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JIROの独断的日記
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2009年06月30日(火) 「完全失業者、7ヶ月連続増加」「有効求人倍率、過去最低」←これが「景気が底を打っ」た状態?

記事1:5月の求人倍率、過去最低0.44倍=失業率5.2%に悪化−雇用情勢判断下方修正(6月30日8時40分配信 時事通信)

厚生労働省が30日発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月を0.02ポイント下回る0.44倍で、

1963年1月の調査開始以来の最低を更新した

一方、総務省が同日発表した労働力調査によると、5月の完全失業率(同)は5.2%と前月比0.2ポイント悪化した。

この結果を受け、厚労省は雇用情勢判断を5カ月ぶりに下方修正し、最も厳しい表現の「さらに厳しさを増している」とした。

求人倍率は2008年1月に1倍を割って以降、ほぼ一貫して下がり続けている。

雇用の先行指標とされる新規求人数は前年同月比34.5%減。求人倍率の下げ幅は縮小傾向にあるが、

企業の生産水準はまだ低く、新たに求人を出すほどの状況ではないようだ。

一方、失業率の悪化は4カ月連続で、過去最悪の5.5%が目前に近づいている。

完全失業者数は、前年同月比77万人増の347万人。勤め先の都合や契約満了による失業が増えた結果で、

増加幅は過去最大。半面、就業者数は136万人減の6342万人で、過去最大の減少幅だった。

厚労省は有効求人倍率について「一定の時期には底打ちする」との予想を示したが、

失業率は指標の動きが景気回復よりも半年から1年遅れるので、「まだしばらく上昇が続くのではないか」とした。


記事2:与謝野経財相 景気底打ち宣言 月例報告「悪化」削除(6月17日21時36分配信 毎日新聞)

与謝野馨財務・金融・経済財政担当相は17日、6月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。

中国向けなどの輸出や、企業の生産に改善の動きが続いていることを受け、景気の基調判断の表現から

「悪化」の文言を7カ月ぶりに削除し、「厳しい状況にあるものの、一部に持ち直しの動きがみられる」に2カ月連続で上方修正した。

会議後の会見で、与謝野経財相は「1〜3月が底だった。輸出、生産などが上を向き始めたので底を打ったと強く推定できる」と述べ、

事実上の景気底打ちを宣言した。


◆コメント:こういう状態を景気底打ちっていうのですか。

6月は今日で終わりだが、今月、日銀の金融経済月報や内閣府の月齢経済報告から景気が「悪化」しているの「悪化」の文字が消えた、

とマスコミは、大本営発表の宣伝機関をしていた。

5月からその話は出ていたので、私は、

2009年05月15日(金) 「<日銀>景気判断の上方修正を検討」←4月30日の展望レポートで今年の経済成長予想大幅下方修正したばかりなのに? ココログ

を書いた(尤もこれは、内閣府の景気ウォッチャー調査結果に関して書いた記事である)。




良いですか。記事1を読むと、「完全失業率」と「有効求人倍率」について書かれている。

いずれも今朝(6月30日8時30分)に発表された。



まず、失業率を発表するのは総務省統計局である。

労働力調査(基本集計)(平成21年5月分)を開くと、概要が説明してある。

「今月の動き」という部分をよく読んで下さい。難しいことは書いてない。


  • 5月の就業者数は6342万人と1年前に比べ136万人減少

  • 就業者数は16か月連続の減少

  • 5月の完全失業者数は347万人と1年前に比べ77万人増加

  • 完全失業者数は7か月連続の増加

  • 5月の完全失業率(季節調整値)は5.2%となり,前月に比べ0.2ポイント上昇

  • 完全失業率(季節調整値)は4か月連続の上昇



次に。

有効求人倍率とは、求人数を求職者数で割ったもの。仕事を探している人1人に対して、どれぐらい仕事(求人)があるかという割合、である。

これは、厚生労働省が発表する。

実に分かり難い。

画面左の統計調査結果がある。しかし、ここを見ても求人倍率は載っていないのである。

「お知らせ」の「報道発表資料」を開く。まだ、「有効求人倍率」という単語が見当たらない。

「年月区分」の「2009年」「6月」を開くのである。そこにも「有効求人倍率」という言葉は無いが、

2009年6月30日 一般職業紹介状況(平成21年5月分)についてだろうと見当をつける。

そこで初めて分かる。

どうして、これほど分かり難くするのか。流石は「お上」である。サービス精神など微塵もない。

「有効求人倍率」を知りたければ、自分で探せ、というのだろう。エラい人たちだからねえ。


さて、一般職業紹介状況(平成21年5月分)についての説明を読む。最初だけ引用すると、
平成21年5月の一般職業紹介状況をみると、有効求人倍率(季節調整値)は0.44倍となり、前月を0.02ポイント下回った。

正社員有効求人倍率は0.24倍となり、前年同月を0.29ポイント下回った。

と書いてあるが、それだけ、言葉で淡々と説明されてもよく分からない。流石にその下にグラフがある。

有効求人倍率が、この一年間ずっと下がり続けている。つまり仕事を見つけるのがますます困難になっている。

総務省の雇用統計で、就業者が減り続け、失業者が増え続けていることと合わせて考えると、

雇用環境がこれほど悪い日本を見たことがない。

記事2に載せたが、6月18日、内閣府(与謝野大臣はここも担当している)は「月例経済報告」で、
景気は、厳しい状況にあるものの、一部に持ち直しの動きがみられる。

との認識をしめした。

この月例報告の冒頭部分を「基調判断」というが、過去の基調判断をブルームバーグが一覧表にしている

それを見ればわかるが、昨年12月から今年の4月までは、
景気は、急速な悪化が続いており、厳しい状況にある。

など、「悪化」という表現を毎回つかっていたが、今年の5月、
景気は、厳しい状況にあるものの、このところ悪化のテンポが穏やかになっている。

まだ、「悪化」が出てくるが、だいぶ穏やかなトーンに変化した。そして6月17日の月例経済報告の「基調判断」からは、「悪化」の言葉が消えた。


このことをマスコミ各社は、「政府、事実上の景気底打ち宣言」などと、盛んにプロパガンダを行っていたが、昨年9月以来、

ものすごい勢いで後退した景気の影響が、簡単に消える訳はない。つまり、バネはある程度ならば、延ばしても元に戻るが、

伸びきってしまうと戻らない。日本経済が永久に回復しないとは言わないが、すさまじい勢いの景気の悪化は、バネが伸びきった状態に近い。

楽観しない方がいいですね。

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