でありますから、国会における答弁におきましても「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域である」という答弁をしてまいりました。

 私は、今後もこの非戦闘地域の状況が続くであろうと判断いたしました。もちろん、予断を許さない厳しい状況であります。

【質問】 総理にお聞きします。総理自身おっしゃっているように、サマーワの状況は、基本的には安定していると言っても、先行き楽観はできません。

それと、既にイラクで活動を終えたとして撤退を表明している国もあります。

そうした中で、今回1年間の延長を決定されたわけですけれども、延長しない、あるいは延長する場合にも1年に満たない、イラクの民主化プロセスに合わせて3か月とか6か月の短期間の延長とか、そういう選択肢はご検討されたんでしょうか。

【小泉総理】 さまざまな選択肢を検討いたしました。しかし、今、申し上げましたように、1年間の延長が妥当であろうと。

1月には、イラクで国民議会の選挙が行われます。そして、来年度中には憲法による議会選挙も行われます。来年12月には、いわゆる多国籍軍の任務、イラクが民主的な政府を自分たちでつくろうという、そういう大事な1年間であります。そういうことを勘案しながら、1年間の延長が妥当であろうと判断いたしました。


【質問】 現地隊員の安全確保についてお伺いします。総理も今、サマーワは予断を許さない、厳しい状況だとおっしゃいましたが、こうした中で、現地の隊員の安全は間違いなく確保できるんでしょうか。

【小泉総理】 この自衛隊員の活動に対する安全確保につきましては、十分な対策、配慮が必要だと思っております。
 先日、サマーワの現地を訪問されました大野防衛庁長官、そして自民党の武部幹事長、公明党の冬柴幹事長の報告を聞きましたけれども、自衛隊の諸君は宿営地内だけの活動ではないと。ムサンナ州、これは日本の九州ぐらいの面積であると聞いておりますが、その九州ぐらいの面積の中に人口は50万人ぐらいいると聞いております。

そして、自衛隊の諸君が宿営地外に出て、医療活動あるいは給水活動、公共施設の復旧活動に出かけていくと、日の丸の旗を付けた車に乗ると現地の住民が手を振って歓迎してくれるそうであります。病院と病床におきましては、イラク人の治安部隊が警護してくれるという状況であると報告を受けております。

 そして、現地の方々の話によりますと、大体よそ者がこの地域に入ってくるとわかると。自分たちのできること、自衛隊に引き続き駐留して継続して活動してもらいたいと、自分たちも安全面に対しては十分協力するという報告を受けております。

 そういうことから考えまして、私は安全面には引き続き十分な配慮をいたしますが、今までの1年間の活動におきましても、他の地域から比べれば、比較的安定していると。過去、今までイラク全土におきまして、

多国籍軍の中では1,000 名以上の死者が出ていると聞いておりますが、サマーワの地域におきましては、今までオランダ軍の死者は2名だと聞いております。

自衛隊の諸君も自らの身の安全のために、機関銃あるいはピストル等携行しておりますが、今まで町中に出ても復興支援活動に出ても、一度も一発も弾丸を発射したことがない。一回も銃を構えたことがないという報告を受けております。そういうことから、私はサマーワの状況は比較的安定しているのではないかと思っております。


◆コメント:即時撤退するべきだ。

 

 何故なら、法律に従えば、必然的に撤退せざるを得ないからである。

 自衛隊が活動出来るのは非戦闘地域であり、非戦闘地域の定義は次の通りである。


イラク復興支援特別措置法第2条第3項

対応措置については、我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域において実施するものとする。




 繰り返し書くが、「そこ(サマワ)で実施する活動の期間(1年間)を通じて戦闘行為が行われることがない、と認められる地域において実施するものとする」という要件を満たす地域が、イラク領内に存在すると保証できる者は世界にひとりもいない。

 つまり、イラク復興支援特別措置法の定義する「非戦闘地域」は存在しない。したがって、自衛隊はそこに留まることを許されない。

 これは、私の「意見」ではない。論理的必然的帰結である。


◆総理の答弁は全然答えになっていない。

 

 冒頭の首相の発言を読んで頂きたい。



 「自衛隊の活動する地域は非戦闘地域でなければならない。現在も、非戦闘地域でありますから、国会における答弁におきましても「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域である」という答弁をしてまいりました。

 私は、今後もこの非戦闘地域の状況が続くであろうと判断いたしました。もちろん、予断を許さない厳しい状況であります。




 

