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JIROの独断的日記
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2007年11月10日(土) 田村響さん、ピアノ部門優勝=ロン・ティボー国際コンクール /毎コン ピアノ部門一位、佐藤彦大君の苦労

◆記事1:田村響さん、ピアノ部門優勝=ロン・ティボー国際コンクール(2007/10/29-11:12)

【パリ29日時事】若手演奏家の登竜門として知られるロン・ティボー国際音楽コンクールのピアノ部門最終選考会が28日、

パリで行われ、愛知県安城市出身の田村響さん(20)が優勝した。

ピアノ部門で日本人が優勝したのは5人目で、1992年の野原みどりさん以来15年ぶり。

田村さんは現在、モーツァルトの故郷オーストリアのザルツブルクにあるモーツァルテウム音楽大在学中。

3歳からピアノを始め、これまでも数々のコンクールに入賞、演奏活動を行っている。


◆記事2:【毎コン】1位の横顔:第76回日本音楽コンクール ピアノ部門・佐藤彦大(ひろお)さん (毎日新聞 2007年11月6日 東京夕刊)

さまざまにきらめく若い才能が今年も飛び立った。各部門1位を紹介しよう。【梅津時比古】

◇ひとつひとつの音に色もたせたい−−佐藤彦大さん(19)(東京音大2年)

音への深い欲求がある。

本選はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番をゆったりしたテンポで弾き、上気した会場のコンクール独特の雰囲気を静めた。

