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JIROの独断的日記
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2008年09月19日(金) <ドル供給>日米欧の6中央銀が協調 総額2470億ドル←他国の中銀にドルを供給して貰っているくせに礼も言わない米国。

◆記事1:<ドル供給>日米欧の6中央銀が協調 総額2470億ドル (9月18日20時47分配信 毎日新聞)

日銀など日米欧の6中央銀行は18日、米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)などを受けた金融市場の混乱を収束させるため、

金融機関が資金をやりとりする短期金融市場に対し、新たに1800億ドル(約19兆円)のドル資金を協調で供給すると発表した。

欧米の中銀は昨年末からドル資金の協調供給に乗り出しているが、今回は金融危機の深刻化を背景に、

日銀も初めて協調に踏み切り、日米欧の供給総額は2470億ドル(約26兆円)に拡大する。

短期金融市場は、リーマンの破綻後、信用不安からドルの調達金利が急騰し、

米欧金融機関を中心に資金繰りに窮する懸念が強まっている。日米欧は異例の協調態勢で不安心理の沈静化を図る。


記事2:米、不良債権処理の公的機関設立を検討(9月19日12時36分配信 読売新聞)

米政府は18日、米国発の金融危機の拡大を食い止めるため、

金融機関から不良債権を買い取って処理する公的機関を設立する検討に入った。

日米欧6中央銀行によるドル資金の協調供給に続いて、金融不安を沈静化するための政策を総動員する構えだ。

ポールソン米財務長官と米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長らは同日夜、ペロシ下院議長ら米議会幹部と協議。

ポールソン長官は会議後の記者会見で「不良債権を銀行のバランスシート(貸借対照表)から切り離すための法律が必要だ」と述べ、

政府による不良債権の買い取り機関を検討していることを明らかにした。

リード上院院内総務(民主党)は「議会は、この問題に協力していくことを約束した」と語り、

前向きに対応する姿勢を示した。週末を通して協議を続けて取りまとめを急ぐ。


◆コメント:日米欧の中央銀行がドルを供給したのは、とりあえず、資金繰りに窮して潰れる銀行が出るのを防ぐためです。

記事1で述べていることは何かというとですね。これは公的資金注入ではないのです。

世界の金融機関は互いに、ごく短期で資金の過不足を調整する為に、資金の貸し借りをしているわけです。

普段から、予備の資金を各銀行が留保しておけば良い、と思われるかも知れませんが、何百億円というお金ですから、

それをただ、置いておくことは、得べかりし利益の喪失になります。絶対額が大きいから、オーバーナイトといって、たった一日だけでも、

他の銀行(国内外を問わず)に貸せば利息を稼げます。塵も積もれば山となる。そうやって地道に利益を出さないと、従業員の給料も払えないし、

株主に配当も払えないし、預金者に金利を支払えなくなる。だから、ただ、おカネを寝かせておくことはしないのです。


ところが今のアメリカの金融システムを見ると、今日大丈夫だったのに、明日は潰れるかも知れない。

だから、世界中の銀行がお互いに疑心暗鬼になっているわけです。

なかなかお金を出そうとしない。そうすると、銀行の手持ちのカネが

本当になくなって、極端な話、大口の融資でお金を貸すはずだったのが、貸せなくなる。

或いは、預金者が給料日や年金の振り込み日で、出金が集中する日など、ATMに入れるお金が足りなくなります。

つまり、資金繰りがつかない銀行が続出して、パニックになる。単なるパニックでは済まないで、倒産します。

すると、その銀行に短期金融市場でおカネを貸していた銀行は、そのおカネを回収できなくなり、やはり資金繰りが付かなくなり、

倒産します。これが、連鎖倒産です。

日銀に限らず、各国の中央銀行の重要な機能の一つに「最後の貸し手」というものがあります。

他の民間銀行から資金を調達できなくなりそうな銀行に、臨時に資金を貸してやるわけです。

18日、6カ国の中央銀行が、資金を短期金融市場に供給したのは、資金量全体を増やして、

各民間銀行が資金を取りやすくしているのです。


こんなことになったのは、アメリカの金融政策の失敗です。

誰も絶対に潰すわけがないと思っていた、リーマン・ブラザーズを潰したからです。

潰れたら、影響が大きすぎるリーマンさえ潰した。ということは、他のどの銀行が潰れても、もはや不思議ではない。

世界の金融市場に関わる人は、そう考えました。すると、どの銀行ともお金の貸し借りをしない。

そこで、仕方がないから、本当はドルはアメリカの通貨ですから、アメリカのFRBが資金を出せばいいのですが、

ドルを調達するのが、世界中で困難になっているから、FRBだけでは、おカネが足りません。

そこで、ヨーロッパの中央銀行や、日本の中央銀行である日銀まで、ドルを市場に供給せざるを得なくなったのです。

アメリカは世界の中央銀行、ひいては、その国の政府に「借り」が出来たというのに、礼の言葉一つ言わない。

当たり前だと思っている。傲慢です。


◆日本のバブル崩壊後、アメリカは、日本政府が銀行に公的資金を注入するのをバカにしていた癖に・・・。

日本で、バブルが崩壊した後、邦銀は皆、多額の不良債権を抱えました。

米国政府は、日本政府に早く公的資金を注入しろ、と言いながら、

経営難に陥った銀行を潰さない、日本の金融当局の方法をバカにしていました。

資本主義の自己責任原則に厳密に基づけば、潰れる銀行は自分の責任なのだから潰せばいい、

というのが、アメリカの論理です。潰してしまえば、債権者がいなくなるのだから、債務者はおカネを返さなくていい。

不良債権問題は一挙に片付く、という訳ですが、そんなことをしたら、日本の銀行にカネを貸していた外国の銀行が資金繰りに窮して、

連鎖的に潰れます。世界金融恐慌です。日本は銀行を潰さなかったので不良債権は問題がいつまでも残りました。

しばしば「失われた10年間」などといいますが、日本は自分でオトシマエを付けました。

欧米各国の中銀が多額の「円」を短期金融市場に供給する必要も無かったし、他国の政府や、民間金融機関から

日本の銀行の為に、資本に組み入れる資金を出して貰うこともなかった。

だから、日本発の世界金融恐慌は起きませんでした。


それはさておき、前述したとおり、日米欧6カ国の中銀が資金を市場に供給しているの対象は短期金融市場です。

謂わば、応急措置です。

根本的な対策としては潰れそうな金融機関の「資本」を増強しなければ、どうしようもない。

私は、それを早くやれ、と昨年から何度も書いた、と先日の日記で述べました。

アメリカは、リーマン・ブラザーズに対してさえ、公的資金を注入せず、破綻させました。

2日後、保険会社のAIGは救済しました。

何故、前者は潰し、後者は救ったのか。金融政策の一貫性が欠けています。

遅まきながら米国は「このままでは、まずい」ことを認めざるを得なくなったようです。

何しろ、前FRB議長のアラン・グリーンスパン氏は、15日、

「今回の金融危機は100年に1度あるかないかの深刻なもの」

と語っています。つまり、1929年10月24日、「暗黒の木曜日」に端を発した世界恐慌と同じような状況に陥る可能性がある、

ということです。

それで、遂に、記事2にあるとおり、公的資金を用いて不良債権を買い取る機関を作ろうとしています。

何のことはない、結局日本の真似です。バカにしていた癖に。

やるならもっと早く実行するべきでした。

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2004年09月19日(日) 「米大統領『イラク開戦、国連のお墨付』事務総長に反論」 ブッシュ大統領。字が読めますか?
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