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JIROの独断的日記
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2008年06月23日(月) 「<イージス艦衝突>あたご側に当直交代前から回避義務…3管」←漁船の航路を説明していただきたい。

◆記事:<イージス艦衝突>あたご側に当直交代前から回避義務…3管(6月24日22時22分配信 毎日新聞)

海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故で、当時の当直士官2人を業務上過失致死容疑などで書類送検した

第3管区海上保安本部(横浜市)は24日会見し、当直交代前から、あたご側に回避義務があったとの見方を示した。

この時、操船責任者の当直士官だった後潟(うしろがた)桂太郎・前航海長(36)について「十分な見張りをせず回避の時機を失した」と指摘。

発生時に操船していない乗組員について異例の立件をした理由を明らかにした。


◆コメント:とかく世間がウルサイから、自衛隊が悪かったことにしておけ、という安易な解決は正しくない。

イージス艦「あたご」と漁船清徳丸が衝突し、清徳丸に乗っていた父子の遺体は発見できないまま死亡と認定された。

この事故が起きたのは、今年の2月19日早朝、午前4時7分ごろ、千葉県南房総市の野島崎から南南西約40キロの海上で、

海上自衛隊のイージス艦「あたご」=艦長・舩渡健(ふなとけん)1等海佐(52)、7750トン、乗組員296人=と

千葉県勝浦市の新勝浦市漁業協同組合に所属するマグロはえ縄漁船「清徳丸(せいとくまる)」(全長約12メートル、7・3トン)が衝突した。

漁船はあたごの艦首付近と衝突して船体が二つに割れ、船主の吉清(きちせい)治夫さん(58)と長男の哲大(てつひろ)さん(23)=

いずれも勝浦市川津=の2人が行方不明になった。

清徳丸に乗っていた父子の遺体は発見できないまま、5月20日死亡と認定された。


◆事故直後から、マスコミはとにかく自衛艦が悪い、という論調だった。そもそも、そこから間違っている。

私は事故直後から、事故の全容が明らかでないのに、とにかくイージス艦「あたご」に事故の責任がある、というマスコミの態度に異論を唱えてきた。

それは、

「イージス艦事故:「あたご」に回避義務」←事故の全容が分からない時点で当事者一方の責任を強調するべきではない。

「見張り、清徳丸を報告せず=「危険性ないと思った」−イージス艦衝突事故」←イージス艦「だけ」の責任にしたがる一面的思考

「福田首相、吉清さん方を訪問」←事故原因が分からないのに謝るのはおかしい。

で詳しく述べているが、簡単に復習すると、

あたごは衝突12分前に見張り員が清徳丸の左舷のものとみられる赤灯を発見した。

衝突した場所の約4キロ手前、両船の距離は9キロ程度あったとみられる。

要するに直進するイージス艦の右前方から、漁船は真っ直ぐにイージス艦の針路に向かって直進し、漁船の左舷にイージス艦がぶつかったのである。

確かに形式論で言うと、法律上はイージス艦に回避義務がある。

海上衝突予防法第十五条第一項は次の通り。

二隻の動力船が互いに進路を横切る場合において衝突するおそれがあるときは、他の動力船を右げん側に見る動力船は、当該他の動力船の進路を避けなければならない。

この場合において、他の動力船の進路を避けなければならない動力船は、やむを得ない場合を除き、当該他の動力船の船首方向を横切つてはならない。

これだけを読んで、現実をよく観察しないと、イージス艦「だけ」に責任があったように思われる。

ところが、イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の大きさはこれだけ違うのである。ダウンロード Atago.jpg (26.3K)

私は、とんと物理・数学の苦手な人間だが、高校の物理で習った、物理学の基礎の基礎。ニュートンの運動の第一法則(慣性の法則)は覚えている。
物体は外力が加わらない限り、等速度運動(注:この時、「速度」はベクトルとする)を続けようとする性質がある。これを慣性という。

慣性の大きさは質量に比例する。

つまり、法律はどうあれ、針路を変更して、衝突回避行動を取るのは、質量の小さい漁船の方が遙かに容易だったはずである。

イージス艦は衝突の12分前に漁船の赤灯を認識していたのである。もう一度ダウンロード Atago.jpg (26.3K)を見て下さい。

大きな船が小さな船を見つけるよりもその逆の方が容易であることは、素人でも想像力を働かせれば、分かる。

私は、この事故の調査結果を待っていたが、結局、漁船がどういう航路を取ったのか、不明である。

繰り返すが、如何に海上衝突予防法上はイージス艦「あたご」に回避義務があったとしても、

こんな馬鹿でかい船が舵を切っても、効き始めるまでに10秒から15秒かかる。その間に船は200メートルぐらい直進する。

又、止まろうとしても、10ノット(時速18キロ)で航行していた「あたご」が後進全速をかけても、停止するまでに350メートルから400メートルは進む。

総トン数7.3トンの漁船なら50メートルあれば、旋回することが可能である。

だから、現実的に考えるならば、簡単に避けられる漁船が何故、イージス艦の針路のど真ん中に突っ込んできたのか。

少なくともそれで間違いないのか。

この点を説明せずに、とにかく国民の反発が強いから、イージス艦を悪いことにしておきましょう、

というような措置をとる、こういうのが日本人が物事を曖昧に済ませる悪い癖である。



なお、誤解の無いように書いておく。私は、この事件に関してはイージス艦に同情的だが、

好戦的な人間ではない。いわゆる憲法改正など大反対。自衛隊を保有することは個別的自衛権の為に必要だが、

集団的自衛権行使には大反対。イラクや、インド洋への自衛隊派遣にもずっと反対し続けている人間である。

ウソだと思ったら、私の憲法改正草案を読んで下さい。 

憲法記念日です。憲法改「正」なら賛成です。

ただ、それと、船舶の衝突事故の真相を解明することとは、話は別だ。言うまでもないことである。

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