「特に1楽章の出だしの和音、2楽章の旋律のひとつひとつの音に色をもたせたいと思い、ていねいに弾きました」

この叙情的な音楽を、安易に歌わなかった。

「曲の中にどろどろしたものが十分にあるから、自分が歌わなくても。淡々と弾きたいというあこがれがあるんです」

小細工せず音に語らせたい。大好きなリヒテルのように。

小、中学校と、いじめられた。東京音大付属高校入学試験の5日前にも学校で跳びげりされ、左手の小指を突き指した。

「ショパンのスケルツォ2番を、全部小指を使わないで弾けるように指遣いを変えて、1日13時間練習して受けました」。

無理がたたり入学直後からけんしょう炎でピアノが弾けなくなった。

耐えた思いもすべて音に語らせたいのだろう。

それでも「苦しく悲しい体験が僕には足りないから、暗い音も足りない。もっと深い、あらゆることを表現できる音がほしい。

そのために、古里の宮沢賢治の詩や文章もきちんと読みたい」。

出身は盛岡。海外コンクールへの参加は急がず、「来年はレパートリーづくりに精を出します」。


◆コメント:毎度のことながら、大きく報道されない「おめでたい」ニュース。

ロン・ティボーコンクールの田村さん優勝は早く書こうと思っていたが、遅くなってしまった。

ロン・ティボー国際コンクール とは、ピアノ部門とヴァイオリン部門しかない。

「ロン・ティボー」は、往年の大ピアニスト、マーガレット・ロン女史と、

これも永遠に歴史に名を残すであろう、ヴァイオリニストのジャック・ティボーの二人の名前を取ったのだ。

チャイコフスキー・コンクール、ショパンコンクールに比べ、普通の日本人の認知度は低いだろうが、

紛れもなく、世界有数の大コンクールである。記事1にあるとおり、ピアノで日本人が優勝したのは15年ぶり。

歴代の受賞者を羅列しても仕方がないので、一人だけ紹介すると、私と同年配の清水和音(かずね)というピアニストが、

桐朋音大在学中、1981年、20歳で優勝した。この清水という人は言いたい放題のガラッパチだが、良いピアニストだ。

今回優勝した、田村響さんも20歳だ。20歳で上手いということは、プロのソロ・ピアニストを目指すのであれば当たり前、

と言っては失礼かも知れないが、実際そうなのである。

コンクールは、過去に何度も書いたが、その日、その時、その場所で弾いた(本選に残った)参加者の中で、誰が一番、上手かったか、

を評価するに過ぎず、「瞬間最大風速」のようなものである。何らかの事情で、本選が一日延びたら、全く異なる結果が出る可能性は、

十分にある。

しかし、それでも、世の人々に「じゃあ、あんた、ピアノの国際コンクールに出て、優勝出来るか」と問うとすれば、答は聞くまでもない。

清水和音氏と田村響氏の名前を見れば一目瞭然だが、この二人の親御さんは、我が子が生まれたときから音楽家にする、という決意を抱き、

願いをこめて、「和音」「響」という名前を付けたのだろう。才能が有るかどうか、やってみなければ分からないが、理屈ではない。

意地でもピアニストにしてみせる、と決意した、二人のご両親と、想像を絶する修業を積んで見事名前の通り大輪の花を咲かせた。

今回優勝の田村響氏にお祝いを申し上げたい。更なる研鑽を積んで、いいピアニストになって下さい。


◆今年の毎コン、ピアノ部門優勝者、佐藤彦大君がこんなに苦労していたとは・・・。

日本音楽コンクールは今年が76回目で、日本で最高に権威のある、他とは別格のコンクールだ。

ピアノ部門の優勝者は、佐藤彦大さん(19)(東京音大2年)だ。

私は、今年の毎コン・ピアノの本選を聴こうと思っていたのだが、行けなくなって、家内を派遣した。

家内は東京音大のピアノなので、佐藤君は後輩になるわけで(彼の2倍以上生きている上に才能の次元が違うが・・・)、

彼が優勝したことを喜んでいたが、それよりも驚いたのは、佐藤君はめっぽう明るく、リラックスしていたと言うことだ。

本選が始まる30分ぐらい前に家内がロビーでお茶を飲んでいたら、すぐ近くに佐藤彦大君がいて、コーヒーなんぞ飲みながら、

友人と音楽とは関係のない話をしてゲラゲラ笑っていたという(大抵の人は、これぐらい本番が迫ると、静かに集中力を

高める作業---そのやり方は人それぞれだが---を開始するのである)。

その上、本番も、「毎コン・ピアノ部門の本選で弾く」という、失神しそうなプレッシャーを微塵も感じさせず、

「皆(聴衆)に自分のラフマニノフを聴いて貰えて嬉しい」という喜びが、全身に溢れていたという。

カミさんも曲がりなりにも音楽をやった人間だから、まあ、信用して良かろう。

その話を聞き、私は、「佐藤君は、有り余る才能を持ち、順風満帆で今までやってきたのだろう」、と思いこんでいた。

しかし、人ひとりの人生はそれほど単純ではない。


◆音高(音大附属高校)入試(勿論実技)の五日前に乱暴されて小指を突き指。なんてことを・・・。

ところが、記事2をご覧あれ。

小学校・中学校といじめられたそうだ。

残念ながら、現在プロの音楽家(特にピアノとヴァイオリン)が子供の時分、いじめられていた、というのは

珍しい話ではない。子供でもピアノ・ヴァイオリン又は、それらを習わせて貰える豊かな家庭の子供に対する嫉妬があるらしい。

それにしても、佐藤君はひどい。

東京音大付属高校入学試験の5日前にも学校で跳びげりされ、左手の小指を突き指した。

「ショパンのスケルツォ2番を、全部小指を使わないで弾けるように指遣いを変えて、1日13時間練習して受けました」。

ピアニストやピアニストを目指す者にとって指は命だ。佐藤君に飛びけりをくらわせた盛岡のガキをぶん殴ってやりたい。

危うくひとりの優れたピアニストが挫折するところだったのだ。

嫉妬は人間の感情から無くならないだろうが、それを理由に暴力を振るうのは無教養な野蛮人だ。例え子供でも許せん。

佐藤彦大君は、小学校・中学校といじめられた。音大附属高校直前に、危うくピアニスト生命を絶たれるような乱暴をされた。

それでも彼は研鑽を積み、音大2年、19歳で、毎コン1位の栄光に輝いた。

佐藤君は、ピアノを弾くことが心底好きなのだろう。

人間の邪悪な嫉妬心は、人間の美しい精神活動の極致、芸術への情熱には決して勝てないのだ。

佐藤彦大君の今後の一層の発展・活躍に期待したい。頑張れ。佐藤君。


◆【音楽】モーツァルト ピアノソナタ13番 K.333 より 第1楽章

今日の記事と、これからお聴きいただく音楽とは、何も関係が有りません。

モーツァルトのピアノソナタは、毎コンの本選に出るような人なら小学生で弾けていたでしょう。

つまり、テクニックは、プロになるような人なら、難しくはない。

しかし、その難しくは無い楽譜から紡ぎ出される音楽は、後世の作曲家たちが書いた、より複雑な音楽を凌ぐほど、美しい。

私はそう思います。この13番、ケッヘル333の第一楽章は、遠い昔を懐かしく思い出すような音がして、人の心を優しく慰める音楽です。

私はこの曲が大変好きなので、皆様にも聞いていただきたいと思いました。演奏は「モーツァルト弾き」として名高い、イングリット・ヘブラー女史です。


ダウンロード MozartPianoSonata13K333.mp3 (7347.3K)



CDのお薦めは、ヘブラー女史による、モーツァルトソナタ全曲なんです。

少々高いかも知れませんが、5枚組でモーツァルトのソナタ全曲が聴けます。間違いなく、一流の演奏です。お薦めします。

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