外国為替証拠金取引
JIROの独断的日記
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2008年03月13日(木) 「円急伸、100円突破=12年4カ月ぶり−ロンドン外為」←「円高」というよりも「ドル安」なんですよ。米国、早く公的資金を。

◆記事:円急伸、100円突破=12年4カ月ぶり−ロンドン外為(3月13日19時1分配信 時事通信)

【ロンドン13日時事】13日朝方のロンドン外国為替市場の円相場は、米景気後退懸念が一段と強まったことで円買い・ドル売りが急速に進み、

一時1ドル=99円77銭近辺まで急伸した。当市場で円が100円を突破したのは、1995年11月10日以来、約12年4カ月ぶり。

午前9時現在は100円05−15銭と、前日午後4時(102円35−45銭)比2円30銭の大幅円高・ドル安。


◆コメント:どうして株が売られ、ドルが売られるのか。

マスコミは、ドル円為替が12年ぶりに100円を割れた、と騒いでいるけれども、今週の値動きを見ていたら、さほど不思議はない。

米国のサブプライムローン問題による金融不安(金融機関が次々に潰れるのではないか、という心配)が、抜本的に解消されないから、

先週は105円台だったのが、今週に入ってから、103円台→101円台となり、ここまで下がると、理屈ではなくて、ディーラーは100円割れの安値を付けたくなる。

ディーラーというのはそういう人種なのである。



但し、根底には、アメリカのサブプライムローン問題があることは確かである。

サブプライムローンが債券化され、それを買ったり、発行した銀行が山ほどある。サブプライムローンは不良債権となっており、

回収の目処がたたないから、債権の価値=債券の価格がどんどん下がる。必然的に、それを買ったり発行した銀行の資産価値も下がっている。

そうすると、仮に資産を全部売却しても、バランス・シートの右側の負債を返済することが出来ない。債務超過となる。そうなったら潰れるのである。

潰れるのは住宅ローン専門の金融会社や、債券化されたサブプライムローンを保有する銀行や、「ヘッジ・ファンド」という資金運用の会社、

それから、サブプライムローンを組み込んだ金融商品などの保証を専門の仕事にしている「モノライン」という会社などである。

こうした会社について、毎日、ここが危なそうだ、あそこが危なそうだ、という憶測がマーケットに流れる。

すると、そんな会社の株を持っていられるかい、というわけで、これら金融機関の株を中心にアメリカで株が売られる。

同時に、こんな国の通貨を買っていられない。という訳でドル売りが加速する。


ニューヨーク市場で株が大幅に下げると、必ず翌朝の東京市場でも売られる。

また、外国の投資家がサブプライムローン組み込み商品で損をした分、日本株を売って、少しでも損を取り返そうとするので、

そういう背景があって日経平均は下がり続けている。


また、米国の景気の悪さが株安、ドル安の大きな要因である。

アメリカはサブプライムローン問題の他に景気の実体が本当に悪そうだ、ということが先週金曜日の米国雇用統計で明らかになった。

市場の予想は、非農業部門雇用者数が、前月比−2万人ぐらいだろうと思っていたら。なんとびっくり、−63,000人だった。二ヶ月連続マイナスで、

アメリカが景気後退局面に入ったことがほぼ、確実となった。これによって、ドル売りに拍車がかかった。

このような要因で米国株も米ドルも売られているのである。ドル円が100円を割れたのは、100円という大台割れを試してみたい、という

ディーラーの心理と、米国の金融不安、景気後退懸念が渾然一体となったものである。


◆金融不安を和らげるには公的資金を注入しないとダメなのです。

こういう状況は、アメリカと日本だけではなく、ヨーロッパにも飛び火している。

日本の金融機関は、サブプライムローン絡みの商品に大して手を出していなかったので、潰れるほどの損失には至らない。

しかし、米欧は危ない。それなのに、チマチマとした、「対症療法」しか行わない。11日にこういうニュースが流れた。

◆米欧5中銀が新たな協調策=信用不安再燃に対処(3月11日23時1分配信 時事通信)

【ワシントン11日時事】米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)など米欧5中銀は11日、再び強まってきた短期資金市場の信用不安に対処するため、

米欧間で資金を融通し合うスワップ協定の拡大や、新たな米国債貸出制度などの協調策を発表した。

あのね。こういうことをしても、抜本的解決にならないのですよ。

これは、銀行間が短期を資金の貸し借りを行っている「短期金融市場」というのがあるのですが、どこかの銀行が危なそうだ、という噂が出ると、

その銀行は他の銀行から資金を調達出来なくなる。調達できないと、前日別の銀行から借りていたおカネを返せなくなる。資金繰りに行き詰まったら、

倒産する。それを防ぐために、どこかの銀行が資金を調達できなくなりそうだったら、中央銀行が貸してあげますよ、ということだ。


それで、とりあえずは潰れないでしょうよ。しかし、サブプライムローンが組み込まれた金融商品を持っていたら、前述したように、資産価値がさがり、

債務超過になるかも知れない。それを埋めるには、資本を取り崩すしかない。資本というのは、商売の元手ですから、これが目減りしたら、

やはり、「あの銀行、危ないぞ」ということになる。

これを解消するためには、公的資金を注入して資本を増強してやるしかないのですよ。現にIMFも言っている。
◆公的資金導入も=金融危機で対策強化呼び掛け−IMF幹部(3月13日7時1分配信 時事通信)

【ワシントン12日時事】国際通貨基金(IMF)のリプスキー第一専務理事は12日、ワシントン市内で講演し、

低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題に端を発した世界的な金融不安について、

「これまでの各国の対策は十分とはいえない」とし、中央銀行による金融緩和や流動性供給だけでなく、

財政出動による景気刺激策、場合によっては公的資金を使った金融システム機能回復のための措置を実施するよう呼び掛けた。

アメリカのエコノミストも同じ事を言っている。

それは、「必要なら公的資金を=金融安定化策、日本の教訓学べ−米有力エコノミスト」ココログ)に書いた。

まず、震源地である、アメリカさん。早くやってくれよ。世界中が迷惑してるんだから。

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