ものすごい、矛盾である。サマワが「予断を許さない厳しい状況」だと認識していながら、「非戦闘地域の状況が続くであろうと判断した」、とは、一体どういう思考のプロセスなのであろうか?。「非戦闘地域の状況が続くと判断した」別の根拠が示されているわけでもない。

しいて、「理由らしきもの」を記者との質疑応答から拾うと、



「自衛隊の諸君が宿営地外に出て、医療活動あるいは給水活動、公共施設の復旧活動に出かけていくと、日の丸の旗を付けた車に乗ると現地の住民が手を振って歓迎してくれるそうであります」



これは、何ら、現地の安全を意味しない。


 手を振る住民に武装勢力が紛れ込み、自衛隊のトラックに向かって、ロケット砲でも撃とうものなら、木っ端みじんだ。

 

「病院と病床におきましては、イラク人の治安部隊が警護してくれるという状況であると報告を受けております。 」

「現地の方々の話によりますと、大体よそ者がこの地域に入ってくるとわかると。自分たちのできること、自衛隊に引き続き駐留して継続して活動してもらいたいと、自分たちも安全面に対しては十分協力するという報告を受けております。 」


イラクの復興支援に行く軍隊が、支援を受ける側のイラク人に警護して貰うの?
イラクから報告を受けているとは、どういう意味?12月8日にも書いたが、サマワの州警察本部長は、現地視察に行った大野防衛庁長官が、治安状況を聴きに来なかったといって、怒っているのだ。

要するに、今まではオランダ軍に守って貰っていた。オランダ軍は3月でいなくなる。その後はイギリス軍が守ってくれるという。しかし、イギリスはアメリカと行動を共にしてイラクを攻撃して、イラク人の恨みを買っている。日本の面倒まで見ている余裕があるのであろうか?

首相の答弁はいつもこうだ。


「自衛隊員の活動に対する安全確保につきましては、十分な対策、配慮が必要だと思っております。 」


そんなことは、当たり前だ。だれでも、そう思う。

具体的に何をどうして、安全を確保するのか、説明できていないではないか。

結局、怪しい奴が来たら、イラク人が教えてくれるそうだ、という程度のことで、日本が積極的にどのような安全対策を講ずるか、全く不明だ。つまり、考えていないのだろう。

或いは、自衛隊はさすがに自衛策を考えているだろうが、小泉首相はその内容をしらないのだろう。

自衛隊法第7条は次の通り規定している。




自衛隊法
第七条  内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。


いいですか?自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣なんですからね。しっかりして下さいよ。森喜朗と宝塚なんか見ている場合じゃないだろう。


◆人道復興支援に隠れた、安全確保活動(米英軍後方支援)

私は、ずっと、イラクへの自衛隊派遣は中止するべきだと考えている。

自衛隊のイラク派遣は、航空自衛隊による安全確保活動をともなっている(イラク復興支援特別措置法第3条第2項)。

航空自衛隊の輸送機は、武装した米英軍の兵士を輸送している

マスコミも含めて、 民間人は誰一人、輸送している物資の中身を点検できないから、証明出来ないのをいいことに、恐らく、武器・弾薬の輸送も行っているだろう。

つまり、米英軍の後方支援であり、武力行使の一翼を担っていることになる。 これはすでに、憲法に違反しているのだ。

少しずつ、このような違憲行為を既成事実化していって、しまいには、海外で武力行使しましょうという方向に持って行こうとしているのが、自民党である。

自衛官の安全確保の側面のみならず、日本が法治国家である以上、自衛隊の派遣は許されるべきではなかった。

 ましてや延長、しかも、1年など、言語同断、という他に言葉を知らぬ。

百歩譲るとしよう。

記者との質疑応答にもあるが、派遣期間を延長するときに、何故、いきなり1年なんだ?

なるべく短期間で区切り、その都度情勢を検討するべきである。どんなに長くても、四半期(3ヶ月)というのが、こういう場合の常識だろう。

自衛隊のイラク派遣に賛成している人は、自衛官に死者が出た場合、どのように言い訳するつもりなのだろうか。
ただひたすら、北朝鮮のミサイルが怖くて、米国が守ってくれると信じて(ノドンは発射されたら、アメリカといえども迎撃できないというのに)、アメリカの言いなりになる、卑屈な姿勢を堅持することが、日本の取るべき道なのだろうか。そういうのを外交センスと勘違いしている人もいるようだが、違う。

 「国家としての主体性がない」というのである。


2003年12月11日(木) <イラク復興事業>日本などに限定へ 米国防総省←小泉さん、商売を取るのが目的でしたか。
2002年12月11日(水) 小柴先生も、田中さんも、凛々しかった。

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