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JIROの独断的日記
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2007年05月07日(月) 「<温暖化対策>1トンのCO2削減最大80ドル IPCC」←楽観的な見出しが目立つが、それほど甘くない。

◆記事:<温暖化対策>1トンのCO2削減最大80ドル IPCC

バンコクで開かれていた地球温暖化対策を話し合う国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第3作業部会は4日、

2100年までに大気中の温室効果ガス濃度を550ppm(ppmは100万分の1)に抑えるためには、

30年までに二酸化炭素(CO2)1トンの削減費用を、

最大で80米ドル(9600円)まで伸ばすことが必要との報告書をまとめた。

この濃度に保てば地球上の平均温度を90年比2.2〜2.6度の上昇で止めることができ、

費用対効果の高い技術が普及すれば30年の排出量を現在のレベル以下にすることもできるという。

今年6月(独)と来年(日本)の主要国首脳会議では地球温暖化対策への取り組みがメーンテーマ。

具体的なコストが示されたことでポスト京都議定書を巡る議論が本格的に動き始める。

報告書は1970〜2004年に世界の温室効果ガスの排出量が70%増えたとしており、

追加的な対策を講じなければ、排出量は30年までに00年比で25〜90%増えると警告している。

現在の世界の温室効果ガス濃度はCO2換算で455ppm、年間の排出量は約430億トン。

試算では、1トンを削減するための費用が20米ドルなら30年には90億〜170億トン、

100米ドルなら160億〜310億トンを削減できると予測。

エネルギー供給や運輸、農業、廃棄物など7部門に分けて効果的な対策を提案している。

報告書はすでに実施されている対策として、原子力、太陽光や風力など再生可能エネルギー、

ハイブリッド車やクリーンディーゼル車、照明や冷暖房の効率化などを挙げている。

また、今後実用化されれば大きな効果を期待できる技術として、

火力発電所などで発生する大量のCO2を地中に封じ込める「CCS」、

水素燃料電池車、高効率の航空機などを挙げた。

(5月4日19時54分配信 毎日新聞)


◆参考:他紙の見出し。

世界のGDP3%でCO2大幅削減可能、国連部会が報告書(読売新聞) - 5月 4日23時 8分

IPCC 適切投資すれば2050年、温室効果ガスの半減可能(産経新聞) (5日8時0分)

現在の排出量以下へ削減可能=温室効果ガス、30年までに−国連部会報告(時事通信) (4日14時0分)

2050年にCO2半減必要、上昇2度目標 温暖化会合 (朝日新聞 05月04日21時03分)


◆コメント:正確に報道しろよ。○=毎日、朝日。×=読売、産経。

面倒臭い話なので、Q&A形式にしてみました。


・IPCCとはなにか?。

気候変動に関する政府間パネルです。設立の背景はIPCCの日本語サイト、

地球環境/IPCC情報に載っている。

「政府間パネル」といっても殆ど科学者。

各国の政治家に地球温暖化の深刻さを認識させ(何処の国でも政治家は文科系が殆どだ)、

何をすればよいか、提案をするための組織。国連の下部機構。

・今回の会合で何を話したか。

地球温暖化による深刻なダメージを避けるためには、どれぐらいカネをつぎ込めばよいか、を提示した。

・具体的にどうすればいいのだ?

地球上の平均温度の上昇を、1990年を基準として、何とか+2度台で止めないと、ヤバい。

現在の世界の温室ガス濃度がCO2換算で455ppm。世界の年間排出量が430億トンだ。

気温の上昇を2度台に収めるためには、2100年のCO2濃度を550ppm程度で止める必要があり、

さらに、そのためには年間排出量を半分ぐらいに減らさないとダメだ。

・「1トンあたり何ドル」と書いてあるのはなんだ?

私も算出根拠がわからないが、年間排出量を減らすのに、1トンあたり80ドルぐらいつぎ込めば、

2100年までに、世界全体の温室効果ガス(主にCO2)排出量を半減できるだろう、という話だ。

・それは、間違いないのか?

知らん。が、専門家を信ずるしかなかろう。

・新聞が「楽観的すぎる」とはどういう意味だ?

特に、読売と産経だ。

「CO2削減可能」という表現が曖昧だ。

CO2の大気中濃度が減る印象を受ける。

そうではない。カネをかければ、「CO2排出量」を半減できる、というのがIPCCの結論だ。

新聞は正確に書かねばならない。

そして、排出量を半減させるためには、各国がそれなりの費用をつぎ込む事が必要だ、とIPCCは書いている。

しかし、世界中の国の政府がこれを実行する保証は何処にもない。

・読売は「世界のGDP3%でCO2大幅削減可能、国連部会が報告書」と書いている。

世界全体だから、国によってパーセンテージは異なる。

因みに日本は防衛費がGDPの1パーセント以内だ。

日本の場合、何しろ世界2位の経済大国だから、世界平均を下回るだろう。

だが、「GNPの3パーセント」がハンパな金額ではない、ということは分かるだろう。

・何か分かりやすい本は無いか?

NPOである、“Think the Earthプロジェクト”という団体が書いた、

気候変動 +2℃が良いだろう。

また、ネットでは、Google Earthで、気候変動が世界各地でどのような変化をもたらしているか、見ることが出来る。

「GoogleEarthで見る環境問題」でGoogleを検索するとやり方が分かる。



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