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JIROの独断的日記
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2005年03月03日(木) 「島村農相「全頭検査は世界の非常識」発言を撤回」 日本人の行動様式

◆記事:島村農相「全頭検査は世界の非常識」発言を撤回

 

島村農相は3日午後の参院予算委員会で、BSE(牛海綿状脳症)対策のため日本で実施している牛の全頭検査は「世界の非常識」とした2月25日の衆院予算委員会での発言を撤回した。

 島村農相は、「全頭検査を実施している国は日本しかないという意味で使った」と釈明した上で、「(非常識という)言葉に角が立つのであれば、その言葉を納めることに異議はない」と述べた。

 島村農相の発言については、自民党総合農政調査会の野呂田芳成会長も3日午前、「国がBSE全頭検査基準を見直しても、今後3年間は自治体に全頭検査費用を国が全額助成することになっている。島村農相の発言は政策と矛盾しかねない」などとして、農水省に抗議していた。(読売新聞) - 3月3日21時58分更新


◆コメント:島村農相の発言は、日本人の典型的な思考過程によるものだ。


 昨日の日記で米国の農務長官が露骨に日本に米国産牛肉輸入再開を迫っている横暴さに関して書いたところ、これに関して、ご賛同の趣旨のコメント、メールを頂戴しました。

ありがとございました。

ところで、昨日の日記では島村農相が、肉牛の全頭検査に関して、2月25日の予算委員会で、「日本の常識(全頭検査)は世界の非常識」と述べたことについて、言及が足りなかったので、もう一度、同じ問題になりますが、書きます。

さすがにあの島村農相の発言は、日本でも問題視され、野党・民主党は、島村農相の解任決議案まで上梓しようとしていましたが、本人が謝って、一応収まった形になっています。

 しかし、島村氏の言葉は、日本人の行動様式を端的に表していることに、注意するべきです。BSE問題に限った話ではありません。


◆「タイタニック号が沈みかけているとき・・・・」

 

ここ数年で、至る所で引用された、いささか食傷気味のジョークがあります。

タイタニック号が沈みかけている 。救命ボートの数は乗客の数よりも少ない。

 ここは、女性と子供を先に助けて、男は船に留まるべきなのですが、男達をどうやって説得するか(実際には説得されなくても多くの男は自ら船と運命をともにする道を選んだのですが、これは、あくまで、ジョークです)?



アメリカ人には、「船に残ればヒーローになれますよ」

ドイツ人には、「こういう場合男性が残るのが、「規則」ですから」

イギリス人には、「残れば、『ジェントルマン』として名を遺せますよ」

さて、日本人には、なんといって説得するか。「他の人たちは、皆、残りますよ」


◆日本人の行動規範は、「他人と同じように振る舞うこと」

 

 つまり、日本人は、物事の決定を迫られるとき、よりどころとなる自律的なルール、行動規範がない、ということです。

あえていえば、「他人と同じように行動し、他人と違うことをして、目立つのは、避けたい」というのが、日本人の行動規範なのです。

要するに、「主体性に欠け」ているのです。


◆世界中の国が全頭検査をしていなくても、それが正しい方法なら、実行すればよい。

 

 2月25日の予算委員会での島村農相の発言は、この、「典型的は日本人の行動規範」をそのまま口に出してしまった結果なのです。

世界中見渡して、全頭検査をしている国がなかったとしても、アメリカ産牛肉の危険性は、明らかなのですから、他の国になんといわれようとも、断固として、その方針を貫けばよいのです。

全頭検査がもしも「世界の非常識」だとしたら、この件に関して云えば、「世界がバカ」なのであって、日本が正しいのです。


◆イラク戦争についても、日本の(外交)政策はいつもこの調子です。

 

 自衛隊をイラクに派遣するときも、小泉首相は、「世界中の国がイラク復興に参加しているから、日本も送るべきだ」という趣旨の発言を繰り返しました。

やはり、「他国の行動」が日本政府の意志決定において、大きなウェイトを占めていました。

しかしながら、我が国は法治国家であり、国の最高法規である日本国憲法は、集団的自衛権の行使を認めていないというのが、日本政府の公式見解だったのです。

 イラク復興支援特別措置法では、人道支援活動以外に、安全確保活動という訳の分からない項目がありますが、これは要するに、米英軍の後方支援をするということでした。

後方支援は自ら鉄砲を撃つ訳ではない。しかし、現代の戦争では、前線での戦闘行為と後方支援は一体不可分です。後方支援がない、前線での武力行使はありえません。

厳密に、慎重に解釈すれば、現に戦闘行為を激しく行っている同盟国・アメリカ、イギリス軍の後方支援をするのは、武力行使の一部であり、集団的自衛権の行使と解釈するべきでした。

そういう議論をちゃんとしないで、米国からの圧力と、「他国も(イラクへ)行っているから」という理由で、イラク復興支援特別措置法を強行採決してしまったのですが、これは、主権(独立)国家の意志決定プロセスとして、情けない。


◆国際情勢は常に見ていなければならないが、それは、意志決定の際の材料にすぎない。

 国際情勢を無視しろというわけではありません。

 むしろ、情報は常に収集し続けるべきですが、それらは、政策決定の一つの要素でしかない。

  ところが、日本人は「他国の動向」に必要以上に影響されるのが問題だ、と、云いたいのです。

最終的には、国の方向はその国の法律と、国民の利益に最も重点を置いて、決定されるべきです。

繰り返しになりますが、米国産牛肉の輸入を再開するべきか否かという問題も、客観的事実から推定される、米国牛肉の安全性と、日本国民の生命という国家が保護すべき最も重要な要素を考慮して決定されるべきです。

 他国の検査態勢は、何ら関係がありません。


◆リンク

 

 2月27日の「堀江氏は新しいメディアの使命などということは、全く考えていないことが「江川紹子ジャーナル」で確認された」に対して、ハラタイチ様からリンクを貼っていただきました。ありがとうございました。


2004年03月03日(水) 「火星に過去、大量の水 生命存在の可能性高まる」←これが大ニュースである理由。
2003年03月03日(月) ブッシュはヒトラー並みに危険な人物だ。

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